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詩人倶楽部

第5回詩人バトル
poem29

闘魂(我が子Hの場合)

作者 : あかね
Website : あかね屋
「お母さん。絶対来てよ」

我が子Hが、目を輝かせながらそう言った。

「ボク、ドッチボール得意なんだよ」

自信たっぷりにまた言った。

クラス対抗のドッチボール大会が

楽しみでしかたがない様子だった。

 
さてその当日の

熱気に包まれた体育館のコートの中

我が子Hは、

すさまじい勢いで飛んでくるボールを

たじろぎもせず真っ向から

身体を張って受けて止めて

周囲の歓声を一人占めしている

いわゆるヒーローの

ちょうど影に隠れて

逃げていた。
 

その逃げ方は

半端ではなかった 

誰よりも真剣に

誰よりもすばやく

追ってくる敵のボールの行方をキャッチして

逃げて逃げて 

逃げまくっていたのだ 

あの子はおそらくいつもよりずっとがんばって

逃げているのに違いない

あたしが見ていることを意識して
 

一生懸命に逃げることによって

あの子はあの子なりに

ドッチボールと闘っているのだ
 

終わったら駆け寄っていって

よくやった。

よく逃げた

よく逃げきったね

と ほめてやろう
 

あたしだけは  あたしだけは

せいいっぱい

あの子を






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