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第2回高校生1000字小説バトル
Entry1

卵のなかの罠

作者 : アタモ ミリヲ
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文字数 : 746
 ところで、僕はどうしてこんなに転ぶのでしょう。ちょっと転び
すぎです。ねえ、お母さん、僕はどうしてこんなに転んでしまうん
だと思いますか。まるで生卵のようです。どうしてなんでしょうか。
「それはね坊や、あなたがスーパーで特売日に買ってきた、一パッ
ク九円のMサイズ卵から生まれた子だからなの」
 嘘。お母さん、それは嘘でしょう? 大体一パック九円で買える
Mサイズの卵なんてあるんですか。何時代ですか。
「それがあったの。安かったから、お母さんはその卵を大喜びで買
ってきたの。でもね、どうしてその卵は安かったんだと想う?」
 さあ、それはどうしてでしょうか。
 もしかしてそれは、賞味期限がギリギリの卵でしたか? 
「いいえ、そうじゃないの。その卵達にはね、小さな子どもが詰っ
ていたの。十人いても十円の価値にさえ満たない子どもたちが、高
く高く、いっぱいパックにされて、特売品売り場の卵コーナーに、
積み上げられていたのよ」
 ええ! じゃあ、この家には他に買われてきたはずの、あと僕の
九人の兄弟がいることになります。僕の名前が『ジュウ太』ですか
ら、『イチ子』とか『ゴ郎』とかがいるはずじゃありませんか。
 ねえ、お母さん、嘘でしょうその話。だって、そんな子どもたち、
この家にはいないじゃありませんか。
「嘘じゃないの、本当よ。だってお母さん、あのとき全然気付かな
かったんだもの。こんな 可愛い子が卵の中に詰っていたなんて。
だからね他は九人とも、……おいしいゆで卵にしちゃったの」
 ――そうだったのですか。僕は貰われっこだったのですね。
 ところで、僕はどうしてこんなにヌメヌメなのでしょう。ちょっ
とヌメヌメしすぎです。ねえ、お母さん、僕はどうしてこんなにヌ
メヌメしてしまうんだと思いますか。まるでサトイモのようです。
どうしてなんでしょうか。






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