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第4回高校生1000字小説バトル
Entry8

シャボン玉

作者 : 青葉大地
Website :
文字数 : 906
「なぁ、またシャボン玉なんか飛ばしてるのか。なんでいつもそん
なことばっかしてるんだ?」
 いつものように、縁側に座ってシャボン玉を飛ばしてる僕に向か
って義兄は云った。
「綺麗だからさ。」
「綺麗だからって………、そりゃあ、確かに綺麗だけど。こう毎日
飛ばしていて飽きないのか?」
「飽きないよ」
「わっかんねぇなぁ、ま、お前も女だったってことかな。」
「何言ってるんだよ!この馬鹿!」
「はいはい、じゃ、俺は部屋ん中に入ってるから、風邪ひかない内
にさっさっと切り上げろよ」
「ああ、そうするよ!」
「そんじゃあな」
 そう云って、彼は部屋の中に入っていった。
「まったく、もう………。」
  そう云いながらも、僕はシャボン玉を飛ばし続ける。
 シャボン玉は夕日に照らされてきらきらとひかる。



 何故シャボン玉を飛ばすのか。
 彼にはああ答えたけど、本当はもっと違う理由がある。
 それは、自分のため込んだものを飛ばすため。
 自分が感じた怒り悲しみ喜び……、そういった思いを空に向かっ
て飛ばすための。
 そう云ったものを詰め込んでいたら日常を過ごしていけないから。
 シャボン玉は僕の喜びや悲しみの色に染まってキラキラと光る。
 途中で壊れてしまって、その中の想いが僕に降り注ぐこともある
けれど、そういうときは仕方ないからその想いを受け入れる。


「まだ飛ばしてるのか?本当に風邪ひくぜ」
 突然声をかけられて振り返ると、彼が立っていた。
「あ、悪い。そろそろ止めるよ」
 そう云って、僕は立ち上がった。
 まだ、消えずに残っているシャボン玉を見て思う。
 彼は、僕の想いに気づいているのかな。と。
「ん?どうかしたのか?」
「いや、何でもない」
「そうか?なら別に良っか」
 そんなことを話しながら、僕らは部屋の中に入っていった。


 ああ、僕は明日も明後日もシャボン玉を飛ばし続けるだろう。
 喜びや悲しみ。そして、伝えることの出来ない彼への想いを空へ
逝かせるために。
 彼との日常を過ごしていくためには、この想いを伝えるわけには
いかないのだから。


 部屋にはいると、彼は云った。
「明日も晴れると良いな」
「なんで?」
「そうすれば、また明日お前がシャボン玉をとばせるだろ?」
「ああ………、そうだね」






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