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第3回高校生1000字小説バトル全作品・結果一覧


#題名作者文字数
1にせものかくれはけい 952
2白昼夢Ruima 998
3悲劇のヒロイントト♂ 999
4望遠レンズ付きストーブアタモミリヲ 672
5Love is too young to know what conscience is. KAZU 904

第3回高校生1000字小説バトル
Entry1

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にせもの

作者 : かくれはけい
Website :
文字数 : 952
 こんなに星がきれい
 今君は何処にいるんだろ
 光を失った“星”がもういくつか在る。いつもは瞬きを失う前に
眠ってしまうのに。“星”を眺めていたのが長い証だ。
 ここでは星をつなげる線なら判る。例えその形が意味を成さなく
とも。
 どうして古代人はあの形を見て、ハクチョウだのオオクマだのと
思ったのだろう。大体どうしてあの星たちをセットにして見、形を
想ったのだろう。ここでは同じ大きさ、同じ輝きの星も、空では小
さく、見付けるのが困難な程のものさえ在るというのに。
 唯一、空できちんと星座の全ての星を見付け、線で結べるのはオ
リオン座くらいだろう。――それにしたってあのたった7個の星が
棍棒を振りかざした大男にはどうしたって見えないが。――そのオ
リオン座もここでは三連のうち二つが瞬きを失ってしまっていて、
見付けるのに時間がかかった。
 立ち上がってぱちんとスイッチを押す。“星”の全ては輝きを失
った。辺りが電気の光であふれて、今まで“星”があったところに
は、くすんだ薄緑の押しピンがただ刺さって居るだけ。
 子供の頃、星座表を見ながら、ここで良いの?と、何度も父の方
を振り返りながら、ひとつひとつ押しピンを壁に刺し込んだのだ。
 このくすんだ緑の押しピンが、どうして光り輝く“星”に変わる
のかがとても不思議だった。そして何故、本物の星のように朝には
消えてしまうのかも。
 確かに蛍のように不思議に光って、部屋を“夜空”に変えていた
はずだった“星”は、眠りこけ、目覚めたら居ない。緑色のピンは
貼り付いているのに。
 その時の淋しさと云ったら。その時の喪失感と云ったら。
 ――もう今は居ない。思い出ばかりは貼り付いているのに。
 反吐が出る想いだ。子供の頃のおさがりのようなニオイも。最早、
思い出なんて陳腐な言葉で片づけてしまわれそうな“星”たちも。
 リビングにのろのろと出て行く。本物の星を見るために。
 戻った方が良い?この身体に染みついた柔らかな匂いまでを失う
前に。
 彼処なら星が見えるよ。それが偽りに根差したものであっても。
 彼処なら星が見えるんだよ。
 カーテンさえも引いていない窓から、暗い暗い夜空がぽっかりと
浮かんでいる。
 ささやかな雨のニオイが身体の芯を激しく吐いた。
 だってきっと星は見えない
 だってきっと君は見えない。

第3回高校生1000字小説バトル
Entry2

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白昼夢

作者 : Ruima
Website :
文字数 : 998
 2300年、大日本軍国は世界大戦の真っ只中にあった。
 その首都東京で。平和主義を唱えた「非国民」の息子である僕と、
張り詰めた時代を生きるには潔癖すぎる彼女。僕達は世間から逃げ
るようにして2人きり、寄り添いあって生きていた。
 昼夜関係なく空襲警報が鳴り響く中、幸いにも僕達は全くその被
害に遭わなかった。食料不足、警察からの尋問、周囲の非難の目。
生活は決して楽ではなかったけれど、彼女はいつも笑みを絶やさな
かった。その笑顔が何よりも愛しかった。
 けれど今、彼女の顔に笑みはない。

 貧しく地味な、けれど幸せな生活の終わりは、ある日突然一通の
メールによって告げられた。
 徴兵制度に基づく、「軍事召集」。
 僕は明日、戦場へ旅立つ。多分もう二度と彼女の元へは帰れない。
 僕達はソファーに並んで座り、ただしっかりと手を繋いでいた。
 つけっぱなしのテレビでは、年老いた男が「帝国史」の講義を行
っている。
『1945年、第二次世界大戦終結から、2218年の憲法改正ま
で。この日本が武力放棄していた273年間を、平和主義時代と呼
び……』
 テレビから流れる老人の声が静かな部屋の中に響く。
 僕達は何も話さなかった。言うべき事はたくさんあったけれど、
多くの言葉より君のぬくもりを感じていたかった。

 突然、彼女がポツリと言った。
「ねえ、私達」
 僕は彼女の方を向いた。色褪せたグレーのワンピース。痩せた身
体。まだ20歳とは思えないほど疲れきった横顔。虚ろな、瞳。
「私達300年前だったら、最高のカップルになれたかな」

 その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中に鮮明なイメージが広がった。

 僕達は腕を組んでショッピングモールを歩く。淡いピンクのワン
ピースを着た彼女は、お化粧もしていてとても綺麗だ。組んでない
方の手には化学物質なんかじゃない本物のイタリアンジェラート。
ウィンドウに飾られた輸入物のテディベアを指差し、彼女は楽しそ
うに笑う。
 携帯で話すミニスカートの女子高生。ギターを持った赤い髪の青
年。まだ幼い子供とその両親。誰もが襲撃なんて心配せず、好きな
人と笑っていられる。平和な世界。

 僕は答えた。
「きっと、世界一のカップルになれたよ」
 彼女は笑った。今まで僕が見た中で、1番優しい笑い方だった。
 僕はこの笑顔を忘れない。何かある度にきっと思い出すだろう。
そう、僕がどこか彼女のいない異国の地で、孤独な死を迎える時に
も、きっと。

第3回高校生1000字小説バトル
Entry3

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悲劇のヒロイン

作者 : トト♂
Website :
文字数 : 999
 カチ、カチ、シュボ。………。
ふぅ、………。ふん、何よなによ。『別れよう』だって? 自分か
ら告白しといて勝手言ってんじゃないわよ。まったく。タバコ吸う
のが分かったからっていきなりそれは無いでしょ、自分だってタバ
コ吸うくせに。自分はよくてあたしはダメなんて男女差別もいいと
こだわ。なによ、まったく。あぁ、イライラする。あぁーん、なに
よなによなんなのよ、このプリクラ。デレデレ笑てんじゃないわよ。
あいつと取ったプリクラなんて全部燃やしてやる、この世から消し
てやる。手帳でしょ、携帯でしょ、机でしょ、あ、あとベットにも
………。ってなんでこんなにあるのよ、うきぃー、なんかよくわか
んないけどくやしいぃ。絶対全部燃やしてやるんだから。あいつの
顔なんてもう見たくない。…そういえば卒業アルバムにもあったな。
えっと、…そうよ、これよこれ。そうだわ、これよ。あたしの間違
いは全部この写真からなのよ。ふん、こんなとこ写真で撮られたか
ら告白されたのよ。なんで手繋いで笑ってんのよ。あんたのせいで
あたしは。でもさすがにアルバムは燃やせないわね。…マジックで
ちょび髭書いてやれ。キュ、キュっと、これでよし。我ながら上手
に書けたわ。ちょっとすっきり。………あれ? 携帯。誰からだろ?
あいつかな? これは確か…ピ。もしもーし、ささきー? なんの
よう? コンパ? 参加しろ? いやよ。聞いてるんでしょ。あた
しね、今失恋中なのよ、傷付いてんの。バカみたいに騒ぐ気分じゃ
ないの。え? タカシ君も参加する? バカ。なんでそれを先に言
わないの。え? 参加するに決まってるじゃないのよ。いつまでも
あんたみたいにウジウジしてらんないのよ。で、いつ? …ふんふ
ん、今日? わかったわ、行く。あ、そういえばあいつは参加しな
いでしょうね。参加しないぃ…。そう、じゃ今夜ね。ピ。あぁーん、
タカシ君、あたし振られちゃった。傷付き弱ったあたしを優しく慰
めて。そしてあたしを、今からたのしみだわ、うふ。ん? 携帯…
……、ささきめ、なんかいい忘れたのね、ピ。今度は何のよう……
…って、なんであんたが、なに? やり直そう? 俺が悪かった?
 あらそう、言いのよ、気にしてないわ。別にあたしはいい人見つ
けるから、じゃ。………言っとくけど、もう掛けてこないでね。ピ。
あぁ、彼氏に振られた悲劇のあ・た・し。タカシ君、そんなあたし
を、なぐさめてぇ〜。

第3回高校生1000字小説バトル
Entry4

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望遠レンズ付きストーブ

作者 : アタモミリヲ
Website : http://miriwo.net
文字数 : 672
ええ、俺もつい半年前に知ったんです。
勿論、最初は全然信じてなんかいませんでしたよ。いくら俺でもね、
あんなモノがこの世界に存在しているなんて、今でもちょっと信じ
られないくらいなんですから。
でも――あなただってもうすぐ体験するんです。一度あれを知って
しまったら病み付きだ。そうです、ちゃんとピントは合わせなくち
ゃダメですよ。そうしなきゃ、きっちり奇麗にいきませんからね。
そう、なんていったってあの世界にひとつしかない望遠レンズ付き
のストーブなんですから、丁寧に扱ってください。壊しちゃったら
大変だ。あんた、あんな高価なものを委員会に弁償させられちまう。
この不況の折のサラリーマンじゃ、一生かかったって借金返せやし
ませんぜ。普段だって俺たちはこんなに高い拝観料とその十五倍の
使用料払ってるのに、やってらんないに決ってますよ。あなた妻子
がいるんでしょ? なら尚更だ。本当に本当にほんとうに気をつけて
くださいよ。もちろん困るのはあなただけじゃないんですから。俺
だって困っちまいますよ。もうあれがないと、俺は生きていけない
んです。ここに来てるやつらだって、皆そうですよ。あなただって、
すぐそうなると想うな。俺も連中も、はじめは好奇心から一回だけ
って思ってやっちまうんです。でもね、最近、これは本気でヤバイ
と想うようになってきたんですよ。
なんせあれはですね――、
あ。今TVでCM流れますよ。あなたもこれを見て、ここまできた
んでしょう?

   『いつもあなたのそばに、望遠レンズ付きストーブ。
        あなたもここで取戻しましょう
      暖かで幸福な、遠い過去の思い出を――』

第3回高校生1000字小説バトル
Entry5

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Love is too young to know what conscience is.

作者 : KAZU
Website :
文字数 : 904
 「香織はもう出ましたが……」
 その言葉が、僕を走らせた。

 夕焼けが、雨に濡れた坂道を黄色に照らす。
 胸が苦しい。砂利を跳ねとばしながら、僕は坂のてっぺんにある
停留所へ走った。香織がバスを待っている停留所へ……。
 「……わたし、東京の大学いくんだ。でね、医者になるの……」
香織の言葉が頭をよぎる。
 東京……会いに行くにはあまりにも遠すぎる場所だ。なんで東京
なんかに行っちゃうんだよ。ずっと香織のそばにいたいのに。
 でも分かっていた。夢を追う彼女を、僕一人のわがままで止める
ことはできないんだ。分かっているさ。
 だけど、僕は香織に伝えたかった。胸を焼く、この想いを。
 今を逃したら、香織に二度と会えないような気がするから……。

 ……陽は沈み、時は刻一刻と消えていく。気持ちばかりが先走っ
て、足がもつれる。
 僕は額の汗をこぶしではらって、最後の急斜面を駆け登った。
 ……香織はまだ、そこにいた。スーツケース1つを持って。
 次の瞬間、バスのヘッドライトが走る僕のすぐ横を轟音と共に駆
けぬけた。

 「待ってくれ」大声で叫んだつもりだったが、声は情けないほど
小さくかった。
 バスが停車場に止まる。乗客は一人もいなかった。
 香織がバスのステップに足をかける。
 「香織!」香織が振り向く。僕はドアに倒れこんだ。
 あわてて香織が僕に手を貸してくれた。
 「雄輝……どうしたの?」とまどいの視線が、荒く息をつく僕を
見つめる。思わず目をふせる僕。
 ……くそ。どう切り出したらいいんだ。何か言わなければ……。
 「……医者になったら、また帰ってこいよな」

 どうしてこうブッきらぼうな口調になるっちゃうんだ? 香織の
顔がふっと曇る。そうだよ、香織だって好きで出ていくわけじゃな
いんだ。

 「うん。雄輝とは少しだけお別れだね」
 何してんだ、早く言えよ!
 「また……ここで、会えるよな……?」

 香織の目が、優しくほほえんだ。言葉は風となって、心のすき間
を満たした。
 「会えるよ……」
 僕の目の前でドアがゆっくりと閉まり、バスは走り出した。  
 手を振る香織の姿が、坂の下に少しずつ消えていく。
 バスが行ってしまった後も、僕は動けなかった。   
  ……これで良かったのだろうか?
 想いは伝わったはずなのに、気分はさっぱりするどころか、いよ
いよ激しく僕を動かそうとする。分かっているはずだろ。夢を追う
彼女を、僕一人のわがままで止めることはできないんだ。分かって
いるさ。ワカッテ……。

 「じゃあ、なんで泣いてるんだよ」

バトル結果

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作品受け付け3月5日〜4月28日(終了)
作品発表と感想票受け付け5月1日〜5月28日迄(終了)
投票結果発表5月31日



第3回高校生の部1000字小説チャンピオンは
KAZUさん作
『Love is too young to know what conscience is.』に決定しました!!
KAZUさん、おめでとう。
心より感動の拍手を贈ります。



作品
Love is too young to know what conscience is.(KAZU)4
にせもの(かくれはけい)3
望遠レンズ付きストーブ(アタモミリヲ)2
白昼夢(Ruima)1
悲劇のヒロイン(トト♂)1


Love is too young to know what conscience is.(KAZU)

にせもの(かくれはけい)

望遠レンズ付きストーブ(アタモミリヲ)

白昼夢(Ruima)

悲劇のヒロイン(トト♂)







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