第32回体感バトル1000字小説部門結果

おめでとうございます!

今月のチャンピオン作品は
沖 ヒロシさん『テイク ザ モノクローム フォトグラフ  センス01』
沙風吟さん『アナクロ』
の2作品です。

エントリ作品作者得票
06テイク ザ モノクローム フォトグラフ  センス01沖 ヒロシ4
27アナクロ沙風吟4
07すいめんが うえに うえにきしみ2
11鏡の向こう側夏寿司2
20三流ぶっきら坊2
25狂い咲きタガキミツキ2
03サメの家磁針 了位置1
05告白Take21
13伝統毒薬1
18春日狂想リォ1
22何もない一日祐緒1
23粉ミルク缶ヘビトンボ1
29小説家であることの幸せ遠野浩行1
32失われた記憶海野茂雄1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■テイク ザ モノクローム フォトグラフ  センス01  沖 ヒロシさん
 
感想:6に一票入れます。女の頬の色と花の色のイメージが主人公のモノクロの視界と共に際立っていて良いと思いました。
12も個人的に良かったです。台詞まわしとかが。
票者:このバトルへの参加作者

感想:色盲、カメラ、青色、サクラ、見事に色が調和された美しい物語だと思う。起承転結がきちんと成されており、大変読みやすく、かつ共感できる作品だった。最後に含みを持たせ、これからを予想させるラストも申し分ないと思います。惜しむらくはタイトルがちょっと判り辛かったと言うことでしょうか。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想: まず、タイトルに目を奪われ、読了後には物語に心をうたれました。
 文章も読みやすいし、素晴らしい作品だと思います。
票者:このバトルへの参加作者


感想:失いつつある色の中でふと気付く恋心!青春だーーっ!あらゆるところに色がちりばめられていて、情景的というか視覚的というかそういうところも面白かった!

票者:純粋読者


■アナクロ  沙風吟さん
 
感想:新人の方が多く、色々な作品が読めるのは非常に嬉しい。けれど、字数が守られていなかった作品が多く、たいていだらだらした文章で作品にピリッとした鋭さを感じられない作品が多かった。その中でも以下の作品は、なかなか良かった。今回は面白い作品と面白いとは思えない作品の差が、大きかったように思う。

ベイビーブルー(偽悟空)……この手の話は苦手というか、あまり面白いとは思えない私でも、この作品は面白いなあと思えた作品。主人公の人間味が非常にうまくでていました。偽悟空さんの作品は、主人公の視点が独特で面白いですね。

軽犯罪殺人事件(カノイ)……あ! すごい! と思った作品。よくミステリーを短くまとめたなあ、と思いました。回答もなかなか良い。また主人公の人間性な見せ場も忘れていないところが、気配りきいていて良いです。ただ千字でまとまっていないのが残念。今度は完璧に千字でお願いします。

失われた記憶(海野茂雄)……コンテストの落選作品ということで、おそらく自分の作品が読者にどう映っているのか知りたくて投稿したのだろうと思います(違ったらすいません。ただ、そうであるなら気持ちはよくわかる)。というわけで、なるべく詳しく私個人の感想を言わせてもらいます。まず、文章に関しては問題はありません。キャラの行動や心情、また起承転結もしっかりと出来ています。ただ、如何せんインパクトがない。Eメモリーというアイディアまではいいのですが、話の内容としてはありがちなパターンのように思う。せっかく記憶を消すという薬がでているのだから、妻への思いといったありがちなテーマではなく、もっと広い視野で見るべきだったのではないでしょうか(例えば自転車の乗り方とか。料理の作り方だとか)。また妻の記憶を消すというテーマを選んだにしても、もう少しSFらしい背景で読みたかったように思います。最後に一つ。最後の行「いつの時代でも、人生の取捨選択は願ったとおりの結果にはならないのが相場である。」は蛇足。三人称の文章ででてきてもおかしくはないかもしれないが、非常に説教臭い作品になってしまうのでやめた方がいいと思います。長々とまさに説教臭い感想を書いてすいません。お気に障ったなら、申し訳ありません。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回の一票は沙風吟さんの「アナクロ」。非常にやられた。悔しい作品であり、反面さすが沙風吟さんだなあと感心させられた作品でした。沙風吟さんには珍しく、個人と言うよりもその世界観に目を引かされるところが多かったように思います。まずサイバーパンクでありがちな首筋ソケットに、非接触型の登場させたあたりは、サイバーパンクファンの私としては「なるほど面白い」とぽんと手を打つしかありませんでした。沙風吟ワールドはそれだけにとどまりません。ここまではまだ序の口。心の共有が容易になった人類に対して、逆にアナクロな情報伝達手段が流行する社会。面白いことにそんな若者の流行に、古き時代を知りながら付いていくことが出来ない主人公の姿がまた面白い。科学万能を謳う古い時代の人間に対して、古き時代の流行を取り戻そうとする若者の対比が非常に旨かったと思います。そして最後は沙風吟節で締めくくる。一ヶ月間の休養期間を経て、沙風吟さんの完全復活を目にしたように思います。これからもこんな内容の濃い作品を期待します。


票者:このバトルへの参加作者

感想:説明しすぎない透き通ったSF。好きな世界です。
しかも沙風吟さんが書いている(透明感のある確かな文体とせつない人物描写が特徴だと勝手に思ってます)。
ストーリー展開そこのけに、語感と設定に魅入られました。
全部意味が分かったわけじゃありませんが、それでいいと思わせてくれる満足感がありました。創作をする意味を感じさせる辺りの描写がすごく良かったです。
ただ、ファンとして強いて言うなら、少しまとまり過ぎているような気がしました。これだけ微妙な人物の感情が書けるのなら、人の理解できない感情も書けるんじゃないかと思ったのです。いや、オオゲサかな…。
理屈をこね回しすぎて、ちょっと迷路にはまったような感想ですみません。
松本荵でした。

票者:その他の作者

感想: 雰囲気が良い。
 1000字以内でしっかりと世界観を書ききったのはステキだと思う。こういった背景があると、『僕』と『理紗』のように口で会話するのも時代錯誤なのね。

その他に気になるものをいくつか。
03サメの家 磁針 了位置:サメメールなど発想が面白い。
12私小説 millet:『私』の『男』の見かたの変化が書いてあって好み。丁寧にいれたアイスティーを飲んでるから『男』がシーレ好き、というのはわかるけど、牛角のキムチが好きな『私』と同列に語るの?
票者:その他の作者

感想: テイク ザ モノクローム フォトグラフ  センス01とどちらにしようか迷ったが、好みの問題でこちらを選んだ。
 世界観がうまく作れていると思う。こういう近未来モノは好きです。
票者:このバトルへの参加作者

■すいめんが うえに うえに  きしみさん
 
感想:単純に、おもしろかった。秀逸。
票者:このバトルへの参加作者

感想:語り口に引き込まれて、凄惨な描写と妙な距離感に加速されて、急転直下のオチに衝撃。ああ、凄いよぉ。

とても刺激になる大会でした。
ひと言で申し訳ないのですが、特に惹かれたものを。

03 サメの家
抜群のインパクトと余韻。
サメの店の飄々とした雰囲気に、ノックアウトです。
05 告白Take2
二人の軽快な会話と微妙な関係が、さらさら流れて、気持ちよかったです。
ちょっとした気遣いや照れと、親しさが鮮やかに響きました。
20 三流
如何にも近所にいそうな勘違いの加減に、共感してしまいました。
「大濠で入水」ってネーミングのB級っぽさがツボです。
21 とびら
無駄を感じさせない構成と文章に重さと濃さがあって、余韻が滲みました。
28 荒物屋の怪
こんなオバケ飼いたいです。
懐かしさと新しさが混じった雰囲気が、全体からも漂ってきました。
票者:このバトルへの参加作者


■鏡の向こう側  夏寿司
 
感想:オチがあるわけでもないのに何故か惹かれてしまいましたのは、この話に似た行動を取った記憶を持っているからかもしれません。最後の一言で温かい気持ちになれました。
票者:このバトルへの参加作者


感想:雰囲気がなんか好きでした。
票者:このバトルへの参加作者

■三流  ぶっきら坊さん
 
感想:面白い!こんな人物好きです。都合の悪いことはすぐに忘れ、自己顕示欲は異常に強い、ジコチュー丸出しの人。そして他人は、自分が考えているほど自分を認識しておらず、忘れてもらいたい事実はいつまでも覚えていたりするものですよね。

それと、仮の名「メール」でエントリーしているのは私ですが、そのつもりはありませんでした。公共図書館から送信していますので、できるかどうか試しただけです。神聖な場を悪趣味な冗談で汚したようで誠に申し訳ございません。しかし、何度も見るうちに、これこそがインディーズらしいのかなとも思いました。なお、数日後に私の本気作品を送信し、エントリーされました。
(※スタッフより:作品『メール』につきまして、とりあえず判断つかなかったのでそのまま掲載しましたが、確認すべきだったと思います。申し訳ありません。しかし、まあ、アクシデントも芸術の一手段ではあるかも、ということで掲載はそのまま……
なお、投稿に伴いますご連絡事項は通信欄にてお願い致します)

票者:このバトルへの参加作者

感想: 最後の作り笑いが、肥大した自意識が打ちのめされた象徴なのでしょうか。彼女との関係を忘れていた彼には似合いですかね。そのへんも含めて三流、でしょうか。お話としては好みではありませんが、全体を通じて流れる主人公の「三流」に一票。

その他気になった作品。設定の疑問点を書いてしまいましたが、読解力の至らぬ所為やもしれません。ご容赦ください。

03 サメの家
 「サメ」のインパクトと派生する種々のサメ関連の語感に一票。「サメメール」などというベタな感じが好き。店の主人がサメの肉まで売っているところが、どちらの味方でもない超越的な力を感じさせます。サメパソコンのない主人公がなぜメールを夢で受け取れるのか、謎。

06 テイク ザ モノクローム フォトグラフ  センス01
 失われる色覚の中、暖かい色が残る、それが桜の色と彼女の頬、という切ない設定とラストの一文に一票。しかし、この設定では、もっと鮮やかな赤がもっと後に残ってしまうのでは? 寒椿とか冬薔薇とか。

07 すいめんが うえに うえに
 自分にとって読みづらくはあったのですが、表現力に一票。
 死体が自分だった、という展開にはっとしました。なるほど。でも、清々したのに自分に留まるのは、そうしたい気持ちがあるからなのでしょう。前半の死体を否定する表現の中に伏線があると、アンビバレンスがもっと伝わってきたように思います。

13 伝統
 インパクトの強い不条理な話で、筋がよくまとまっていたと思います。席を変わる理由、選ばれて首を飛ばされる理由が良くわかりませんでしたが、そのまんま不条理ということで。

23 粉ミルク缶
 粉ミルク缶の猿の黒焼きと、粉ミルク缶から見つかる赤ん坊の黒焼き。イメージを重ねる怖さがに一票。なぜ粉ミルク缶から発見されなければならないのでしょうか。誰がやったんでしょうね。怖いなあ。

27 アナクロ
 すばらしい。菅浩江の博物館惑星を思い出しました。
 「サンセット大通り」は観ていませんが。
票者:- - 選んでください - -


■狂い咲き  タガキミツキさん
 
感想:微妙すぎた気持ちと、季節はずれの桜の微妙さがよかったです。
会話がもっとあればなお良しだと思います。
票者:このバトルへの参加作者


感想:一体何があったのかと思ってしまうくらい、今回は面白い作品が多かったです。
ほとんど全ての作品に魅力を感じました。他の回だったら投票したかもしれない作品が10作以上ありました。
その中でも特に良かったのが06、19、25。
最も1000字に近かった25「狂い咲き」に投票します。
丁寧な描写と構成、静かだけれど効果的な導入に好感を持ちました。
票者:このバトルへの参加作者


■サメの家  磁針 了位置さん
 
感想:わざとらしく不条理ぶるわけでもなく、偽悪ぶるわけでもなく、
ナチュラルに脱力した奇妙な作品ですね。
こういうサイケな作品はありそうでないと思います。
それにしても作者の方はサメがよっぽど好きなんでしょうか?
イルカならまだしも、サメインターネットとは・・・(笑)。
サメ型モニターとか出てきて、バロウズが落語のネタを書くのなら
こんな風になるかも、と思いました。

永井号外(国語教師)


票者:純粋読者

■告白Take2  空
 
感想:素敵でした。
票者:このバトルへの参加作者


■伝統  毒薬さん
 
感想:
オモシロイ!(笑)


票者:このバトルへの参加作者

■春日狂想  リォさん
 
感想:今回は比較的短い作品惹かれてしまうものが多かったというのが個人的感想です。この作品は、小説というよりも非常に詩にちかいものを感じたのですが、微妙な言い回しと曖昧な喪失感が面白いなあと思い一票入れさしていただきます。他にも「シマウマビルディング」も作品の抽象的な世界が面白かったです。「メール」も惹かれるものがありました。本人が意図してやったものであるのならば、作品としてかなり斬新、かつ奇抜なものだったと思います。
票者:このバトルへの参加作者


■何もない一日  祐緒さん
 
感想:自分が取り込んだ材料を調理しきれずに半ナマで出しているような作品と、材料を取り込み方が固定的でその時点で出来上がりが見えてしまうような作品が多いように感じました。
前者は時間をかければある程度改善される余地があると思います。
後者は1000字の枠ではそのアイディアが出来を分ける気がします。

文章に過不足を感じますが、今回は「両者のバランス」で選びました。

次点で12の「私小説」、文章は書きなれていると思います。
それと15の「運命の…」、テーマは古典的ですが「止め所」のセンスが好きです。
票者:このバトルへの参加作者

■粉ミルク缶  ヘビトンボ
 
感想:ぴかぷー。
03  サメの家    磁針 了位置
 有無を言わせないところが、えらい。

07  すいめんが うえに うえに    きしみ
 やるね、いいね。勢いで細部の甘さを隠しているが、ぼちぼち。

09  シマウマビルディング    戸田ハル
 世界を観る良い目である。なので、自信を持ってもっと無心に書いていいと思う。

23  粉ミルク缶    ヘビトンボ
 結末は強引だが、怖い。何故よりによってミルク缶に入れるのか、というのが文学。

25  狂い咲き    タガキミツキ
<どうしてかは分からない、僕と彼女は関係を持ってしまったのだ。>というのが、断片的に、深い。いや、こんなものなのかもしれないが。恋って狂気。

32  失われた記憶    海野茂雄
 短編の癖に設定を口うるさく言い過ぎる。それが敗因だろう。

 で、投票、あとで読み返してみればベタベタだが、初めて読んだときの怖さはやっぱり巧さだろう、ってんで本作。次点は自分のテンションで書いているきしみさんで。(M)
票者:その他のQBOOKS参加作者


■小説家であることの幸せ  遠野浩行さん
 
感想: エントリ29、遠野浩行さんの『小説家であることの幸せ』に投票します。
 今回気になったのは3作品。
 03『サメの家(磁針了位置さん)』と、08『ベイビーブルー(偽悟空さん)』、そして29『小説家であることの幸せ(遠野浩行さん)』。
 いや、悩みました(汗)
『サメの家』は、実は改行一切無しであることが読み終わってから気付いた。それで結構読ませるのだからスゴイな、と。
『ベイビーブルー』は感覚的な話だが、なんとなく共感できる部分がある。
『小説家であることの幸せ』は、つまり夢オチに近い話なのだけど、夢オチであるということが最後の最後で明かされるので、最後まで読まされた読者としてはとっても微妙に気になってしまうのだ。
 夢オチ(一人語)だった、というこで冒頭1個だけのカギカッコの違和感が解消され、納得できると共に、次の疑惑で居心地が悪くなる。で、非常に微妙に気になってしまう。
 ということで、微妙を煽る存在感で『小説家〜』に投稿します。

 次点(次々点?)は下記4点。

05『告白Take2(空さん)』
 確かにベタです(笑) でも、ほんわかハッピーな話が好きなので。
06『テイク ザ モノクローム フォトグラフ センス01(沖ヒロシさん)』
 ネタは面白いが、物語が予想範囲を出ない。もう1ヒネリ欲しい。
 ボリューム的に1000文字容量の話じゃないのかも。
27『アナクロ(沙風吟さん)』
 話のわりに、ネタ懲りすぎです(笑)
 この物語を(設定込みで)1000文字に収める技量はすごいですが、物語的にはSF設定じゃなきゃいけない話、ではない。残念。
28『荒物屋の怪(とむOKさん)』
 ちゃんと「小説」になっていて面白いのだが、イマイチ読みにくい。

 最後に――どの作品が、とは言いませんが。
 投稿作品が「詩」の場合、ちゃんと「体感詩人バトル」へ投稿されることをお勧めします。
(by千早丸)
票者:その他の作者


■失われた記憶  海野茂雄さん
 
感想:未来の地球ではこんな薬が氾濫しているんでしょうか。
ちょっと怖い気がしました。
票者:このバトルへの参加作者