第6回詩人バトル
poem32
うっすらと積もった雪が アスファルトを鈍い白に染めた二月の朝。 小さな公園の片隅のベンチで、 一人の年老いたホームレスの心臓が この世で最後の鼓動を刻もうとしていた。 どこからか一羽の鳩が飛んできて、 横たわる老人の上に翼を休めた。 その僅かな体温をいとおしむように 老人の胸にうずくまると、 不思議そうに老人の顔を覗き込んだ。 もうほとんど視力を失ったその眼で、 老人は鳩を見つめかえした。 さよなら。 老人の胸には、 まるで旅立ちへのはなむけのように、 一枚の美しい羽根が残されていた。
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