第4回高校生1000字小説バトル
Entry10
パチッ……。デスクの電気が一つ消えた。 「ふぅ、やっと課題終わったよー。美希は?」 デスクの前に座っていた少女が背伸びをしながら後ろにいる美希に 問う。 「私もあと1問 だよ、麻里」 「お、がんばれ。ったくそれにしてもお腹空いたよぉ」 麻里が不満そうにいう。お互い課題をこなしベットに腰を下ろし眠 りにつくまでの時間を過ごす。 「麻里っていつもお腹空いたーしか言わないよね」 「うるさいなあ、人間の美希には一生わかんないことなんだから文 句いわない」 ぷうっと麻里の顔が膨れてしまった。彼女の態度も気にせず美希が 言い返す。 「あたりまえじゃない、私は吸血鬼じゃないんだから」 彼女の言葉に一段と膨れる麻里の頬。この会話、なんとも奇怪だ。 吸血鬼……。麻里は実のところ吸血鬼なのだ。いつからか彼女は美 希の部屋に居候していた。彼女が吸血鬼だと知っているのは美希だ け。言ったところで誰も信用しないだろう。 「ねえ、ちょっとだけ……だめ? 」 しばらくの沈黙のあと麻里が手を合わせて美希にいう。 「えぇ〜、嫌よ。あんたの牙って痛いんだもん」 「吸血鬼の牙は私のじゃなくても痛いっつーの!」 軽くつっこみを入れる麻里。 「人間はいいよね。お腹が空いたってコンビニだのに行けばいいん だからさ」 突如真面目なことを言い出す麻里に美希の方が調子を狂わされてし まった。 「どうしたのよ、麻里?」 「吸血鬼って映画とかで残酷だみたいに出てるけど、人間ってそん なこという資格あるのかなあ」 「どういうこと」 美希が聞き返した。 「人間は動物とか殺して、食べてそれで生きられてるわけでしょ。 吸血鬼だって同じ事してるだけじゃん、殺してないけどね。血がな いと生きれない、だから頂く。人間のしてることと何が違うの」 「それは……」 麻里の言っている事は決して間違っているわけではなく、だからこ そ美希は何もいえなかった。麻里が好きな時に好きなだけお腹を満 たす事ができないのは美希もよくわかっていた。それなのに指摘し てしまい美希は申し訳なくなってしまった。 「ご、ごめん。……私の血いる?」 美希の優しい言葉に麻里の目が輝いた。そして激しく頷きありがた く頂戴した。 やっとこさ、2人は床についた。心中は様々である。美希は今後 発言には気をつけようと思い、そして麻里は……。 フフ、美希って甘いなあ〜、今度からあの手で頂こう〜っと。 いたずらな吸血鬼と美希の夜は今日もふけて行く。
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