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第12回中高生500字小説バトル

エントリ 作品 作者 文字数
1sunlight memory暇 唯人412
2三浦君のラブレター花村 彩邪500


バトル開始後の訂正・修正は受け付けません。

バトル結果







エントリ1  sunlight memory     暇 唯人


甲高いサイレン俺の鼓膜を振るわせた

もう、終わり。  全部、終わり。
俺たちの目標は達成されないまま、終わった。
それへ向けて努力した結晶が眼から流れる。 嗚咽も、漏れる。
それは俺ではなかった。 

俺以外の仲間達だけだった。

敗者は去る。 

……オヤジがよく言ってくれた。 往生際が悪い俺によく。
その前に、ここの土を集めるという事もしないといけない。
俺は地面に顔を向け、土をかき集めはじめた。
今まで数え切れない人がこういう風にし、その地面を湿らせた。

だが俺は違っていた。

その後ここから離れる時、強烈な虚無感に襲われた。
まるで抜け殻になったように焦点は定まらず、何処を見て何を考えてるのかも分からない。
そして、俺の努力の結晶が流れた。

オヤジ……アンタ凄ぇな………俺は…アンタに敵わなかったよ……
アンタもここの土を湿らせたんだろ………けど、それは違う物で……
ホンモノの努力の結晶だろ!? 
なぁ……答えてくれよ……?

答えは勿論返っては来ない。





エントリ2  三浦君のラブレター     花村 彩邪


 今日の現代文は「3桁ラブレター」についてだった。
たった3桁に想いを乗せる事がどんなに難しいか、と先生は
私達に問いかけた。
「では、実際に作ってみよう」
 
 “思い出に出来るワケがない
  忘れられるハズがない
  こんなにも胸が高鳴るのだから”

 三浦君へと想いを乗せた、これが私の詩。
見ているだけじゃ最近は物足りない。もっと喋りたい・・・
想いが強くなればなるほど辛くなる。
それでも三浦君を忘れたいなんて思えない。
だって、こんなにも好きなのだから。
 「次ー、三浦」
先生が三浦君を指名した。
私は静かに三浦君の方へ耳を傾けた。
 窓からそよ風が入ってくる。もう秋入りしたはずなのに
外ではセミが鳴いていた。この何でもない午後が幸せだと改めて思う。
「どしたー、三浦。早く自分の読め」
「あ、ハイ。えっと・・・
 
 “こんなにも好きだから、
 もう気持ちは止まることを知らないから
 どーにかしてよ、金原さん”」

 クラス中がどよめいた。男子は嬉しそうな顔で冷やかして、
女子は「きゃ―!」といって顔を赤くする。
先生は満足した様に頷いて、三浦君は耳まで真っ赤だった。
クラスの誰かが言った。
「返事は?!」
そして皆が一斉に私の方を見た。