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第5回中学生1000字小説バトル
Entry6

月光の元で想う

作者 : 聖夜里奈
Website : http://omosiro.com/~lina
文字数 : 1000
・・・愛するとか愛されるとか、なによ、それ。

――馬鹿らしい――


 薄っすらとした意識の中、
重たいまぶたを無理やりこじ開けると、
そこには夢の世界よりも、遥かに暗い世界がある――
そんな気が、した。

・・・私、何時の間にか、寝ちゃったんだ・・・。

窓辺からは、青白い月の光が差し込んでいた。
くしゃくしゃになったスカート、セーラー服のリボン。
手には、読んでいた本と・・・反対には、薄っぺらい、
紙製のしおり。
――彼女にとっては、それらが全て、
時間の経過を意味しているように思えた。

・・・彼女の趣味である読書は、
何処へ行っても彼女の日課であり――
言い換えれば、それしかすることがなかった。
ひどく内気な性格から、学校には友達もいない。
それは、人前に出ると何も言えなくなってしまうが故。
無論、皆が彼女のことを嫌っているわけではなく、
彼女が皆のことを、嫌いなわけでもない。
それに、
別に彼女には、欠点しかないと言うわけでもなく、
確かに、学力は学校一なのである。

彼女は本にしおりをはさみ、
暗い部屋の中で一つ、伸びをした。
そして、手に持つ本を・・・じっと、見つめる。
表紙では、思い悩む主人公の女の子。
そしてそれを、後ろから抱きしめる順主人公。

・・・愛するとか愛されるとか、なによ、それ。
――馬鹿らしい――

その、主人公の言葉が――
彼女の頭からは、離れようとはしなかった。
だが。
彼女は知らずに、彼に支えられている。
本当は、彼のことを愛しているじゃないかと。
読者なら、誰にでもわかるほどに愛しているじゃないかと。
・・・だけど彼女は、意地を張り通して、何も言わない。
それは、誰から見ても、意地っ張りな主人公だった。
けれど彼女にとっては、それですら、うらやましかっのだ。
人前に出ると、何もいえない。
この歳だもの。
好きな男の一人や二人いて、当たり前といえば
当たり前なのかもしれない。
そういう面では、彼女も一人の『女の子』なのだ。

――誰も、知らない。気づかない。
私が『あの人』のことを、
こんなにも好きだということは・・・
誰も、知らないのだ。

・・・知らずのうちに、『彼女』をうらやましいと思う自分に、
自嘲の笑みをもらす。

思い、悩む。
しかし、思い悩むだけでは、どうにもならない。

一つ、ため息をつくと、
彼女は本をテーブルに置き、部屋を静かに出て行った。

――残るは月明かりに照らされた、
  彼女にとっての『理想』。
  そして、主人公にとっての『思い悩み』のみ――






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