インディーズバトルマガジン QBOOKS

第2回高校生1000字小説バトル
Entry3

作者 : 青葉大地
Website :
文字数 :
「好きです!」
 そう書いた手紙をあの人に渡した。
 その日からずっとドキドキしていた。あの人からの返事が来るの
が待ちどおしくてたまらなかった。
 そして、手紙が届いた。ただ一言「ごめん」と書いてあった。
 初めての恋は終わった。
 でも、好きという気持ちは変わらなかった。変えることは出来な
かった。
 あの人と一緒に恋は出来なかった。でも、好きという気持ちだけ
は持っていられる。だから、好きでいようと思った。ずっと好きで
いようと思った。
 でも、そんなことは出来なかった。あの人を見るたび好きという
気持ちがあふれ出しそうになった。だから、好きという気持ちを消
した。そうじゃない、消そうと思っただけ。
 その後、表面上は好きという気持ちを消した。ただ、心の奥底に
は持っていた。嘘という箱を幾重にも重ねて。
 恋人もできた。もう、あの人のことを考えることはないと思って
いた。でも、ある時気づいた。自分があの人という鏡に反射してい
る恋人を見てるということを。
 その事に気づいてしまった後はその恋人とも長続きしなかった。
なぜなら自分は、恋人ではなく自分自身が作り上げたあの人と恋を
しているって気づいたから。
 恋人のことを好きだと思うのに、恋人の様々な行動をあの人に重
ねていた。
 あの人はこんな事をしない。あの人なら、きっとこうしてくれる。
あの人なら、きっと出来たはず。あの人なら、あの人なら………。
 自分は、あの人を好きだという気持ちからのがれる事が出来てい
なかった。心の奥のあの箱から…………。


 結局、好きという気持ちは嘘という箱を幾重にも幾重にも上に重
ねていっても駄目だと思った。好きという気持ちは消そうと思って
も消せないと思った。
 好きという気持ちは消せない。
やっとそう気づいた時、好きという気持ちは変わった。

 その後、あの人への手紙を書いた。
「好きでした」
 たった一言、そう書いた手紙を。






インディーズバトルマガジン QBOOKS
◆QBOOKSに掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
◆投稿された各作品・画像等の著作権は、それぞれの作者に帰属します。出版権はQBOOKSのQ書房が優先するものとします。
◆リンク類は編集上予告なくはずす場合がありますのでご了承ください。