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第4回高校生1000字小説バトル
Entry5

ZERO

作者 : 中里 幸[なかさと さいは]
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文字数 : 769
ミエナイキコエナイカンジナイ。
闇の中にいるのは私…?
ミナイキカナイカンジエナイ。
今私は、何処に居るの?

 「――ゃん」
どしゃぶりの雨が降っている。もう何日も降り続いている…。
 「―ちゃん。」
目の前に少年が見える。見慣れた少年、其れは近所に住んでいる
評判の良い……
 「お姉ちゃん!!」
はっと気付くと自分の居る場所、その景色が一気に瞳の中に飛び込
んできた。私はよく来る洗足池にいて、木に寄りかかっている。何
故其れが判らなかったのだろう。そして少年を改めて見る、その数
秒後にやっと少年の名前を思い出した。忘れていた訳じゃないのに
…。
 「南君、どうしたの?」
その言葉を掛けると少年は少し悲しそうな、寂しそうな、何だか複
雑な表情をして
 「お姉ちゃん、やっぱり気付いてないんだね」
そう言った。
 南少年は確か小学生低学年だった気がする。礼儀正しい子で、か
といって優等生という訳でもない、感じの良い子だった。ただ、時
々妙な事を口走る、例えば独りで居るのに誰かと会話している素振
りを見せたり、在らぬ方向を見て先刻の様な複雑な表情を見せたり
…。其れから、少年は少し周りに比べて大人っぽかった気がする。
 「今日は良い天気だね」
少年に言われてふと空を仰ぐと成程雲1つ無い晴天だ。清々しい爽
やかな風が吹いている。でも待てよ。先刻は確か…。
 「あ、南。なにしてんの?」
少年がもう一人…。名前は確か…あれ、思い出せない。
 「桜井、近所のお姉さんと逢ったから話し、してたんだよ」
 「近所の?」
桜井少年は不思議そうな顔をして野球帽を外して、そして言った。
 「僕には何も見えないよ」
 
どしゃ降りの雨が降っている。私の心のなかに…。






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