第31回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01小鴨43
02DOG椿
03空と小鳥と病気の私パルメザン
04忘れないひとSin132
05+ chocolat +月夜野 柊
06キュウリにハッとしたマスイジュウ112
07蝉と自分バイオラッド150
08りんご冴架113
09ボクの判決月夜257
10腐敗した現実 美化された過去218
11ていぎめめ425
12甲乙丙丁・・・85
13彗星のグラビディー鵯 砂弐依112
14言葉足らず真田 由良277
15未完エネルギー駱 大二郎391
16死に際の愛の夢神上小鳥196
17想いは胸に、痛みは永久に。遊玉118
18人魚沙糖33
19あのこの失敗やさぐれOL965
20流木紅粉チコ62
21第三世界いろは
22お陽さまの成分さくら、兄さん元気だよ。351
 
 
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エントリ01       小鴨


敷いていた予定線路
飛び越えて希望航路

神様の指定空路
踏み外し苦痛道路

残された 自由 迷路






エントリ02  DOG     椿


いつか見れると信じることで
消去法を繰り返して毎日をやり過ごすことで
見なかったことにすることで
知らなかったことにすることで
周りの人々は毎日そうやって殺戮を繰り返します

表面穏やか
性根は鬼以下

束縛と強要を耳に突き立てる父と
脳が溶けてしまう程過剰な独占愛の母と
腫れ物を見る目で常に距離を置く自称聖職者と
曖昧なまま不変を唱える馴れ合いだけの大衆と
依存することでしか自我の平静を保てないDOGこと僕

骨より硬く
肉より弱い
言葉の剣と
心の壁達

尻尾と愛想を振り回し
出来上がった短絡的な幸せの形
明日を見てるつもりが
それは過去から見た今日でしかなく
日々過ぎるのはやはりDOGな僕が勝手に生み出したモノだと言うのか?

言うは簡単
試すは至難
仲良し子良し
影では疎外

笑えば妥協
反せば裏切り
イジメれば共犯
抜ければ被害

罪と知って笑う加害者の皆様方
くすんだブラウン管の中モザイクで消された自称無実の殺人者
罪に笑い泣き叫ぶ被害者の皆様方
毎日が作り出す不変とは如何様なものか?

DOG=@犬 A欠陥品、バグ






エントリ03  空と小鳥と病気の私     パルメザン


真夏の病室 窓際の私は空を見る

一羽の小鳥が 小さな羽根をはばたかせ

大きな空に飛んでいた

ふと 部屋の前の木にとまる

長い枝の先まで小さく跳ねて歩みよる

とどくかなぁ

私は部屋の窓を開け ゆっくりゆっくり手を伸ばす

小鳥は指に頬をすり そのまま空へ消えて行く

一瞬怖がるようではあったが 勇気をだして近寄った

真夏の昼の 窓際の部屋 小鳥がくれた

勇気という名の贈りもの。






エントリ04  忘れないひと     Sin


もうあれから何回目の冬
ラジオは懐かしいあの曲
いつもは忘れているのに
いつまでも忘れないひと

雑誌の占いを読んでみる
過去の恋が実るでしょう
いつもは忘れているのに
いつまでも忘れないひと

ふっと湧いた友人の結婚
気が付けばそろそろ年頃
いつもは忘れているのに
いつまでも忘れないひと

今届いた自分宛ての手紙
差出人が書いてない裏側
いつもは忘れているのに
いつまでも忘れないひと

午前になってからの電話
そんな事あるはずもない
いつもは忘れているのに
いつまでも忘れないひと






エントリ05  + chocolat +     月夜野 柊


案の定

あなたのくれたチョコレートには

猛毒が入っていたみたいで

じわりじわり毒はめぐり

寝ても醒めても

身体中にあなたの吐息を感じ

もっともっと

甘い香りに酔い痴れたくて

言ってはならぬ

愛の言葉を独り言つ


※作者付記: 不倫風味。







エントリ06  キュウリにハッとした     マスイジュウ


キュウリが!キュウリが!キュウリが!
本来の使い道とは違う方法で使用されているではないか!

このキュウリは食卓に上るのか!
キュウリ農家のがんばりは無駄になるのか!

などと考えている夜である
要するに私も一人だよ、と言いたいだけである






エントリ07  蝉と自分     バイオラッド




蝉が殻から出てくるとき 感動と同時に そこに自分を見る
何か死を急いでいるような…
もっと中にいればいいのになんて思ったりして…
殻に閉じこもっている自分に気がつく


力なく地面でもがいている蝉を見かける
そこに社会の中でもがき苦しんでいる自分をみる
蝉は生きようとして…
僕はただ苦しみから逃れようとして…






エントリ08  りんご     冴架


あなたから りんごをもらいました

あなたは ただ微笑んでいました

わたしは そんなあなたを とても愛しく思いました


りんごは 日ごとに赤くなります

りんごは 日ごとに甘くなります

わたしの想いも りんごと同じ


 日に日に 募ってゆくのです






エントリ09  ボクの判決     月夜


赦されるときを待っている
永遠に近いものだとしても

ざわめいた季節の中に
ざわめいた心の中に
例えようのない懐かしさと
例えようのないもどかしさと

散らばった破片は残り僅か
完全ではないことに気を取られ
僕は今 見失ってゆく 全て

踵を返そうか
ここで戻ってしまおうか

もう 忘れてしまおうか

進むことができなくなったら
休めばいい
そんな言葉は気休めでしかなく
気休めさえも受け取る余裕がない僕は
一体 どれだけ 人を 傷つけて

立ち止まる ではなく
踏み止まる なのだと

此処で待つ 僕はそれでいい
認める強さを手にしたいなら
赦せる力を

赦されるときを






エントリ10  腐敗した現実 美化された過去     莢


綺麗なドレスを着て踊り続けた日々
同じことを繰り返す日々 退屈な日々
だけどそんな日々が愛しく思える

気づいたら私はもう少女ではなくて

腐敗し始めた私の体では もう踊ることはできないの
しわしわの私の手は あなたの手をとることもできないの

でも夢の中では私は永遠に少女のままで ずっとあなたと踊りつづけるの
あなたの温もりが とても嬉しくて

だけど朝起きていつも泣いてるの 悲鳴をあげて泣いてるの
だってそこには大好きなあなたも 少女だった私もいないから






エントリ11  ていぎ     めめ


「生きていくことに、何か意味はあるのかな」

雲をみてるといつも思う

風に流されている雲

自由に浮いている雲

雲になれたらって何度思っただろう

全てを投げ出して雲みたいに空に浮かべたら

何にも考えないでただ頭の中も雲みたいに真っ白になって

ただただ、次はどこまで風に運ばれるかだけを想えたら

どんなに気持ちいいだろう

どんなに、ラクなんだろうね

でもできない

逃げになるから

自分から

周りから

この世界から

逃げることになるから、逃げるのはズルイから、そんなのはイヤだ

だから逃げない

逃げたくない

ツライ時は空を見上げて

それ以外は一歩一歩しっかり地面を踏みしめてくよ

存在が否定されないように

一歩一歩足跡を深く刻んで

生きていることを証明するように

生きる意味なんて、その人にしかわかんないから

答えは見つからないけど

ちょっとしたことでも

「ああ、なんか幸せかも」って思える

そんな何かを見つけれたら、それでいいんじゃない

自分にとって、大事なものが見つかれば

それは幸せなことだって、思うから・・・








エントリ12       甲乙丙丁・・・


人々は、
国や権力のためではなく、
この世で枯れてしまった
実感のために戦争を利用する。

戦争をやめようと言うまえに、
つまらぬ実感を求めないこと。

戦後の実感ほどつらいものはない。






エントリ13  彗星のグラビディー     鵯 砂弐依



 薄暗い浮世なら
 蓮を浮かべれば良い
 墜ちてくるものが怖いなら
 其れに何かを願えば良い
 僕は手が届かないから
 ずっと眺めていた
 忘れたくはないから
 ずっと眺めていた
 彼方側の重力に引き込まれれば
 容易く、全ての思いは叶うのに






エントリ14  言葉足らず     真田 由良



あなたが好きよ、なんて。

小学生じゃあるまいし、恋の駆け引きの一つも必要かしら。

でも、私は素直にあなたに言いたいの
だって、駆け引きしてる時間がもったいないでしょ。

そんな事してるんだったらあなたに
もっといっぱいの言葉達を心から言うわ。


好きよ

愛してる


お布団の白さも、この空の青さもあなたと一緒ならもっと鮮やかに見える。



世界は繋がってる、だなんて。

ヘタな詩人じゃあるまいし、もっとロマンティックな事でも言ったらどうなの?

え?好きだ?

愛してる?

んもぅ、私が先に言っちゃったわよ。


でも、そうね。二人ならこの言葉達が一番良く感じられるね。


  好きよ

      愛してる













エントリ15  未完エネルギー     駱 大二郎


天井から覗いてる時間旅行者が
けらけら笑ってるのが聴こえるようだ

気配が追い立てる朝に夜
気配がまき散らす朝匂う

 このエネルギーをどうしてくれよう

保護観察もつかずに仮釈放だなんて
そんな甘ったれた
交換日記まがいのお膳立てしかないのなら
おれの残り香なんて
いっそ記憶の向こうに追いやってくれ

 このエネルギーをどうしてくれよう
 このエネルギーはどうコウシよう

抑圧された自由だのなんだの
御託を並べる気なんかさらさらないが
これじゃドブに浮いてるぬいぐるみだ
持ち主のお子様は遠い野原でボールに御執心

わかってる、わかってるとも
明日時間が止まっても
世界中の誰ものように
おれだって時間が止まったことに気づきゃしねえ
そんなもんだそんなもんだ
ご大層な口を叩いてたって
ふっとばすものもふっとばされるものもありゃしねえ
嫌いなものなんかひとつもないんだ
ただ、吐き気がするものがそこらじゅうで
「特価」の札を提げてるだけだ







エントリ16  死に際の愛の夢     神上小鳥


あたしのカタチを切り取って
貴方の傍に置いて下さい
つまりこれは、告白なんだけど
「すきだよ」
じゃぁ、つまんないでしょ?

貴方はあたしに
「ありがと」
って言った
何度も、何度も、何度も

ねぇ、それは
貴方がここから居なくなってしまうから?
永遠にどこかへ
あたしの知らないどこかへ
行ってしまうから?

零れ落ちる貴方の涙と
溢れ出るたくさんの血を
あたしは身体に取り込みながら
一緒に堕ちて逝く
そんな幸せを手に入れました。






エントリ17  想いは胸に、痛みは永久に。     遊玉


君を好きになってしまった

好きになってはいけない君を



君を好きになってしまった

好きになってはいけない僕が



だから僕は鍵をかけた

二度と想いが溢れないように



閉ざした気持ちが扉をたたく

その鼓動が痛みを帯びる



その痛みを忘れる為に

どうか僕に静かな眠りを








エントリ18  人魚     沙糖


塩辛い海の味を 

確かめにいかせて

グラスに入った

人魚じゃあるまいし

 






エントリ19  あのこの失敗     やさぐれOL


ベッドの中で足を絡めてくるあのこは
あのこはいつも
あのこはいつも
このこがここにいることを
物凄くこわく思っていて
物凄く消えてしまうんじゃないかと思っていて
その威力はスサマジクッテ 誰もが気づいてるんだけど
誰もが気づいてはいるんだけれどもね

あのこはいつも
あのこはいつも
このこがここにいることを
確かめたくて確かめたくて仕方なくて
その威力はスサマジクッテ
遠く環七で走る車の音も
冷蔵庫の電気音も
このこの足音も
ふとんが重なり合う音も
音を無くしちゃう

そしてこのこの心臓の音をこのこの心臓の音をコノコノシンゾウノオトヲキクンダ

あのこはこのこがここにいることを
あのこはこのこがここにいることを
物凄くいつもどこでもこわく思っていてその威力はスサマジクッテ
今すぐ消えちゃうんじゃないかと
今すぐ消えちゃうんじゃないかと
いや、もしかしてきっと消えてしまうものだと、
それは一体いつ、何時何分地球が何回周ったときなのか、
気になって気になって、夜も眠れない

どうせ消えるならって、それならどうすればいいかって
いろんな人に聞いたけどわからなくて
色々考えた
あのこがこのこといるときに
雷が落ちればいいとか
この部屋が壊れるだけの凄く凄く小規模な地震が起きればいいとか
毎晩おそろいのヘッドフォンをつけてMAXで音楽鳴らして
眠らないようにするとか

でもわからずにぼんやりと午前3時
セブンから帰る途中
歩いていた
歩いていると
新聞配達屋が通り過ぎていった
あのこはおもう。このこを今白い小さなセブンの袋もってる
この手でこの手でこの手でさ
強く強く強く強く、強く強く強く強く抱きしめて
抱きしめすぎたらこのこが壊れて、
溶けて、
消えて、
なくなってしまうのを、
一瞬たりとも目を離さずに、
溶けて、
じわじわ溶けていって
なくなって、
涙がでそうで、
でもじわじわ溶けて消えてゆき、
そしてまるでなにもなかったようにまるでなにもなかったように
そしてほんとになにも無くなってしまい、無くなってしまい、無くなってしまい、
もう涙が止まらなくって
でも、このこが消えてなくなっちゃうのを
それまでを、一瞬たりとも目を離さずに
凝視するしか
それだけしかできないと
おもった
5メートル程先の斜めになった
「止まれ」の真っ赤な標識がだんだんだんだんゆがんで
あのこは涙が止まらなかった









エントリ20  流木     紅粉チコ


ただ時と抱き 過ぎ去るのを待つ

擦り切れてゆく心臓に目を伏せ

月が沈むのを妬み焦がれる

愛でる蕾も色付く頃には

瑕無き姿を見せてやる






エントリ21  第三世界     いろは



もう動けなくなったら空を見上げる

今日この空を
あなたと知らないでよかった

私は詩を愛していなくて
私は誰に出会ったのかな

そういうことが好きだった
知らないうちに好きだった

地球が目を閉じて
私は夢を見る
星は瞬きをして
私は手を伸ばす

朝が来るんだ
綺麗な朝だ
なのに地球は泣いている

花が落ちるんだ
落ちた花弁

私は詩なんて好きじゃなかった
あなたは花に埋もれて
やがて空は桃色になって
見たこともない雲が浮かんだ 今日

私は空を見上げ
一人で晩の月を待ちます
一人で月に寝そべって
私のあなたを想います

今日この空を知らなくてよかった

私は詩なんて
好きじゃなかった

神様願いを聞いてください

わたしは星に埋もれて
願いはちくちく刺さります
やがて空は桃色になり
朱の地平のあらわれて
私は
あなたのあなたに出会います

今日この空を
私は独りでしか見れない


※作者付記: これは他人のことを想って書いた詩で自分のことではないです。
未練なく死ねるように、書いた詩は捨てることにしましたが
私はきっと詩が好きなのだと思います。という思いです。(或るネット詩人)







エントリ22  お陽さまの成分     さくら、兄さん元気だよ。


私はお陽さまが大好きです
ぽかぽかの日にはお布団を干します

お布団にお陽さまの成分が沁みこんで来ると
ねむねむ菌が芽を出して、お布団いっぱい広がります
ほらね、お布団がゆっくり膨らんでる
ねむねむ菌がむくむく溢れてくるでしょう

太陽が一番高いところに届いたら
綿のなかまで沁み込むように
パンパンパン
お布団を叩きます
パンパンパン
ホットケーキみたいにひっくり返して
パンパンパン
ねむねむ菌の胞子にお陽さまの成分がきらきらして
パンパンパン

太陽がキツネ色になったらできあがり
ふかふか布団の取り入れです
この幸せな触感、芳ばしいお陽さまのにおい
ああ、夜が来るのが待ち切れない
ねむねむ菌に感染しちゃったみたいです

8時間の潜伏期間が過ぎた頃
お陽さまの布団に滑り込みます
ほわほわ空気に包まれているみたい
意識が落ちていきます
闇の底へ

深く