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第5回中学生1000字小説バトル全作品・結果一覧


#題名作者文字数
1ミルク望月 翼 994
2Time for tea春詩音 1000
3闇屋雑貨店左右田紗葵 966
4※作者希望により掲載を終了しました。
5玩具 998
6月光の元で想う聖夜里奈 1000

第5回中学生1000字小説バトル
Entry1

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ミルク

作者 : 望月 翼
Website :
文字数 : 994
 3時半。今日は“ちょっとした”用事があって急いで帰らなけれ
ばいけなかった。下履きを取り出し、地面に叩きつける。そしてそ
れとともに走り出す……はずだったのだが、走り出す瞬間誰かに呼
び止められたことに気づいた。
 心の中で愚痴を漏らしながら辺りを見回す。視界の中に見慣れた
顔が映る。
「蘭、どうしたんだよ?」
 俺が蘭に近づく。蘭は顔を紅潮させていた。別に幼馴染にそこま
で紅くする必要はないのだが……
 俺の胸に手紙が押し付けられた。
「こ、これ。読んでね」
「ああ」
 俺はそれだけを言い残しきびすを返した。
「待って」
 蘭が俺の腕を無理矢理掴んだ。いきなりの出来事に俺は驚いた。
「何だよ?」
 今ほど蘭を邪魔臭く思ったことはなかった。そのせいか言葉遣い
が荒くなっていた。
「それ……今すぐ読んでくれない?」
「今日は忙しいから返事は明日渡すな?」
 蘭は僕の腕を掴んだまま首を横に振った。
「お願い。今、読んで」
 なぜか蘭の瞳は潤んでいた。
 手紙には1行しか書かれていなかった。

『好きです  蘭』

 僕はしばらくして目線を蘭に移した。僕らは何も言うことができ
ないまま黙っていた。
 10分くらいしただろうか? それまで僕は何も言わなかった。
“用事”なんて忘れてしまっていた。何を言うべきかはわかってい
る。ただ、なぜか口からその言葉が出て行かなかった。
 いや、出てくるはずがなかった。あの人には言える言葉を蘭には
言えないのだ。
 僕は何も言わず蘭をきつく抱きしめた。蘭は抵抗するどころか僕
の背中に腕を回してきた。僕は更にきつく抱き締める。
 周りからの野次も僕たちの耳には入らなかった。
 優しく蘭の顔を引き寄せ、唇を合わせる。 
 ほのかなミルクの香りが僕を撫でた。

『Can you love me ?』
 彼女の質問に僕は当然のように『yes』と答えた。
 今日のメールはたった1行だけ書かれていた。
『You are a liar』と……
 そう僕は大ウソツキだ。僕は『彼女』に恋していたのではなく
『生徒と教師』という愛に恋していたのだから……
 僕は蘭の携帯にメールを送った。
『Can you love me?』
 心の中で誰かが囁いた。
「Can I love her?」
 僕の心が甘いミルクに包まれた。

第5回中学生1000字小説バトル
Entry2

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Time for tea

作者 : 春詩音
Website :
文字数 : 1000
 僕は毎朝日課の、散歩をしてたんだ。君が消えてからの日課。僕
の頭は、君が突然消えた結婚式場、悲しむ親、世界が(僕達の)消
えて行く瞬間で、溢れて消える事は、殆ど無いだろう。何がその日
の僕にそうさせたのか。
 僕は、毎朝通り過ぎるだけの喫茶店に入った。
 所で僕が今、君(誰か、誰にだろうか?)に話してる事は本当に、
一瞬で起こり、消えたんだ。御茶を頼んで、砂糖を入れる迄の時間。
或いは、地球が傾く迄の時間、或いは一日と言う概念の法則で出来
た時間、或いは、或いは、何だろう?
 兎に角、一瞬で起こり消えて、片方の僕の視点からは、永遠、今
も、起きてる事なんだ。
 御茶が僕の所に運ばれて、コールガールが、僕の方を下品な視線
で眺め、僕と視線が合った瞬間コールガールが銀ラメの毛糸の上着
から下着を着てない胸を、(豊満な胸を)わざと、(実にわざとら
しく)はだけて、僕がコールガールの所に行く前に出来事は起きた。
コールガールの視線が熱過ぎて窓の外を眺めたんだ。僕の「君」
(世間一般で通じる俗称を使えば彼女、結婚相手、同棲相手、セッ
クスフレンド、大切な人)が(所で僕の「君」に対する想いは、俗
称のどれにも当てはまらなかった)僕の方を見ながら、車が走って
る道を微笑みながら、歩いてきた。
 それは、「不気味」に写るだろう。だが、違かった。むしろ、何
よりも爽やかで、美しい姿だった。彼女は束縛から開放されたのだ。
 ……。
 車が去って行く。
 信号が青に変わる。
 死体が……死体が、無い? 彼女の姿形、何も無い……? 彼女
は一体? その後、僕はとんでもない喪失感、絶望感、虚無感に襲
われた。僕は生まれて、初めて、膝を震わして、泣いた。忘れよう
と努力してた物事がぶり返す様な感覚。
 ……。
 数分後、泣いてる僕に例のいやらしいコールガールが(豊満な胸
の良い女)、僕に向かって来て「何で泣いてるのか知らないけど、
あなたハンサムだから、一万で良いわ」と言った。僕は無視した。
「ほら、泣いてないで私の暖かい性器に全部ぶち込みなさい」
 普通は、普通は只単にいやらしいだけだ。だが、僕はコールガー
ルの言葉に愛を感じた。
 金で買った愛とか、何も理解出来てない評論家が言いそうだ。だ
が、違う。僕等の間には愛が有ったのだ。
 ……。
 結局、この今僕が話してる話で、僕が何を伝えたいのか僕自身分
からない。だが、何か感じ取った物が有った。それを、誰かに伝え
るべきだと思った。
 僕は今君にこの手紙を書きながら、大好きな本を読んでる。岡崎
京子の、(岡崎は僕の神、師匠だ)「リバーズエッジ」を読んでる。
この漫画の中で、良い言葉を教えて上げよう。

「平坦な戦場で僕等が生き延びる事を」……。

第5回中学生1000字小説バトル
Entry3

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闇屋雑貨店

作者 : 左右田紗葵 [ソーダサキ]
Website :
文字数 : 966
いらつしゃいまし。
綺麗な猫を御抱きになつていらつしゃいますのね。
凛々しい騎士のやう。アメリカン・ショウトヘヤアでしたつけ。

……奥様は甘い闇を御求め?
 ───さう、紅い硝子瓶のなかですわ。

「『だらだら貴方の傍に居て良いの?
 あたしが死んでも愛してくれる?』
   あの人に聞いてみていいと思う。だって近頃かまってくれやしな
 いんだもの。あたしだけどきどきしてあたしだけ喜んで。つまん
 ない。これなら独りで居るのと同じ。傍に来てほしいの。なにを
 するときもあたしと一緒にしてよ。いつもあたしだけいっぱい話
 してるけど、聞いてくれてるのかしら。優しい澄んだ瞳。微笑ん
でる口元。真っ直ぐな背中。ながい足。よく考えてみればあの人の
ことなんて外側しか知らないのよ。もっと見せてよ。教えてよ。た
くさんのこと。いろんなこと。そういえば何か月か前に逢ったとき、
さりげなく最近見かけた可愛い女の子の話をした。うん、あの人の
いちばん大事なものが…大事だと思う人間があたしじゃなくても良
いわ。だってあの人に近付く『いまどき』の女の子にあたしより
『大人』の女の人に敵うような躰でも心でもないから。でも傍に居
てほしい。もっと話してほしいの。嘲らない笑った顔をちょうだい。
あたしの頬を伝う孔雀の羽根の色をした涙を拭って。」


いかがでした。いい闇でございませう。
……あら。いい闇だと思うのですけれどもねえ。
お気に召しませんでしたか。

意味ですか。これには無いのです。
けれども闇なのですよ。お客様。
あゝ触れてはいけませんよ。
ひき込まれてしまいますわ。
さうでせう。
おやめになつたほうがよろしいですわ。

闇ではないとおつしゃるの?
…………ぢゃあ、さうかもしれませんわ。

第5回中学生1000字小説バトル
Entry5

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玩具

作者 : 梟 [フクロウ]
Website : http://www2.to/hukurou/
文字数 : 998
家にマシンガンが送られてきた
差出人は不明
住所も名前もきっちり僕のものだ
最初はおもちゃかと思ったが
弾が一緒に送られて来ている所を見て
おそらく本物だろう
弾は完璧に本物だろう重量感がいかにも本物っぽい
他に手紙か何か無いか探したが何も無かった
一体、なんなんだ?
こんな
別にどうでもない中学生にこんなものを送ってくるなんて
親に言うべきか?
だいたい
こんな物所持してたら銃刀法違反とかにひっかからないのか?
これで、誰か殺せって事か?
別にそんな殺したい程憎んでる奴もいないよ
そんな事を考えながらマシンガンを見つめていると
部屋のドアから誰かがノックする音が聞こえた
「ねぇ、一体、何だったの? 随分、大きな包みだったけど」
母だ、僕はヤバイとその時思ってしまい
とっさにマシンガンを畳んであった
布団に隠すようにしまいこんだ
「別に何でも無いよ」僕は言葉をかみながらも言った
「あらそう」母はここ二階から階段を降りていった
なんで、言わなかったんだと自分を責めたがどうしても怖かった
それにしても母があれで立ち去ったのは幸いだった
『捨てる』
とっさにこの言葉が考えが頭をよぎった
今は午後八時
外はもう真っ暗だ
通っている中学校の近くに森みたいな場所があるそこに埋めよう
僕はマシンガンを包みに包み込み
家を出ていった
母には「おもちゃだったからちょっと遊んでくる」と言った

森の中
真っ暗で何も見えないがとにかく人が来そうに無い所を探した
かなり
奧まで入りここなら大丈夫だろうと思う場所を見つけた
スコップも何も持って来てなかったので手で穴を掘った
なんとか、しまい込めそうなぐらいまで穴を掘ると
包みを中に入れまた土をかぶせた
最後に土を何度も踏み土を固めた
その場から走り去った

家に帰ると母から「おもちゃはどうしたの?」
と聞かれたが「壊れたから捨てて来た」と言っておいた
自分の部屋で落ち着くとずっと手が震えていた事に気付いた
テレビをつけ気を紛らわそうとしたが無理だった
もう、今日はおもちゃをただ埋めにいったと
今日はそう思いこみ寝ることにした

 次の日
その日は何もなかったかのように学校に行き
勉強したり友達と話したりいつもと変わらない日だった
だが、家に帰ると母が
「また、あの包みが来てたわよ良かったわね」
僕は叫びながら自分の部屋へ駆け込んでいった

第5回中学生1000字小説バトル
Entry6

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月光の元で想う

作者 : 聖夜里奈
Website : http://omosiro.com/~lina
文字数 : 1000
・・・愛するとか愛されるとか、なによ、それ。

――馬鹿らしい――


 薄っすらとした意識の中、
重たいまぶたを無理やりこじ開けると、
そこには夢の世界よりも、遥かに暗い世界がある――
そんな気が、した。

・・・私、何時の間にか、寝ちゃったんだ・・・。

窓辺からは、青白い月の光が差し込んでいた。
くしゃくしゃになったスカート、セーラー服のリボン。
手には、読んでいた本と・・・反対には、薄っぺらい、
紙製のしおり。
――彼女にとっては、それらが全て、
時間の経過を意味しているように思えた。

・・・彼女の趣味である読書は、
何処へ行っても彼女の日課であり――
言い換えれば、それしかすることがなかった。
ひどく内気な性格から、学校には友達もいない。
それは、人前に出ると何も言えなくなってしまうが故。
無論、皆が彼女のことを嫌っているわけではなく、
彼女が皆のことを、嫌いなわけでもない。
それに、
別に彼女には、欠点しかないと言うわけでもなく、
確かに、学力は学校一なのである。

彼女は本にしおりをはさみ、
暗い部屋の中で一つ、伸びをした。
そして、手に持つ本を・・・じっと、見つめる。
表紙では、思い悩む主人公の女の子。
そしてそれを、後ろから抱きしめる順主人公。

・・・愛するとか愛されるとか、なによ、それ。
――馬鹿らしい――

その、主人公の言葉が――
彼女の頭からは、離れようとはしなかった。
だが。
彼女は知らずに、彼に支えられている。
本当は、彼のことを愛しているじゃないかと。
読者なら、誰にでもわかるほどに愛しているじゃないかと。
・・・だけど彼女は、意地を張り通して、何も言わない。
それは、誰から見ても、意地っ張りな主人公だった。
けれど彼女にとっては、それですら、うらやましかっのだ。
人前に出ると、何もいえない。
この歳だもの。
好きな男の一人や二人いて、当たり前といえば
当たり前なのかもしれない。
そういう面では、彼女も一人の『女の子』なのだ。

――誰も、知らない。気づかない。
私が『あの人』のことを、
こんなにも好きだということは・・・
誰も、知らないのだ。

・・・知らずのうちに、『彼女』をうらやましいと思う自分に、
自嘲の笑みをもらす。

思い、悩む。
しかし、思い悩むだけでは、どうにもならない。

一つ、ため息をつくと、
彼女は本をテーブルに置き、部屋を静かに出て行った。

――残るは月明かりに照らされた、
  彼女にとっての『理想』。
  そして、主人公にとっての『思い悩み』のみ――

バトル結果

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作品受付───1月28日(〆切りました)
作品発表───2月1日〜
感想票受付──2月1日〜〜2月25日迄
結果発表中!!───3月5日



第5回中学生1000字バトルチャンピオンは、
『玩具』梟さん作に決定です。
梟さんおめでとう。
票を得た人も、とれなかった人も、次回頑張りましょうね。
感想票をお寄せいただいた読者の皆さん、ありがとうございました。



作品
玩具(梟)3
ミルク(望月翼)2
time for tea(春詩音)1

玩具(梟)

ミルク(望月翼)

time for tea(春詩音)







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