第39回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01ピアノ妃咲195
02大丈夫鵯砂弐依186
03心のこえCOCO203
04友達神上小鳥876
05きっと誰も人には見せないみらくる。522
06焦がれたものトド257
07ブラックコーヒー待子あかね187
08犬。317
09discommunicational-paroxysmあまむらたすく252
10地面あお優225
11メッセンジャー292
12楽しく戦う霧一タカシ230
13桐生遥歌71
 
 
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エントリ01  ピアノ     妃咲


あなたの手が空中に舞ったら
いつもより軽やかに動く私の指先
聞きなれた旋律と優しい言葉が響いたら
退屈な午後の空気を変えてくれるような、
そんな気がしてる

1秒後、振り返ったあなたの笑顔に
私はどんな言葉をかけるだろうか
夢がかなった後の切なさを
少しだけ感じながら

高い空を背景に、いつもより輝くすべて
今はただ、あなたの後姿をずっと見つめていたい
やがてこの空がつれてくる別れの気配に
気づかないふりををして。








エントリ02  大丈夫     鵯砂弐依



痛みに

酷く落ち着かない

僕の身体はカルシウムの臭がする

そう漂白……

洗って削って剥ぎ取れ

命の予感が消えるまで

ひとつものでない肌色が不安で

気分が悪く仕方ない


だから


寒いと弱音は二度と吐かないって誓える

氷になったって辛くない心の保ちかたを

勉強してきたんだから

傷つけようとするものごと包み込む

包丁より固い速度で包み込む

自棄の果てを失わせる何てことのない貴方の大丈夫と


「いつか君を笑ふ」







※作者付記:
色々勉強して書きました







エントリ03  心のこえ     COCO


あなたは笑っています

あははと笑っています

あなたは怒っています

恐い顔して怒っています

くるくると変化するあなたの心

つかめなくて もどかしくて

あなたを見つめています

いつも いつも

声にならない想いだけど

いつも いつも

想っています 心から

花のように可憐です

その仕草や声も

大地のように強いです

その視線も心も

あなたのそばにいるだけで

それだけで強くなれる 強くいられる

好きで 好きで たまらない

ただあなたのそばにいたいだけ







エントリ04  友達     神上小鳥


僕と君が交わした
言葉のほとんど全てが
真実で
確かなものであると
ずっと信じていた

ケンカしたこともあったけど
君は僕の話を聞いて
僕を理解しようとしてくれた
そのままで良いよ、
って言ってくれた
僕も君の話を聞いて
君を理解しようとした
君の言葉の全ては
僕のこころの中強く響く

そして一緒に泣いたんだ
お互いの悲しみをわけあって
涙を半分こにした
持ち寄った苦痛は
僕にも君にも
どうしようもないものばかりだったけど
そうやって二人でいれば
少しだけ
ほんの少しだけだけど
生きている意味もあるかな、
と思えたんだよ

喜びの後にはいつも
それに見合う程度の悲しみが襲ってくることを
僕は知ってたけど
それでもずっと
信じてゆけたら、

ただ願っていたんだ

家と学校とを
同じペースで繰り返し
生きていく僕らは
時に言葉に出来ない程の痛みを
背負ってしまう
少し周りからはずれたリズム
皆心配するけど
きっと君は
君だけは
悲しみの時も
苦しみの時も
傍にいてくれると
信じていたよ

きみが、そういってくれたから…

君は言ったよ
親友になりたい、と
君は言ったよ
張り合いのないあんたは
一緒にいてもつまらない、と
君は言ったよ
あの日
無理して笑わなくったって
良いんだよ、って。

信じていたよ
僕の生きる力となっていたよ
君の一言で
僕は救われた
本当に
本当に
何よりも
嬉しかったんだ

「無理しなくても
 あなたはあなただよ」

でも
僕の信じ続けたその言葉は
君にとって嘘でしかなかったんだね
あの日
僕のこころに触れた君が
その場しのぎのように
吐いた幻想

君は僕の何を見て
親友になりたいと言ってくれたの

嘘に喜び涙する僕は
おかしかったですか

君の言葉で救われていた僕は
どんなに滑稽だったでしょう

どんな裏切りよりも残酷だったよ
僕の生きていく喜びは
日々少しずつ
どこかへ消えていく

家も学校も
どこにも居場所がなかった僕に
一瞬でも居場所をくれたこと
ありがとうと思っているよ

でも
初めからなくしてしまうものなら僕は
何も手に入れたくなんてなかったんだ

きみはぼくにとって
おおきなそんざいとなっていたから
あのことばがぼくのいのち
ふかくえぐっていくよ

死にたくないのに
死にたくなんかないのに

この手はいつも
血にまみれたあかいろ。






エントリ05  きっと誰も人には見せない     みらくる。


感情というのはどこからやってくるのだろう

胸の奥がつまったり、喉のあたりがすっぱくなったり、胃の中がつめたくなったり



いろいろな場所から「いつもの僕」を変えていくけど、必ず消えていくのに

どうして涙は、一度流れ出すと止まらなくなるのかな
悲しみだけは、いつまでも心に残って、思い出すたびにきゅうって締め付けられる



誰もいない部屋の片隅で、気づかれないように声を押し殺して泣いている僕は女々しいのかな
だって、大声でないていいなんて、誰も教えてはくれなかった
学校の先生も両親も友達も、泣くなよって言う
でも、ぬぐうために涙は流れるんじゃないって、僕は思うから



悲しみも苦しみもいつか忘れるとか、涙の数だけ強くなれるとか、皆嘘ばっかりだ
もしそうなら僕は誰より強いはずだし、こんな風に今、思い出し泣きなんてしないよ
思い出し笑いはあるのに、思い出し泣きがないはずないじゃないか


それとも、忘れられないのは、もしかして僕だけなのかな

皆いつか痛みなんて忘れてしまうのかな



そうして、人も、僕も、忘れられていくのかな


人を覚えていて、悲しみだけ忘れることなんてできるというの


それができない僕は不器用なの


僕は



僕は




誰か 答えをください。





※作者付記: 人前で泣ける人はきっと、幸せなんじゃないか、と思うのです。







エントリ06  焦がれたもの     トド


それはするりと私の手から逃れていってしまうのだ

それは姿を変え、ただ目の前を漂う

私の目にそれは近ければ捕らえられず、遠ければその眩しさに目眩を起こす


ある時伸ばした手に確かに触れたそれ

幼い憧憬が今、手のうちに在る

逃がさないように壊さないようにそっと手繰り寄せた


ああこの手に  やっとこの手に


安堵と陶酔とそして終わりの予感

そのとき一瞬の強い輝き

きらきらと手から粒子がこぼれ落ちる

それは夢のかけら

終わりの崩壊そして始まりの予感

こころは求め続ける

命ある限り永遠に


手のひらに残った一粒を胸に抱き

ひとしずくの涙を捧げた









エントリ07  ブラックコーヒー     待子あかね


客の少ないコーヒー屋
暇な時間帯 ふたりで貸切 
マスターはこちらを見て見ぬふり

砂糖なんて入っていないのに
手持ち無沙汰になるから、スプーンでかき混ぜる
ミルクなんて入っていないのに
色が変わるんじゃないかと思って
カップの中をのぞき込む

だんだん冷めてきておいしくない
目の前の人は、とっくに飲み干している
こちらをじっと見る
早く飲んでさあこれっきりバイバイと言いたいの

「おかわり、頼む?」






エントリ08  犬。     涼


ただ大人しく アナタを待つ
私は臆病な犬
玄関が開く瞬間を今か今かと待ちわびる
餌入れは殻のまま
最後に愛をかみ締めたのはいつだったかしら


アナタに愛を忘れられても
私は餓えたりしないのよ
ただ懐かしき色鮮やかな幸せを想い
霞(おもいで)を食ろうて生きるから
そう、私は決して死にはしないのよ


玄関の開く音が聞こえて
私はシャンと背筋を伸ばす
千切れんばかりに尻尾を振ってアナタを迎える
アナタの隣に他の犬がいても悲しくないわ
だって私はバカだから
隣にいたのは犬じゃなくて猫かもしれないじゃない?
それじゃ私、勝てないし
だって私はアナタを一途に想うだけの犬だもの


たまにたまーにでイイの、ね?
どうか私を優しく撫でて
そうしたら極上の幸せの中、私はまどろみ生きてゆけるから






エントリ09  discommunicational-paroxysm     あまむらたすく


折り目のついた今日を壊したいのなら
あの星をつかんでごらん
星の上げる悲鳴に
君はいたく興奮するはず
星の悲鳴は甘ったるい
ミルクをかけた苺のように
だって君を興奮させるようにできてるんだもん

誘惑の赤
欲情の白
輝きに目もくらんで
何も考えられないんでしょ?

劣情の白
悔恨の赤
輝きに目もくらんで
何も止められないんでしょ?

すべてつかんで壊して
夜がすべてを秘密にしてしまう前に
すべてつかんで壊して
あの甘い悲鳴が止んでしまう前に
すべてつかんで壊して
夜がすべてを秘密にしてしまう前に
すべてつかんで壊して
あの甘い悲鳴が病んでしまう前に






エントリ10  地面     あお優


窓を開けると ヒュル、と音がして
秋風が冬風に 匂いが悲し過ぎるよ

キンモクセイ あの香りいつの間に
鳥たちは…  騒がしく忙しく鳴き
私たちが…  校庭を走るときには
 
もう日々割れ 冬に侵されるだろう
もう泣かない 冬に消えて強くなる

黄金に香ばし 茜に黒くかげが飛ぶ
真っ暗い紺色 コンクリートのつや

確かグミの木 あかあかと君照らす
カメムシ…  嫌われ者泣いている
あのひと…  救ってりんごの日に

もう冬の匂い 冬の匂いだけが走る
泣きたくなり 冬の匂いだけが狂う






エントリ11  メッセンジャー     暁


このまちを
このとおりを
おなじようにとおって
ひとびとは
みな
ねがいを
つぶやき
ふたたび
まとって
きたみちの
いつもの
にちじょうに
かえっていったのでしょうか


* * *


ねがいを、採るの
ねがいを捕るんだ
ねがいを摂ろうと
ねがいを執るとき


* * *


一歩
ふみだした
そのさきは
きのうまでの
ごみ袋さげた
有明のあさ


* * *


ときどき
洗濯物が
うらやましくなる
くしゃくしゃに
丸められたって
半日もすれば
おひさまみたいに
すっかりもとどおり、で。

なんか、くやしくない?


* * *


「メッセンジャー、きいてよ」

ひとが
いる
意味
って
きっと、たぶん、それだけのこと


* * *


とくん
ってきざむ
いまをつれて
かえるよ
あしたへ


ねがいをこめて






エントリ12  楽しく戦う     霧一タカシ



戦いに勝つことはいいことだ。

戦いに勝つのは楽しい。

楽しむことはいいことだ。

戦いに勝つのはいいことだ。

矢を打ち抜こう。

戦いに勝っていこう。

そうすればいいことがある。

いいことがあるのはいいことだ。

勝つことは楽しい事だ。

戦いに勝つのを楽しんでいこう。

勝っていこう。そうすればいいことがある。

戦いに勝っていこう。そして楽しんでいこう。

戦いに勝とう。そうすればいいことがある。

楽しんで戦う。

楽しんで勝つ。

楽しむ。勝つのを楽しむ。

勝って嬉しがる。

勝ちを楽しむ。

楽しく勝つ。


※作者付記:
楽しく書きました。
楽しく読んでください。
これからも詩を書いていきたいと思います。







エントリ13       桐生遥歌


卒業生入場

卒業証書授与

卒業合唱

代表の言葉

祝辞

卒業生退場

花束

思い出

校舎

友達

進路



教室



後輩



先生







別れ
















明日の朝、目覚めたら、貴方はもう他人。



※作者付記: もうすぐ卒業してしまう先輩を思って書きました。
季節がずれてるのは許してください。