第4回中学生1000字小説バトル
Entry2
……今日みたいな、満月の夜だった。 僕は、二階の自分の部屋から、ぼけーっと月を眺めていた。 思わずうとうとしかけた時……… 「ねぇ、そんなトコで寝ると風邪ひいちゃうヨ?」 突然、声がした。 ハッとなって顔をあげると、窓の外に、女の子がいた。 浮いている。 「だっ、誰だっ?!」 「私?……誰だと思う?」 「……ぇ?」 「私、天使だよ。遊びに来ちゃった」 嬉しそうな笑を絶やさない。 「…天………使……?」 「そ。天使」 彼女はくるんと背を見せた。 見える。 雲みたいなふわふわの羽根が生えてる。 「飛べるんだよ〜♪いいでしょ」 「いっ、いいでしょって言われても……」 彼女は自慢げにはばたいたりして、その辺を飛び回った。 微かに、甘い香りが漂う。 「?」 「……気付いた?」 振り向いて微笑みかける。 「何の香りだ?」 僕がわざと用心深げに聞くと、おかしさを懸命にこらえた顔で、 「…ねぇねぇ、人間は、私達天使の羽根を、どう思う?」 「え?」 僕はしばらく考えて、 「鳥の羽根みたいな、真っ白なモンだと思うけど……?」 彼女は、ふふふふっと、笑いをこぼしながら答える。 「それはず〜っと前の話。今じゃ、ホントに高級な天使以外は、こ ういう羽根を持ってるんだよ!」 少しはためかせる度に、甘い香りが立ち篭める。 「何の香り…?」 「あのねぇ、綿菓子なの!」 「はぁ?」 「皆は雲の羽根だけどね、私は綿菓子なの。そっくりだけど、綿菓 子の方が素敵だよね?」 僕は、『そうかな……?』と思ったけど、敢えて口に出さずにいた。 彼女は、ふっと顔を伏せると、 「…皆、雲の羽根の方がイイって、私の羽根を馬鹿にするの。私の 羽根なんだから、いいじゃない。ちょっとぐらい違ったって、同じ 天使だよね?」 「……うん」 僕が答えると、彼女の表情がぱぁっと明るくなって、 「だよねっ!」 嬉しそうに笑った。 彼女と僕は、しばらくいろんな話をした。 普段は雲に紛れている彼女の事、月の光を浴びるのが好きな僕の 事。 たまに人間達の世界を見下ろしていろんなコトを見ている事、見る だけで手出し出来ない自分がちょっとイラつく事…… 様々な事を話すと、月を見上げて言った。 「あっ、タイムリミット。またねっ♪」 次の瞬間、強い光が僕の眼を叩いて…… 気付いたら、うたた寝の形で窓辺にいた。 何しに来たのかよく解らない、お気楽で無邪気でゴキゲンな天使。 あれから結局会ってないけど…… また、会いたいな。
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