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第5回中学生1000字小説バトル
Entry3

闇屋雑貨店

作者 : 左右田紗葵 [ソーダサキ]
Website :
文字数 : 966
いらつしゃいまし。
綺麗な猫を御抱きになつていらつしゃいますのね。
凛々しい騎士のやう。アメリカン・ショウトヘヤアでしたつけ。

……奥様は甘い闇を御求め?
 ───さう、紅い硝子瓶のなかですわ。

「『だらだら貴方の傍に居て良いの?
 あたしが死んでも愛してくれる?』
   あの人に聞いてみていいと思う。だって近頃かまってくれやしな
 いんだもの。あたしだけどきどきしてあたしだけ喜んで。つまん
 ない。これなら独りで居るのと同じ。傍に来てほしいの。なにを
 するときもあたしと一緒にしてよ。いつもあたしだけいっぱい話
 してるけど、聞いてくれてるのかしら。優しい澄んだ瞳。微笑ん
でる口元。真っ直ぐな背中。ながい足。よく考えてみればあの人の
ことなんて外側しか知らないのよ。もっと見せてよ。教えてよ。た
くさんのこと。いろんなこと。そういえば何か月か前に逢ったとき、
さりげなく最近見かけた可愛い女の子の話をした。うん、あの人の
いちばん大事なものが…大事だと思う人間があたしじゃなくても良
いわ。だってあの人に近付く『いまどき』の女の子にあたしより
『大人』の女の人に敵うような躰でも心でもないから。でも傍に居
てほしい。もっと話してほしいの。嘲らない笑った顔をちょうだい。
あたしの頬を伝う孔雀の羽根の色をした涙を拭って。」


いかがでした。いい闇でございませう。
……あら。いい闇だと思うのですけれどもねえ。
お気に召しませんでしたか。

意味ですか。これには無いのです。
けれども闇なのですよ。お客様。
あゝ触れてはいけませんよ。
ひき込まれてしまいますわ。
さうでせう。
おやめになつたほうがよろしいですわ。

闇ではないとおつしゃるの?
…………ぢゃあ、さうかもしれませんわ。






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