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第1回学生課題小説バトル
Entry5

夏夜夢 勿忘草

作者 : 青葉大地
学校 : 静岡県立富士東高等学校2年
Mail : snmm@thn.ne.jp
Website :
文字数 : 999
「ねえ、どうしたの?」
 突然、僕と同い年くらいの見知らぬ女の子が話しかけてきた。
「え?」
「え?じゃないわ。せっかくのデートなのにさっきからボーっとし
てて上の空じゃないの」
 いきなりそんなことを言われても、僕には何もわからなかった。
僕は、彼女のことを、まったく覚えていないし、そもそも何故自分
がこんな所にいるのかどうかもわからない。なんか、まるで夢の中
にいるような………。
 何も答えれずにいると、今度は心配そうに話しかけてきた。
「もしかして、熱でもあるんじゃないの?」
 彼女の手が、僕の額に触れた。
 その感触が、現実感を呼び戻していきだんだん今の状況がわかっ
てきた。
 そう、彼女は栞は僕の恋人で、今日は一ヶ月ぶりのデートで遊園
地に来ているところなのだと。
「大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしていただけだから」
 栞の手を心地よく思いながら答える。 
「そう?ならいいけど……」
「ほんとに大丈夫だって、それより早く乗り物にでも乗ろうよ」
「それもそうね。じゃ、行きましょ」



 それから、僕たちは遊園地を思いっきり楽しんだ。
 絶叫マシン乗ったり、アイスを食べたり。お化け屋敷では、栞が
悲鳴を上げて僕にしがみついてくる様子が可愛かった。怖いもの知
らずの性格のくせに、こういうものだけは苦手らしい。
 閉園近くまで遊んで、最後に、観覧車に乗ることにした。


 向かい合わせに座ったのは良いけれど、栞の顔を見るのがなんだ
か照れくさくて、僕は窓の外の夜景を見ていた。
「今日はどうもありがとう、とっても楽しかった」
「ううん、こっちこそ楽しかったよ。またいつか来たいね」
「うん、そうね。また何時か来れると良いよね」
 栞は微笑みながら、僕の方に移動して来た。
「ど、どうしたの?」
 僕の問いには答えずに、栞は僕の額に手のひらを当ててきた。
 すぅっと、意識が遠くなっていくのを感じた。
「本当にありがとう。そして、ごめんなさい。でも、あなたと……」
 薄れる意識の中、右手に何かを握らされたような気がした。





 目が覚めると、僕は自分の部屋にいた。
 何か夢を見ていたような気がしたが、靄がかかったようで思い出
そうとしても思い出せなかった。
 右手の手のひらに違和感を感じ見てみると、青い小花が集まって
咲いている花。勿忘草を握りしめていた。
「勿忘草。確か、花言葉は『私を忘れないで』………」
 窓の外を見てみると、月が煌々と夜の街を照らしていた。
 夏の夜は静かに更けていった。







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