第3回高校生1000字小説バトル
Entry4
ええ、俺もつい半年前に知ったんです。 勿論、最初は全然信じてなんかいませんでしたよ。いくら俺でもね、 あんなモノがこの世界に存在しているなんて、今でもちょっと信じ られないくらいなんですから。 でも――あなただってもうすぐ体験するんです。一度あれを知って しまったら病み付きだ。そうです、ちゃんとピントは合わせなくち ゃダメですよ。そうしなきゃ、きっちり奇麗にいきませんからね。 そう、なんていったってあの世界にひとつしかない望遠レンズ付き のストーブなんですから、丁寧に扱ってください。壊しちゃったら 大変だ。あんた、あんな高価なものを委員会に弁償させられちまう。 この不況の折のサラリーマンじゃ、一生かかったって借金返せやし ませんぜ。普段だって俺たちはこんなに高い拝観料とその十五倍の 使用料払ってるのに、やってらんないに決ってますよ。あなた妻子 がいるんでしょ? なら尚更だ。本当に本当にほんとうに気をつけて くださいよ。もちろん困るのはあなただけじゃないんですから。俺 だって困っちまいますよ。もうあれがないと、俺は生きていけない んです。ここに来てるやつらだって、皆そうですよ。あなただって、 すぐそうなると想うな。俺も連中も、はじめは好奇心から一回だけ って思ってやっちまうんです。でもね、最近、これは本気でヤバイ と想うようになってきたんですよ。 なんせあれはですね――、 あ。今TVでCM流れますよ。あなたもこれを見て、ここまできた んでしょう? 『いつもあなたのそばに、望遠レンズ付きストーブ。 あなたもここで取戻しましょう 暖かで幸福な、遠い過去の思い出を――』
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