第44回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01あかるい、明日。あまむらたすく220
02氷雨水樹263
03Timeless LOVE story神上小鳥268
04四季ニット帽246
05new blinkA・K・T※データ無
06雨降り雨村コウ78
07ぷいぷい深月諒196
08新着メール問い合わせ絢神林檎78
09肉声霧らふ59
10好きだ卓(たく)217
11お菓子作り望月苺245
12たそがれの時に野々村197
 
 
バトル結果発表
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エントリ01  あかるい、明日。     あまむらたすく


ナイロン
ポリエステル
コットン
封じ込める昨日の夢

中国製の合成皮革
ウール
プラスチック
作り出す今日の自分

ワイシャツに封じ込めた反逆精神
ネクタイで縛り付けた自尊心
踏み出したビジネスシューズの先は
詰まり気味の直方体

明るい明日を作るのは
この暗い今日なのさ
視線は近くに落としておけ
自分の未来が見えちまう

ワイシャツよ封じ込めろこの不安
ネクタイよ離さないでくれこの俺を
踏みしめるビジネスシューズよどうか
俺を連れて行ってくれ

この暗い今日を越えて

あの明るい明日へ






エントリ02       氷雨水樹


バイトの本採用が決まり
明日からは
必死に
生きていかねばならない

1年以上もかけないと
詩も書けないくらい
手先も見えないくらいの


ずっと ずっと
飲み込まれていたの
だから
仕方ないのだけど



     父が亡くなり
     友人が亡くなり

   それでもなお
     増えてゆく『友人』

   全て年上

     友人と父の友人
             を
       全て受け継いだから



バイトの本採用が決まり
また 新たな仲間が増えていき

 人の輪が広がっていき


いつか私と
               深紅の糸
   で繋がっている人と

出会うのだろう






エントリ03  Timeless LOVE story     神上小鳥


おさんぽ、おさんぽ、
アタシと
アタシのあいするネコチャンとで
トコトコ、テトテトテ
あるくの

すすめ、すすめ、
アタシと
アタシをあいするネコチャンとで
ドコドコ、テとテとテ
つないで

ひろばをぬけたらね
おかあさんのところにつくからね
もうちょっとだよ

道の 真ん中
何にも 無いトコ
花が 一輪 咲いていて

ほら、おかあさん
パンうってるの
だいすきな おかあさん
いいにおいの おかあさん

花の下の 根っこの下に
小さな骨が ありました

おかあさん、
おかあさん、
おかあさん、

日が暮れる頃 二つの陰が
寄り添うように 溶けて消えた

トコトコトコ。
テトテトテ。
つないで、つないで。






エントリ04  四季     ニット帽



アナタと過ごした日々を例えるなら、夏。
全てが輝き、何も怖い事は無かった。

でも夏が終わってやって来たのは、秋。
私は恐れを知り、アナタと共に色は去った。

そして広がる長い長い、冬。
白と黒しか映さない目に、白く綺麗な顔が残る。


私はじっと、次の季節の訪れを待った。

春を迎えるまで、一体何年かかっただろう。


今やっと桜が咲き始めた。

アナタと出会った季節。

私の歩く速度は速く、アナタへと近づいて行くよ。

何時かは追い越してしまうけど、それまで其処に立っていてね。



真新しい服に袖を通す。


春が来たから会いに行こう。






エントリ05  new blink     A・K・T


後ろを向いて 世界を見た時 世界は変わっていた。

今まで歩いてきたはずの足跡は見えなく、サビとカビだらけ

誰が想像しただろう?

なんでこんなことになったのか?



自分に偽って歩いてきた所には

花すら咲かない サボテンですら枯れる道。

いつからそんな弱くなったんだ・・  おれは



自分に自信をもって歩いてきたはずの

道はこんな道じゃなかったはずだ

でも  現実はこのありさま、 解決策すら浮かばない

一歩も前に行けなかった 

心の弱さ みんなもってる

その弱さと言うプライドが

おれを変えてきた。






エントリ06  雨降り     雨村コウ


とんとんとん
とんとんとんとん
あおいあめ
しずく おちて はじけて
まざる
わたし
ぱちぱちぱち
ぱちぱち
みどりのひかり
くものすきま まだだよ
まだだよ
もうちょっとまって


※作者付記: 朝、雨の音で目が覚めました。今日は雨です。







エントリ07  ぷいぷい     深月諒


見たくない物を 見なくて済むように
見たくない物なんて 消えちゃえって思ったら
一番消えそうなのは 他のどんな嫌な物でもなくて
自分だな と思ってしまいました

ちちんぷいぷい

高々と持ち上げた おまじないの両手は
何だか切なくて 何だか虚しくて
邪魔くさい自分だけ いっそ消えちゃえなんて
心にもないこと 言ってみたりしました

ちちんぷいぷい

ギュッとしてパッ

あーあ
胸の錘も
こんな風に簡単に
消えてくれないかなぁ






エントリ08  新着メール問い合わせ     絢神林檎


『新着メール問い合わせ』

くるはずのない貴方の返事

『新着メール問い合わせ』

だけど来る事を期待して

『新着メール問い合わせ』

でもやっぱり

『新着メールはありません』







エントリ09  肉声     霧らふ


撚る

言葉を撚っていく


紡ぐのでは ない


カタ カタ と

紡ぐのではない


ひとつ ひとつ

手を 指をつかって

撚 り 合 わせていく






エントリ10  好きだ     卓(たく)


好きだ
この絨毯のほころびが

好きだ
夢と憧れの聖地アメリカが

好きだ
春を匂わす菜の花が

好きだ
快楽にゆがむ君のその顔が

好きだ
有りもしない夢に突き進む孤独が

好きだ
高さを競う煙突のモラルが

好きだ
動脈を呼吸させる真っ赤な血流が

好きだ
野良猫の振り返るその視線が

好きだ
犬小屋と水槽と鳥籠の身勝手が

好きだ
聞こえてくる全ての音が

好きだ
目に映る全ての事が

好きだ
感じ得る全ての物が

好きだ

好きだ

好きだ


大地にひれ伏し
両手をいっぱいに広げ
地球を抱きしめる

好きだ


好きだ






エントリ11  お菓子作り     望月苺



計って

混ぜて

こねて

冷して

寝かして

じっと待つ

其れはまるで恋のようで

其れはまるで愛のようだ



※作者付記:
何時も

いつも

イツモ

どうしてあたしばかり気にかけて、

あたしばかり振り回されているの?







エントリ12  たそがれの時に     野々村




夢を見ていたような 今もまどろみの中であるような

現われては掻き消える 白い感覚

私はどこにいるのか

夢は いつ醒めるのか

暗く日の差す回廊を歩きつめ

誰かが そこにいるのか

何もわからないままに 白い感覚に身を委ね 私は歩く

深い闇が訪れる ような

甘い予感が満たされる

どこか遠くで 風の音が

もうじき 天頂へ向かうだろう



そんな 遠い場所へ 時折行っては 帰ってくる

次は いつ訪れる事になるのか 分かりはしない