第4回高校生1000字小説バトル
Entry9
ピィーー……。 高く、大きな笛の音がコートに無情に響き渡った。 ……終わった……。 観客の声がやけに遠くに聞こえる。 「さあ、並んで」 審判が、そう僕らをうながした。 「はい…」と力無く答えた。 悲しくはなかった。ただ、ただ悔しかった。 チームメイトの中には泣いている奴もいる。こういう時、淡白な自 分が無性に嫌になってくる。 ふと、相手チームを見ると喜び合っている中に見なれた顔がこち らを見ていた。幼なじみの秀人だ。 ゆっくりと秀人はこちらに近づいて来た。 「良かったな…」 先に気まずそうな秀人にこう言った。 「ああ…」 次に秀人がなにか言おうとした瞬間、向こうで秀人のチームメイト が秀人を呼んだ。 「呼んでるよ。じゃあな。」 まだ何かを言おうとしてる秀人にそう言い残し、僕は体育館をあと にした。 ……「なあ、バスケしようぜ」 あれは、いつだったか。詳しくは思い出せない。 急に秀人がそう、話を切り出してきた。 「でも、ゴールだって無いのにどうやってやるんだよ」 そうすぐに聞き返したが、その答えは案外簡単に出てきた。 「自分達で作ろうよ」 それから、僕らは毎日のように試行錯誤を繰り返し、ゴールは完成 へといたった。 ゴールといっても、貧弱なものだったが、それでも良かった。 ただ、ゴールがあるというだけで良かったのだ。 「来い! 秀人」僕はそう叫んだ……。 とぼとぼと夕陽に背を向け、帰っていた。 毎日、何の変化もない帰り道。だが、この日は違っていた。 いつもは、気にも止めない空き地になにかポツンとした物が見えた のだ。足は自然とそちらへ吸い込まれていった。 それは……、それは、バスケットのゴールだった。昔、作ったよう な……。 それから、座り込み、時間を忘れ、ゴールに見入っていた。 すぅーっと、一筋の涙が頬をつたった。 なんだよ…。悪態をついても次から次ぎへと涙が流れてくる。 キィー……。甲高い自転車のブレーキの音が聞こえた。とっさに涙 をぬぐった。 見ると、秀人が立っていた。 「家に行ったんだけど、まだ帰ってなかったからさ…」 秀人が独り言のように呟き、横に座った。 僕はしばらくの間、なにも言えなかった。 二人の間を初夏の心地よい風が吹き抜けていく。 急に秀人が立ち上がりこう言った。 「なあ、バスケしようぜ」 あの時の言葉……。そうか。そうだよな。 「来い! 秀人」 ここはただの空き地。だが、二人には立派な『コート』だった
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