雪の降る少し前の季節貴方は空高く行って仕舞った「僕は、空に成るんです 貴方の指先が凍える季節 僕は又、帰って来ますよ」そう言って差し出した貴方の小指こそが冷たかった追撃され砕け散った真っ白な船体は此の世のものとは想えない程美しかったそうだね あ、雪が降って来ました唇の雪は、暖か過ぎて髪を撫でる手が優し過ぎて抱きしめる腕が懐かし過ぎて確かに貴方、帰ってきたんだね「ただいま」「うん、おかえり」
青く晴れた空が憎い曇り続けて塞がる空がいいバケの皮を剥がそう他者が僕に近づくのなら…こんな弱い僕だけど誇れるもののないこの手は数え切れない幸せ(不幸)を手にしてる笑えない晴れた日の隔離病棟断絶された心の糸はやがて歩み寄る作り笑いの豚共が繋ぎ合わせようとするけれどそれはただ偽証に満ちる面会刻誰か助けてください 僕はまともな人間だから重いナイフを手にする右手は震えてるそれは幼きがための卑怯?悲鳴?心の排泄・安定・嘔吐は 夜中の絶叫サイコな僕のもの?たった一度だけ それだけを見せてほしい誰も与えてくれなかった 本当の愛を…誰かに見つけて欲しいのですそれは僕の偉業を見ればわかるはず首だけで自己を主張した被害者(あのひと)のように誰かに見つけて欲しいのです…この心のバグを…重いナイフを手にする右手投獄・隔離・診察・実験見えますか?虹に光る人の心の風景画異端の道は僕に何を贈るのでしょう?隔離病棟304号室のサイコな虹色の僕
教壇の老師は万物に融点があるよう真実はひとつ と教えを残し書架の城に引き篭もってしまった以来わたしは太陽と月の眠らぬ引力の間で罪と償をあの石に刻み続けているわたしは問うこの手を疑念の血糊で黒く汚したときに事実と事実の狭間に真実を見失ったときに あなたの秤はどんな刹那にも かすかに震えもしなかったのか と少女が証人席に真実の涙を流す涙に染まった聖書はもうひとつの真実を見つめているそれなのに 今 わたしに見えるのは言葉だけだわたしは知っている判決の夜 陪審員たちは 獣のように愛し合うことをわたしは知っている判決の夜裁判長が あなたさえ口にしたことがない芳醇なワインに我を失う姿をわたしは知っている判決の夜壁に静止し 呼吸に腹を波打たせる少女のことをそれなのに今 わたしに見えるのは言葉だけだ太陽はなぜこの午後の瞬間にも眩しいのかきっと懺悔のかけらなくただ石を刻む わたし自身の裁きの日にも
突然の誘い 好き左の薬指にしている指輪 きらいサラダを取り分けてくれること 好きたくさん愛撫してくれること 好き子供との約束があると言って逢えないこと きらいちょっと辛そうな顔しながら歌う甘い声 好き空いた時間を私に充ててくれること 好き果てたあとにティッシュで拭ってくれること 好き次の約束をしてくれないこと きらい眼鏡をかけた横顔 好き耳元で囁いてくれること 好き何食わぬ顔で書類を渡してくること 好き運転中に手をつないでいてくれること 好きネクタイを締めて夜な夜な帰ってしまうこと きらい
※作者付記: まだ、「好き」の方が多いみたい。
涙の肩にするするすべる1つ1つの音のない雫語るような指の音探してる瞳問いかける夢が風のように透るすこし休もう頭の個室で手の中で包まれるべきやわらかな光を吐き出す重みで潰さぬようにすこし眠ろう日が瞼を撫でるまで
通学途中の桜の木秋風の中、なぜ葉を落とす夏はあんなにきれいだったのに夏はあんなに暑かったのに黄緑色のつながりは 城を守る城壁となる私がもしも桜の木だったら 城はあなたよ私があなたを守ってあげる いつまでも一緒だから葉はもうない 君ももういない葉と葉のつながり とうに消え後に残る 秋風の隙間間からは城が見える隙間から城が見たい城が本当に君ならば冬が過ぎ 春が来た私の心は誰がピンク色にしてくれるのか
「恋」って何?それは誰かを好きになることいつ 何をしていてもその人の事ばかり考えていつ どこにいる時もその人にそばにいてほしい「愛」って何?それは誰かを大切に思うこといつ 何をしていてもその人の事ばかり考えていつ どこにいる時もその人を見守っていたい
※作者付記: 同意してもらえれば嬉しいですけどそれは違うという意見も有ればお願いします。
ペンの先から溢れるインク爪の先から溢れる言葉あなたの事がね、大好き大好き!
いつのまにか、あいつの家が見えてきた。
※作者付記: 詩か超短編なのか自分でもわかりません。
その日星が輝くと知っていたならあたしは走ってアナタのもとへ滑り堕ちる闇を超えてたどり着いたはずなのにそれは今生まれる光…それとも朽ちる光だったの?あの日あたしはアナタを求めて奈落の底に二人で羽ばたききっとアナタはその時闇に一人のまれてしまったのね目覚めたら永遠を告げる電話が響く。
自分以外の何かに先行きも知らぬ何処かに叶うわけもない明くる日は狙いを違えずやって来る静寂に抱かれたまま耳を塞いで踞っていても追い求める光の先に何があるというの羽虫たちが集うのを嗤うというのに薙ぎ払うというのに誰もが手を伸ばし掴もうと必死になって 滑稽なほどに自分ではない者へ先のない明日へ泣けない弱さを捨て去りたいなりふり構わず喚くようないつの間になくしてしまったあの頃の願いはささやか祈りはひそやかただ ただ静かに息づいていたいだけなのに
青に白の水玉のワンピースの少女が草むらを走り抜ける。何処に行っているのやら、方向は定まらず、うろうろしている。50m走5秒36の彼女。茶色になった井戸が現れ、あっという間に消える。頭上に浮かぶ、月みたいな丸には、青空が映り、移りゆく雲が微笑。足から電気が走って、髪の毛が逆立つ彼女。涙と思われる水は、汚れた水。夜で、月が埋められるまで、泣いて過ごすことになる。飲み込まれたという気分だが、本当は、ずっと飲み込まれていて、今、気付いただけ。空が、水の鞭を打つ。あら、まあ。みかんが暗いお空にあるわ。みかんの上にカーカーと、害虫がつきだす。みかんから、虫を取ろうと、足を一歩ふみ、手を伸ばす。届かない手を、鎖骨あたりに置き、足に当たった、猫の死体に気付く。驚いて、逃げ込み、錆びた、森色のペンキが剥がれた、扉を、泣かせる彼女。喧騒。後悔。唾液、落書。真っ赤なアイスクリームパーラーに入ると、寝ている誰かさんが、天に人差し指を掲げ、涙を流している。誰かさんが去っていった方向を見上げると、青空に、羽ばたいていく、青いビニール。白い水玉模様のビニール。ひらひら、落ちて、ひらひら、落ちて、ひらひら、落ちて、ひらひら、井戸に
あなただいすき。大好きだから。言葉は 並び変えるほど単純化そして 複雑になっていった足の踏み場もない程に言ったその一言は 一番単純だけど伝えるのは困難だったうん。知ってるそう言われると 余計に頭を抱える蛇口から滴る水滴 光りもしないそんな 想像(それか妄想)ただ それだけなのに今まで失ってきたものの 何百分の一くらいしかないのに青い景色は 灰色になってしまうだから、傍に居て。…いいよ。この先を二人きりで見つめる方が今より酷く困難なのかもしれないそれでも 私たちは少しだけ冷たい海に足先を浸したあなた だいすき。
※作者付記: 初めての投稿です。宜しくお願いします。メールマガジンで発行したものをこちらでもう一度使用してみました。
いつも、おかしな現実が目の前にあって逃げるスキをあたえないそしてまた時間がくれば責任を果たしに行くのね
「さよなら」 と 貴方に伝えようとした でも 喉がはりついて 掠れて 微かに空気を震わして 唇だけが 言葉を伝えようと 動く
今日という日を歩き終えたくるりと振り返るそうっと屈み込む足跡は何も言ってくれなかったそれが少し寂しくてほんの少し泣きたくなって俯いたあ、百円見つけたそれで上機嫌になる自分は文字通り現金な生き物なのだろう
セントポーリアの望みはいつもくだらないママのドレスが欲しいとかパパのパイプが欲しいとかセントポーリアの想いはいつもとどかないあの子とキスしたいとかかれの子供が欲しいとか小さなセントポーリアは誰からも相手にはされない
人生ってのは知らぬ間に与えられたものから1つずつ卒業してゆくことなのかもしれない誰もがそこから卒業してゆくために闘っているんだと俺は思う
つかめつかんだら離すなそして握りつぶせと福本伸行は言った 雑踏の中を行く私の周りで瞬間的に温度が上昇する だって乾布摩擦してるんだもん!ゴッシゴシゴシゴシゴーシゴシゴーシゴシゴシゴシッゴシッゴシッゴシッ 交差点を渡って20メートルほど行った先右に曲がるとゴチックロリータがいた 私は「下妻物語」ネタでナンパを試みたんだ結果的にただのカツアゲだったんだタオルも取られたんだ カツアゲ君(ただ言いたかっただけですごめんなさい) どうしてもリアルに見えてこない立体感がない 19インチのナナオに映る少女は「あたしパスタ食べたーい」と言った今日も明日も明後日も 要するにそれしか言わないのだ 私は言う 言える「そこのポスター全部ください あ 二枚ずつ」とリュックサックにあふれるポスターがまるで私の後光のように道行く人たちも畏れ多いのか誰も近寄らない 夢のようだったアタック25に出たんだ私は青の席だった 早押しボタンが硬くて問題に答えようとするたびに私は「心臓マッサージをしている人」のようだった ここでそのときの私の回答をお見せしよう 「40%!」「ニーチェ!」「思い出!」「太平洋ベルト!」「ボン・ボヤージュ!」「由紀さおり!」「マリモ!」「国民総背番号制!」「40%!」「文金高島田!」 応援席のゴチロリが私に向かってタオルを投げるもうこれ以上見ていられない、と おまえ このタオル!あの時のやつじゃないか! もう途中からクイズなんてどうでも良くなっていた結果は1枚だっただけど最高に幸せだったんだ ということを「焼きそばバゴーン」を食べつつ想像しては震え震えては想像し そのうち朝になるのでしょう
だらら だらだら やつが来るぞ 緑の化けもの 女 子供を隠せ 誰も知らないと言え ( ……稲光…… ……不安げにざわめく青穂…… ……暗い水路の魚がはねる…… ……水の匂い…… ) 雨が来る やつが来る だららだらだら だららだらだら 女はどこだと言っている 子供はどこだと言っている 高いところから不思議と冷たい声で言っている 恐怖に負けるな 誰もなにも言ってはならない
おれにある風のような翠の声おれにある針のような旋律みんな君にあげるでもみんな意味がないモン・サン・ミッシェルの道端に落ちてる石にだってどれも敵わない「時間がきましたさようなら 気が向いたらまた挑戦して下さいね」ちょっとは翠を蒼に背伸びさせようとするのに必ず針を逆に握って親指に赤くて丸い滴ができる怪我だよ誰も心配しない程度のプツプツ 月にプツツーツー 赤い粒の星意味がないものはリサイクルもきかないほら、また夜が明ける滴にそっくりの朝が沈黙の鞭をしならせてやって来る
陽はすぐ暮れる家路の途中で持ち上げる公衆電話の重い受話器聞ける術など無いくせに今日もまたじっと待ってる聞こえてくるのをじっと待ってる
知ってる?あなたが切ったあなたの髪の毛を私が食べちゃったって気持ち悪いって言われるから黙ってるでも、気持ち悪いね知ってる?あなたとあなたを合わせると気持ち悪いになるってわからないよねこんな話あなたはさっきすました顔してタモさんの話に笑ってたしね知ってる?タモさんだっていつかはいなくなっちゃうことを時間は過ぎるものだし湯水は流れるものだし風は吹いていくものだし秒針が動くその瞬間にも世界は変わっていくの誰にも止めることはできないの本当に誰にも止められないのだから進むか止まる、どちらかしかこの世には存在しませんなんて考えると虚しくなりますさっきすまして笑ったあなたところが今ここにいるあなたはどうやら私の味方をしてくれているようだねえ、あなたの一瞬たりとも止まらないこのどうにも大きく止まらない世界を見ているそれ、見るよ?見るよ?見るよ?あなたは「それ」を私のこのどうにも大きくとまらない世界を見ている「これ」に吐き出し、私はそれだけでは足りずに体中に塗りたくったり悲鳴をあげたり、出来る限りのことをした。時間は止まってる。確かに時間は止まってるの埃だらけの部屋もあなたが切ったその髪もあなたの「それ」に見られていたんだそしてあなたは今のかけら一つ残さず移ろっていく私は今あなたをみている私は今あなたのことを探している私は今あなたがどこにでも行けることを知っている私は今あなたがとても気持ちがよく空を飛んでることを知っている私は今あなたがここにいることを理解したくない私はあなたがここにいたことを大事に思う日がくる私は今あなたの「それ」つぶしてくりぬいてしまいたい
…やっと見つけたあんただろ?、あんただよな?だったら早く片付けてくれ折って 壊して 砕いてくれよオレの中の少しの土に 僅かな水に 微かな光にそんな「隙間」にあとからあとからあとからあとから生まれて生まれて生まれて生まれてくる「希う望み」そんな嘘そんなマガイ物そんな空しい蜃気楼そんなロクでもない妄想の上の楼閣 端からまとめて根こそぎ全部撃ち抜いて 切り裂いて 叩き潰してくれよそんなモノ無ければはじめから無ければ崩れて 流れて 消えるのを消えて行くのを見ないで済むんだそんなモノそんなモノ無ければ簡単なんだ簡単に簡単に消えられる消えられるんだ簡単に消えられる消えられるのに…なあ…あんただから…さっさと片付けてくれよ頼むよ……