第5回詩人バトル
poem4
諦めという名の優しげな笑みを張りつかせたキャバレーの呼び込み ホテル街へ抜ける路地でいつも会う中年のオカマ 上下同じ色のジャージを着たトルエン売りは聴き取りづらい言葉を連呼し 十字路で金切り声を上げながらヤクザさえも寄せつけない勢いで電飾看板を蹴り続けて いる年頃の娘はきっとまた精神病院で眠らされる わたしは誰一人として彼らの本名を知らない 慈愛の街 今夜も優しくわたしたちを包み込む 部屋へ戻れば 今日も薄い壁越しに聴こえるのは ポルトガル語の怒声と女の悲鳴 地球の裏側にいようが同じアパートに住んでいようが わたしと彼らとの距離は常に一定に保たれている ある人間のおかげで生きて再び朝を迎えたわたしが吐き気と闘いながら歯を磨いている その時 この街から三〇キロ程西にある駅で 誰かが電車の腹に抱かれた ダイヤが乱れ わたしは今日も遅刻だ しかし なにも気にならなかった
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