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第3回中学生1000字小説バトル全作品・結果一覧


#題名作者文字数
1春の終わりに蒼倉宏明 -
2とある日、とあること ジェイ 835

第3回中学生1000字小説バトル
Entry1

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春の終わりに

作者 : 蒼倉宏明 [あおくらひろあき]
Website :
文字数 :
 葉桜が目につき、夏の暖かい風を全身で感じた。空を見上げても
なかなか快晴が望めない。ただ、雨の繰り返しだった。
いつもと同じ、なんら変わることのない毎日。無表情な時の流れ。
そしてあっという間に過ぎ去って行く日々。
 刺激が欲しいわけではない。どうにかして、今の生活を変えたい
とも微塵も思わない。ごく、普通の時間を普通に過ごせればそれで
良かった。なにもするわけではなく、記憶の何処かに置き忘れたギ
ターを横目に、机に向かって無気力な時を、まったりとした時間に
費やす。
 読書も長続きせず、本棚に無造作に散らかっている。買ったばか
りの携帯も、充電器に入れたまま放ってある。
 聞き飽きた音楽をMDで繰り返し聞くだけで、流行歌を買うこと
もない。
 結局、何も無かった。ただ、生きているだけである。
 そうこうしているうちに、既に日は暮れ、住宅街には静寂が訪れ
る。
 また、近所の犬の遠吠えがする。救急車のサイレンに併せて犬の
声も高鳴る。
 …サイレン?
 それは確かにここに向かっていた。着々と、それでいて堂々とし
た唸りをあげて。

 気が付くと、全身が熱を帯びて、熱くなっていた。むせるような
臭いが鼻につき、肺の中にまで一気に広がる。
 苦しい。
 堰を切るようにして、その場に倒れ込んだ。焼けるような熱さは、
いつの間にか苦しさを共合わなくなった。体が消滅していくのだろ
うか?
 ああ、死ぬんだ。そう思っただけだった。それでも、心臓が突き
刺さるほど痛かった。
 後悔というものを思い知った。
 下の階から誰かの悲鳴が聞こえる。幼い弟だろうか?彼も無気力
に死んでいくのだろう。無性に悲しかった。涙が溢れ出る。自分が
死ぬことよりも、大切な誰かが死ぬことの方が怖かった。誰かが助
けてくれるなら、まだ小学生になったばかりの無邪気な弟を救って
欲しかった。
 泣き声はもう、しない。後は炎の悲鳴だけだった。


 その2年後、僕らは墓参りに行った。小鳥の囀りが耳につく。
 2年前に死んだ、父親と母親が眠っている墓。僕らはそっと、手
を合わせた。
 幼い弟は車椅子の上で、必死に拝んでいた。僕も、目をつぶって、
祈りを捧げる。

 これからの人生を、無駄なく生きて行こうと思う。今までの埋め
合わせとして。尊い命の失われた価値は取り戻せないだろうが。
 そして、なにより僕は、強く生きていこうと思った。弟のために
も、僕自身の為にも。
 空は青く、澄み渡っている。
 見渡す限りの快晴が、目に透き通っていった。

第3回中学生1000字小説バトル
Entry2

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とある日、とあること

作者 : ジェイ
Website :
文字数 : 835
 目覚めると僕は僕ではなかった。記憶が全くない。
 …ここはどこだ? …そしてぼくは………
 真っ白な壁がまるで僕の心を映し出しているようで僕はますます
混乱していった。          
 頭の中で鉛のような物が記憶をさえぎっている。
 昨日は何をしていた?ええっと…
 
 コンコンっという音がした。その音がした方をみると白衣を着た
男が立っていた。そうか。ここは病院か。                   
       
 白衣を着た医者らしき人は僕が寝ているベットの横に来た。
「大丈夫かい?大分混乱しているようだね」医者は初めて口を開い
た。
「ここはどこですか?そして僕は…」

「君は記憶を隠したんだ」
「隠す?なぜ?…」ますます混乱してきた。
「それは君しか知らない。探したいなら探せばいい。でも前の君は
隠したがっている」僕は医者の言うことがうまく理解できなかった。
「どうする?探す?」医者は僕に言った。
 正直僕は自分の過去を知りたかった。興味が勝った。
「探します。…でもどうやって?」
 
 次の瞬間目の前に違う世界があった。見覚えがある。古びた建物
の中の廊下だった。 そうだ、ここは僕の通っていた学校だ。
 僕のクラスはたしかこの廊下をまっすぐ行った所だ。だんだん記
憶が戻ってくる。僕は走った。
 僕は教室の中に入ってみるとそこには人が群がっていた。
「なんだろう…?」 
 その群れを分け入ってその中心部をみると僕は真っ青になった。
 そこにはボコボコに殴られた僕がいたのだ。血が口からでていて
ホラー映画にでも出てきそうな姿だった。
 そうだ僕はいじめられていた。そんな自分がいやになって記憶を
隠したんだ。でもどうやって隠したかは忘れた。

 全てを思い出した瞬間またあの病院にいた。医者もいる。
「記憶は見つかったようだね」医者はいった。
「そっとしておいて欲しかった…」僕は知らない間に泣いていた。
 辛すぎる過去が再び僕を襲う。

 すると急に冷たい風が吹いた。顔を上げるとそこには真っ白い壁
も白衣の男もいなかった。
 そこは僕の家の近くにあった以前は総合病院だった場所であった。

バトル結果

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作品受け付け─── 5月20日〜6月20日
作品発表 ─────7月1日〜
人気投票受け付け ─7月1日〜7月28日迄
投票結果発表 ───7月31日

第3回中学生の部1000字小説チャンピオンは
ジェイさん作『とある日、とあること』に決定しました!!
ジェイさん、おめでとう。
心より感動の拍手を贈ります。

作品
とある日、とあること(ジェイ)2
春の終わりに(蒼倉宏明)1

とある日、とあること(ジェイ)

春の終わりに(蒼倉宏明)







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