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エントリ1
無神派のバラード
歌羽深空
帰り際、奴が言った。
「蟻を潰した事あるか?」
勿論、俺にはそんな趣味は無い。でも、小さい頃に踏んだ事がある気もする。
「小さい頃に少しあったかもな。」
奴は言う。
「なら、お前踏んだ時の心境は覚えているか?」 「いや。」 「お前、踏んだのは小さい頃、だろ?その頃、ムシャクシャして八つ当たり、何て事はないだろう?」 「まぁ。」 「それは自分の意思じゃない、って知ってるか?」 「はぁ?」 「10歳までな、自分が考える他に、神に従う行動をとるんだと。食物連鎖のピラミッドで、どこかが偏ると他が協力して元に戻すってのがあるけど、あれと似ててな。少しずつ、人間の子供によって多いのを減らしてな。そうだ、子供が風呂で溺れて死ぬのもそれ。うまく調整しているんだとよ。」 「お前、どこかの宗教に入ってるのか?」 「いや。ま、心の隅にでも捉えておけよ。」
嫌な話だったので、早く忘れようと家路を急いだ。 すると、蟻を潰している少女を見た。 更に気分が悪くなり、早く帰ってしまおうと思った時、 先程まで蟻を潰していた少女がこちらへ向かってきた。 次の瞬間、少女は俺にぶつかり車道に押した。
眩しいライトとクラッシュ……
彼女の顔は、先程の顔と全く同じで。
エントリ2
いつも
越冬楓
昨日の夜から続いた雨で道はぬかるんでいた。
今日は体が茶色くなりそうだ。 この持って生まれた黒い体のせいで、片足がうまく動かなくなってしまった。 猫を五年もやってるといろいろある。 道路を横切ると、近くにいる人は悲鳴をあげる。 大通りを歩くと、石が飛んできたりする。 僕は不吉な黒猫らしい。 なんにもしてないと思うんだけどな…。 公園の時計台の短い針が真直ぐ太陽を差したとき、雨はもう上がっていた。
ここで日向ぼっこをするのが僕の日課だった。 鳩がバタバタやってると、捕まえたくなるがそんな身体能力は僕にはなかった。 やつらは、バタバタやりながら餌を食べていた。 毎日餌を持ってきているおばさん。 あの人はどこから来て、どこに行くんだろう。 そんなことを考えていたら、寝てしまった。
起きると、もう夕方だった。 紅く染まった空を背にいつものおじいさんのところに帰る。 おじいさんは不吉だと言われる僕に暖かい寝床とごはんを用意してくれた。 目の見えないやさしいおじいさんだ。
家に帰って、おじいさんのところに行く。 ただいまの変わりに体によりそう。
今朝から何の反応もしてくれないおじいさんの体は冷たくなっていた。 今日のご飯は食べれそうに無い。
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