僕は、果敢なく散る木の葉を見つめていた。時は、巡りあれから 何年たったろうか-。 そうだ。僕は、置いてかれたんだ。みんな僕を捨てていく。時まで もが僕を捨てていく。 「待って、待って!!」 僕は叫びたかった。でも、叫んでも僕に気付いてくれる人はいない だろう。みんな見て見ぬ振りをしているんだ。 僕は、すべての人に嫌われていた。僕が何もできないからだ。 「何故、そんなことも出来ないんだ」 主犯格が、言っていた。 「君には、生きる資格なんてないね」 先生が言っていた。 「どうしてそんなに馬鹿なの!?」 母親が言っていた。 そんなに怒られても、僕は駄目だ。本当に僕には生きる資格なん ていらないのかも知れない。僕は、心の中で反芻していた。僕は、 その後、彼らによって時間を止められてしまった。そして時は無情 に過ぎていった。僕が知らない間に。僕は、子供のまま-。 僕が、想い出に浸っていると、誰かの香りがした。 「ごめんね。遅くなって。あの時は何もできなくて」 謝られても、僕は誰だったか思い出すことが出来ない。僕は憎しみ の塊、そんなこと言われても困る。第一、同情されるのは嫌いだ。 「木が好きだったでしょ。ずっと私、見てたもん。貴方が樹下にい るところ。ずっと、世話してた。気を愛してたんだね。誰にも負け ないぐらい」 僕は、嬉しかった。存在を認めていてくれたことが。やっぱり僕 はあの時生きてたんだ。生きててよかった。 その後、僕は悪魔から天使になるはずだった。でも、目の前が、 いきなり暗くなった。遠くなった。 そして、ぼんやりと見えてきた画面には、誰かが苛められていた。 そのとき僕は思い出した。僕が、苛める側だったことを。今までは、 すべて想像の産物だったんだ。 「ジュン、顔色悪ぃーぞ。どうしたんだよ!?」 俺は、目の前を見てはっとした。 「俺、帰るわ。こんなことしてる暇ないわ」 本当は真実が分かっていた。でも、怖かった。 「おい、頭、イカれたんか!?」 俺の友達が、頭を指して言った。しかし、決心を変える気はない。 俺の苛めてた子が、悪魔の笑いを浮かべていた。
……今日みたいな、満月の夜だった。 僕は、二階の自分の部屋から、ぼけーっと月を眺めていた。 思わずうとうとしかけた時……… 「ねぇ、そんなトコで寝ると風邪ひいちゃうヨ?」 突然、声がした。 ハッとなって顔をあげると、窓の外に、女の子がいた。 浮いている。 「だっ、誰だっ?!」 「私?……誰だと思う?」 「……ぇ?」 「私、天使だよ。遊びに来ちゃった」 嬉しそうな笑を絶やさない。 「…天………使……?」 「そ。天使」 彼女はくるんと背を見せた。 見える。 雲みたいなふわふわの羽根が生えてる。 「飛べるんだよ〜♪いいでしょ」 「いっ、いいでしょって言われても……」 彼女は自慢げにはばたいたりして、その辺を飛び回った。 微かに、甘い香りが漂う。 「?」 「……気付いた?」 振り向いて微笑みかける。 「何の香りだ?」 僕がわざと用心深げに聞くと、おかしさを懸命にこらえた顔で、 「…ねぇねぇ、人間は、私達天使の羽根を、どう思う?」 「え?」 僕はしばらく考えて、 「鳥の羽根みたいな、真っ白なモンだと思うけど……?」 彼女は、ふふふふっと、笑いをこぼしながら答える。 「それはず〜っと前の話。今じゃ、ホントに高級な天使以外は、こ ういう羽根を持ってるんだよ!」 少しはためかせる度に、甘い香りが立ち篭める。 「何の香り…?」 「あのねぇ、綿菓子なの!」 「はぁ?」 「皆は雲の羽根だけどね、私は綿菓子なの。そっくりだけど、綿菓 子の方が素敵だよね?」 僕は、『そうかな……?』と思ったけど、敢えて口に出さずにいた。 彼女は、ふっと顔を伏せると、 「…皆、雲の羽根の方がイイって、私の羽根を馬鹿にするの。私の 羽根なんだから、いいじゃない。ちょっとぐらい違ったって、同じ 天使だよね?」 「……うん」 僕が答えると、彼女の表情がぱぁっと明るくなって、 「だよねっ!」 嬉しそうに笑った。 彼女と僕は、しばらくいろんな話をした。 普段は雲に紛れている彼女の事、月の光を浴びるのが好きな僕の 事。 たまに人間達の世界を見下ろしていろんなコトを見ている事、見る だけで手出し出来ない自分がちょっとイラつく事…… 様々な事を話すと、月を見上げて言った。 「あっ、タイムリミット。またねっ♪」 次の瞬間、強い光が僕の眼を叩いて…… 気付いたら、うたた寝の形で窓辺にいた。 何しに来たのかよく解らない、お気楽で無邪気でゴキゲンな天使。 あれから結局会ってないけど…… また、会いたいな。
作品受け付け中!!───7月4日〜7月28日迄
作品発表───8月4日〜
人気投票受け付け───8月21日〜9月20日迄
投票結果発表中───12月23日
第4回中学生1000字小説バトルは同票により引き分けとなりました。
参加作品が2点のうえ、感想票も少なく、盛り上がりに欠けましたが、
参加してくれたBlueBlueさん、葵さん、そして感想票を寄せてくれた皆さん。
ありがとうございました。次回は皆で頑張ろう!!
●甘い天使と月と僕(BlueBlue)
●いじめ(葵)
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