想えば想うほど 愛しいどうして、こんな気持ちに?みんな同じ 人間だけれどたったひとり、そう思えない。「特別」な気持ち。出会いきれない、この世の人々のなかで唯一の存在でも、鎖で繋いではいけない籠の中に閉じ込めてはいけないはばたく姿を、見ていたい「どうか、私をすてないで」あの人を想うたび、そう願う。足枷にはなりたくない。でも、ついてゆきたい。私も、羽の一部になりたい
何度か否定されただろうね、僕の金属とそのあいだのジィィという音とついでの糸のほころびと確かめようもない高まりとおっぴろげたモルタルとして生きていたような気がしても ナァ、言葉少なめの懺悔だろほら、しゃがみこめよ、なぁ、なぁなぁ包む唾液としてしのいできた気がしてたんだ ヘヘ、離さないけどな、嫌わないでくれよほら、深く、誰も追って来れなくなるまで貫いてなんか繋がってないような気はしたんだ わかったよ今日は、住むよ、ここに、誰様のお家か、知らないけれど掃除屋、やってくる時間か? お前、あの壁は、ないだろうあの絵いくら黒い線で描いても、可愛くなるってもんじゃないんだろ帰るよもう、こんな扱いされるなら帰るよもう、裸の体に帽子だけ
もしも教えてくれるなら、聞いてみたいことがある「いつかきっとまた会える」あの時、君はそう言ったいつかとは、一体いつのことなのか教えて欲しい「どこかできっとまた会える」あの時、君はそう言ったどこかとは、一体どこのことなのか教えて欲しい「いつかどこかでまた会える」あの時、君はそう言ったいつかどこかで・・・それは確かな約束なのか?教えて欲しい
あの時君は僕には見えなかった沢山の星をこの夜空に見ていました.こんな汚れた都会の夜空を見て『今夜も星が綺麗だねぇ』ってゴキゲンに夜の散歩.今では僕も少しづつ星が見えるようになってきました.もう君は隣には居ないけど.君が教えてくれた方法で今夜もまた一つ新しい星を見つけながらゴキゲンに夜の散歩. ※作者付記: 毎晩夜の散歩に連れて行ってくれた父親のことを思い浮かべながら唄った詩です。
喋ることのできない黒猫は危険を主に報せる為に主の前を横切った喋ることのできない犬は寒さに凍える主の為に主の傍に寄り添った喋ることのできない鳥は不安で眠れぬ主の為に主の横で歌を歌った喋ることのできる僕達は誰の為に何ができて誰の為にこの言葉を紡ぐのだろう
五体突き抜け飛び火する 気持ち先走り四散する 銀の原っぱ通りすぎ 目にするものに惑わされ 黙しても満たされない おの我ために飛び出した
9月の台風が過ぎた、初秋の暑い夕暮れ、両眼を閉じて、熱の籠もったお前の胸の香りを吸うと、単調な太陽の火のギラギラ光り、安楽の世界が、眼の前に繰り広げられる。 アンリ・ルソーが描くべきの、珍しい樹木は自然に生い茂り、味の濃い果実の自然に生る、無為の島。島の男の肉体は、筋肉を剥かずに逞しく、女の瞳は、純粋無垢に、人を打つ。お前の香りに誘われて、愛らしい風土に誘われて、風帰る方を見れば、港にが満ち溢れた帆や帆柱、疲れも重く、遥かな波路を凌いで来た。その時、緑の椰子の匂いは空にタユタヒ、 私の鼻孔を膨らませて、魂の底で香りに絡み取られて、水夫の唄と縺れあう。
声を上げるすべも知らずただ傷つけられ それでも命をはぐくむことを止めない太陽を見つめ、月に魅せられ青く息づいて 生きる世界の傷痕は大地を蝕む 人が犯す 生きてる限り続く 原罪の螺旋道を開き 煙を放つ腐る海やがてすべてを世界に押し付け罪人に仕上げる 他の誰かを・・・悲鳴は聞こえない光に為りたいと思うこの大地が罪を欲した人間を今もまだ受け入れている定め故のものか存在理由ゆえのものかほらそこに 気づけば一輪の花ほらそこに 気づけば凛とした風恵みを育むこの大地に人類の存在はいかに?途方もなく長い時間を過ごす孤独な大地命を産み 命を貰い そして奪われ 蝕まれ命題のない道が 分かつ先に救われるというの?世界の終わりは やがて われわれの手で下すのかもしれない
自分の好きなGREENを真っ白なノートの1ページにぬりつぶしてそのページを紙飛行機にして見えぬ未来へなげてみたどこまでいくか?それはまだ未知の世界
走って 走って 走って 何も見つからなかったら 歩いてみよう すると空が見えるから 道も見えるから
学校近くの橋から見上げた空は青くても黒くてもそれ以外何もなかったあたしの描いた希望も吸い込んでくれたのだろうか手をつなけば迷わなかった とか一緒にいるだけでよかった とかは子どもじみた絶対の定義だったつまらなかった話を理解できるようなった今遠くを眺めて思い出している途中なの思えばあたしは素直じゃなかったでしょう?だって貴方よりも知っていたんだもの絶対などない事を
かつて入院したことがある病院にぶらりと入った今では懐かしい思い出となった病室のドアをそっとあけるとベッドの上にもうひとりのおれがいた窓の方に身体を向けて横になってはいたけれどおまえはおれにちがいないおまえの輪郭は窓から差し込む夕陽を浴びて輝いていたお前の思考が手にとるようにわかるおまえのからだがゆっくりと寝返りを打ち始めたときおれは慌ててドアを閉めたさよなら今はまだとりあえずもうひとりのおれよ
それほど仲がよくない中では 一番仲のいい友達と お茶をし それほど好きではない中では 一番好きな男と身体を重ねそれほど嫌いではない 上司の 嫌いな部分を探し 自分を許しているつもりでどこかで怨んでいていて欲しいと 願い頭の上の林檎の存在を忘れた 人間どもが平和の名のもとに 殺す理由もなかった他人に 銃口を向け 今日も札束の為に 腰をくねらせ 乳房をゆする まるで 淋しさを創造するために 人が生まれたように そんなことで この地球は回っている 全てが 水に溶けてしまうような 薄っぺらい紙のようだと 分かってはいても あたらしい日には それが真実になると信じているから
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだがケイコは押し黙ってしまう「ケイコさんの実家は浜松で煎餅屋をやってるの」彼女が耳元で囁く何でそんなことを知ってるのだ?「情報化社会よ」そう言う彼女はこれから会いに行く俺の両親の職業も知りはしない俺はただ単に機内サービスのアイスコーヒーが欲しいだけなのに他の人のトレーにはオレンジジュースばかり並んでいる「何を頼んでもいいのよ」彼女がまた耳元で囁くそういう問題じゃないだろうと思うのだ、俺は確かにメダルの色は銀より金がいいに決まってるけれどそれこそが元凶であるということを俺は嫌というほど知っているつもりだし現に知っているつもりだいずれにせよ、ケイコにとってそんなのは重要ではない鉛筆と紙をよこし、とりあえず好きなことを書いてください、とケイコは言う俺に書きたいことなどあるものか「好きなことを書けばいいの」彼女の忠告どおり俺は今までの半生を書き始める二十二歳の夏、近所の草むらでの出来事にさしかかったあたりで「死」という言葉を使わずに書いてください、ケイコが言う冗談じゃない、ここまできてそれはないだろう猛烈に抗議をするとケイコは悲しそうな顔でアイスコーヒーを持ってくる仕方なく死に関連するところを消しゴムで消していく今まで書いたことのほとんどが消えてしまったしこれから書こうとしていたことのほとんどが書けなくなった何故俺の周りはこんなにも死人ばかりなのだ人間ばかりではないひよこも出目金もミドリガメもヤモリもイモリも飼犬も飼猫も皆死にやがった「誰もが皆いつかは死ぬのよ」そうかもしれぬだが、それが俺たちの生きていることの理由になるのなら何だというのだ「好きよ」ああ、好きだ、ケイコ、俺はおまえが好きだケイコ、何故俺たちはいつも愛し合うことができないんだ記憶の中で悲しいのはおまえだけじゃない他に御用は?というケイコの声が色も無くはみ出している高度41,000フィートの空ケイコは最早ケイコの体をなしていない
眠りにつく前、真夜中に想う君は今何をしているのだろうか幸せな夢を見ているのだろうかメールをしたくても、電話をしたくても僕はその気持ちをそっと抑える寂しさが胸をしめつけても僕が君を眠りから呼び戻す事などできない君が僕のものなら、それもできたかもしれないだけど君は僕のものじゃない君の心は他の誰かのものだから君が僕の隣にいるそんな夢を見たいと願いながら今日も僕は眠りにつく
空が落ちてくると 泣いていた君へ不安を分かってもらえれば それで良かったんだろう?ただ一人でも同じように 泣いてくれる人がいたならばそれで良かったんだろう?私に勇気があれば 君が望む者になれただろう君を笑うこともなかっただろう
少しお腹がすいて大好きなあめを食べたでも、胃に流れ込んで来るのは自分の唾液決して空腹を癒してはくれないまるでそれは会えない人の写真を見ているようで悲しかった
かつて、誰もが必死に生きた時代があった。誰もが、命を賭け、必死に生きたという時代が。傷つけあうことが、それでしか、生き抜くことのできなかった時代が。我々は死んでいく、死んでいる。今、ここに、だ。何を思う事も、感じる事も。それさえなく、生き延びることの、その甘さに、溺れ、死んでいる。これ以上、我々は落ちないであろう。そして上がれもせず、死に行く日を待つのだろうか?このままでは死ねず、否死んでいる我々が生き返ることもないのだ。ある人は言う。「生きてゆく強さを」とそうだ。そうなのだ。我々の内のその骨のその血管の内の深紅の液体の透き通った内。その内に我々は生きてゆく強さの「モト」をもつ。キットキットキット気づかぬままなのだろうけど。 ※作者付記: 最近、人の死について考える機会がよくあります。連日のニュースでの、殺人事件とか、戦争映画とか、色々。そして、毎日、私と同じ位の十代の子達の日常を客観的に見て、一生懸命生きている事を隠しているんだなと思うことがよくあります。必死に生きることが、かっこ悪い時代なのかな?って思ってこの作品を書きました。
「オイ」と呼ばれて「キミ」と呼んだ名前で呼ぶのにお互い照れた口が悪くて女子に冷たいから私はいつも恐れていたのよだけどあなたがやさしいと気持ち悪いBRILLIANT桜の輝きにあてられて息ができなかった麗しく騒がしい春だった
秋が来た、食欲の秋・読書の秋・スポーツの秋。人によって『秋』と言うやつは姿を変える。そして私には『実りの秋』としてやって来た・・ずっと片思いだったあの人に想いが届いた。そう、恋が『実った秋』今年の秋はいつまでも忘れられない秋になった
この暑い日は 九月なのであって空は薄い水色 樹木の涙が落ちる「まるで夏のよう」とは、誰がいうのだろう まるで夏は遠い日々の ほんの端なのにひとかけらの 幸せと 愛と そのなかに 私も あなたもいたけれど それなりに叩いた机の傷が違和感でもって 異国への憧れを痛いほどに 伝う 神経から 脳へ儚い愛に翻弄されて いくのは慎ましい 我が家帰り着く場所もそこにある「まるで夏のよう」言ったのは私だった 九月大気に浮いたそれから、塵が積もり秋の空はえもいわれぬ 桃の汁
うちについたのは午前5時午後1時に目が覚めた。化粧落とさなかった顔がぎたぎたしている枕元には光るはずの青いランプがついていない昨日の夜は何度もきらきら光った青いランプがついちゃいない目尻にしわを寄せて笑った筈なのに興奮したとき人を指さすくせがあるのもわかったのにポテトのケチャップが指についたら紙を渡してくれたのに車のドアを閉めた時、無い筈の約束を言った筈なのに確かに目が恥ずかしそうにしてたのにだから朝5時の雲が朝5時の電線が逆方向に向うサラリーマンが私の帰り道の足取りを少し安心させてくれたのにサンダルのぱたぱた言う音が気持ち良かったのにどんよりと灰色の、ランプがつくはずの場所青く光ってなきゃいけない場所が灰色の灰色の灰色で、いくらみても灰色灰色ひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしないひかりゃしない
<幻灯>冬の海 写真が一枚やってきた波に流され やってきた色褪せ 濡れた語部手にとって酒のつまみに話を聞こうと、思ったわけではないが捨てることも又、出来ず懐にそっとしまいこむ別にどうかしようと思ったわけではないが長い海岸沿いの片隅で歩むのやめて懐の写真取り出し私はだらしなく笑いだすどうしてお前を捨てたのか?今は人肌恋しや十二月片隅に残った記憶の断片チクリと痛む
ことばを紡ごう気持ちを織り込んでことばを紡ごうあなたに心を伝えるため言の葉を送ろういろんな色を描いて言の葉を送ろうあなたの心を彩るためすべての人が持っているあなたにしか使えないあなたの言葉
機械じみた音で目が覚める夜は、他所の星から来た巨大ロボットがこの街をぶっ潰しに来てくれたんじゃないかと必ず期待しちゃうんだ 朝が来たらこの辺はどこもさら地になっていてパチンコ屋のネオンも厳めしいトラックが出入りする基地も空地に立つ「立ち入り禁止」の看板も有刺鉄線も地主の蔵もベンツも選挙ポスターもきれいさっぱりなくなってる。 見渡す限りまっさらで、風は土と雑草の匂いがして残ったのはこの部屋と僕ら二人。できれば角のうどん屋と店のおばちゃんは残っててくれないかな。早くて安くて美味くて、たいやきも売ってるから。バイクは壊れちゃっても我慢する。走り過ぎたいものは、みんなないんだし。ゆっくり歩くのは嫌いじゃない。そう、本当は嫌いじゃないんだ。外の風が強いからついそんな話を君にしてしまい身悶え無性に後悔していたら「でもそのロボットは この街がいくら汚くても 先に行くべきところがあるじゃない」そして四つの国の名前を挙げて「あんなバカバカしいことを すぐにやめさせてもらわなきゃ」「そりゃごもっとも」とぼくは落語家ばりに膝を打ちさっそく二つの国宛に巨大ロボットの『優先使用許可証』をレポート用紙で作成した。一番上に国名をロボットの名前に少し二人で悩んで賞状みたいな文句を並べ最後にとりあえず自分の名前を三年ぶりに使う筆ペンで書く。墨は出るけど しかし書きながらってのは涙を隠すには、ちとしんどい。この水はなんだろうなんだろう なんだろう。
君が花なら僕はミツバチいつも君に寄り添っているよだけど「花が枯れそう」なんて葉っぱが言ったなら僕は雨雲になってやさしい雨を降らせてあげる愛を込めて君が涙なら僕はハンカチだから誰かが海みたいに泣き虫だってひょうきんなピエロも心温まる慰めもいらないそばにいるよ 変わらぬ愛でいつだって君を包んであげる歌のように二人流れてみようか旋律を共にする僕と君はまるで音符のように君が昨日なら僕は今日太陽と月が握手してバイバイ僕等は隠れてキスをするんだ切り取った景色が浮かんだ部屋で明日のことなんてもうとっくに忘れて雨上がりに空に咲いた虹がはしゃぐよ水たまりに映った愛が世界をまるで染めそうなぐらい綺麗だから星のように二人流れていようか時の狭間で永遠を見つけて微笑んだ君の隣には僕がありったけの愛を抱えて
人は何を考え、今私は笑った。ココロの奥で・・・一つの生命が誕生するたび一つの気持ちも産まれるあの人今何を考え、ウレシイウレシクナイ・・・タノシイタノシクナイ・・・何で分かる?いつ分かる?私のココロは何を考え、
真夜中に目覚めてしまった君は大きな瞳で音を追う「海がピアしてるよ」それは闇への恐れでなく海鳴りへの怯えでなく母不在の悲しみに気づかぬ振りをする君の精一杯の勇気なのだ甘えた君は母の腹の上で寝るのが好きだった「パパのおなかで寝たい」とせがむその言葉は けれどもそれは僕の空しさを癒すために君が命と引き換えに天から授かった知恵暗黒に浮かぶ波頭は二度とは同じに崩れないおやつにしまっておいたプチダノンを一つと冷蔵庫の明かりを頼りに探し当てた大小ちぐはぐの匙を二つ 君は 小さな匙を君の口へ大きな匙を僕の口へ 何度も交互に運んだ海がピアノを弾いているふと母の気配を探すように耳を澄ますそして今日の遊びをひとしきり復唱するうちに深い眠りについたのだった僕は単調な海の奏でるララバイを聴きながら決して見ることのない君の成長を思い浮かべていた
繰り返されるのは、皮肉な運命止めようと、留まることばかりだった思い起こさせるのは、あなたの笑顔ただ絶えないでいて欲しい、とそればかりが繰り返される行動と心情がかみ合わず空回りを起こし、忘れるまだ間に合うはず今、今、今それを繰り返すだけじゃない繰り返しはもう、やめようたった一度でいいから勇気を奮い起こせ
きっと君も僕も大した違い等無い様な気がする優しさも意地悪さも冷たさも暖かさも内包されていて純粋でもあり 計算高い寛大でもあり 何気ない事でも怒るヒーローでも悪役でも無くずるくて怠慢な小心者そんな自分を許せなかった事もそんな君を許せなかった事もあったけれど今ならきっと笑って包み込んでいけるだろう
「好きなだけもってっていい」神様の大盤振る舞い Vivre Pour Vivre土砂降りに追われ マスターにお別れを子どもがマスターを呼ぶ 何度でも叫ぶもうすぐ この街を出るのだ国道沿い 大声で歌う皮肉なジョークに 大声で笑うモノクロームの写真に背中を押されてすべての料理をインド風味にするハーブで ※作者付記: Vivre Pour Vivreを着メロにした。モノクロームの写真は森山大道。
ひたひたと満ちる月見開かれた銀の目を盗み闇の裂け目めがけて走るはやくかくれたいのはやくわたしは小ズルい猫になりなぉん と鼻声で鳴いてみる迫りくる月かわすため背く予感はメロンの味文字盤の鋭角に隠れて潤んだ夜気に胸開くかじる喉笛かきむしる肩引き寄せる脚もほどけた耳たぶも吸いつくせばどこまでもメロンの味したたるメロンの味すこし舌の先が焼けそうな点々と赤ランタンのごとく滲む手がかりふき消したらなんのことかしらおもしろいことおっしゃるのねみたこともきいたこともないわへえ めろんっておいしいのたべてみたいわトゲトゲのしっぽたたんで邪な猫
いつの間にか、この町も変わった。 小さい頃は、こっから海が見えたのに。 はるか地上で、仮面を着けた蟻の群れ。 「もうやってらんねえよ」 あいつらには届きはしないSOS。ここは風が強すぎる。 「んじゃ、俺、先いくわ」 そうして彼は、飛び立った。
我が身を濡らす晩霜の色は変わらぬ声に出して呼んではみても振り返る術も無くただてのひらを繰りかえすもういいかい?まあだだよ…
きっともっとずっと綺麗できっともっとずっと無垢できっともっとずっと輝いてそんなはずがあるはずはないと否定する術さえ知らなくて否定する術さえも持たない けれど肯定する術さえも持たない そのうえ肯定する術さえ知らなくてがそんなはずもあるはずであるきっともっとずっと輝いていてきっともっとずっと無垢でいてきっともっとずっと綺麗な何か
たとえば道端の もやが立つくらいの温度でさ、 あすふぁると溶けて ぬらぬらで そんな 場所 に さ、、 花。 小指の先みたいな 青くてちいさくて そんな花を咲かすように そんな花を大切にいきる ような、そんな人に そんなひとにわたしはなりたい。 気がする、多分ちょっと。
身を焦がす宿世の夏も暮れむとすうつせみとほく君の名を呼ぶこほひしこひしつくつくこひしこほひし菊千代きくちいよおうつせみに君の名を呼ぶ声とほく鳴かぬ蛍が身を焦がすかな
台風一家。いまどのへんに居るんでせうか。見上げる空は青空です。遥かとほくのやうに思い出します。―― おとうさん。僕はどうしようもないです。またはぐれてしまいました。情けないので無事を祈ります。