緩やかな痛みが僕を刺すもう伝えたい言葉すら忘れてしまったのかもしれない本当ならば僕はもう少し自由でもう少し優しくもう少し強く生きられたはずだった肌を伝う雫が嫌で振り払うように走る名もなきアスファルトの上をひたすら全力疾走それはもう泥沼のような無限のループ茂る夏草はもう事切れた後かなきっと明日は来ないんだろう今日と今日が隣り合って明日と昨日が混じりあって生きることにすら疲れてしまう僕らにはその境目を垣間見ることにすら目をつぶろうとする穏やかな眠りが世界を包むきっと伝えたいことはもう言葉がなくたって伝わるんだろう本来ならば僕らはもう少し自由でもう少し醜くもう少し真実の自分と生きていいはずなんだ茂る夏草は今明日を夢見昨日に終幕を告げる。
三キロも行けば、わかるよ本当?本当。とにかく、三キロ本当?そうだよ。三キロどうして?それは、僕にもわからない本当?本当。とにかく、わからない本当?そうだよ。わからないわからないが、うまくいくわからないのに?本当。とにかく、うまくいくどうして?そうだよ、それが本当だからどうして?それは、「本当は本当」だから本当って何?それは、俺にもわからない本当?本当。とにかくわからない本当?そうだよ。わからないとにかく、一歩踏み出せどうして、一歩踏み出すとにかく、一歩踏み出すんだどうして、一歩踏み出すんだ僕に説明できない「本当」を君が説明するため君に説明できない「失敗」を私が説明するため?信じるのに一人失敗するのに一人説明するのに一人ああ、全然進めないじゃない本当?いいえ。それだけは、本当の嘘ああ、僕も犠牲者かああ、君も犠牲者かよかった、よかったさあ、ならば、一歩進んでくれ本当?
「アンリ」 あなたがどこから来たかなんて忘れたわきみが何していようと構わないさ私たちお互い誰かだなんて本当はそんな余計なこと 聞かなくったっていいのにねあなたと私はひとつぎくしゃくするのは嫌なの捉えどころのないままがいいのさ境界線なんて引かない方がいい素敵な時間にしたいから耳元でささやいて魔法をかけてあなたと私はひとつこうしていれば親密になれるあなたと私はひとつ仮面は外してあなたと私はひとつひとつに融けあう
※作者付記: こんにちは。
冷たい部屋に二人水盆に清水と水銀を盛って口付けだけを今は未だ交わし続けるように媚薬踏み外す様なレールすら、最早見当たらないと云うのに貴方はどうして背後《背徳》を視るの?貴方と俺だけの結界。炎が深海で揺らめく白い肌と赤い口唇そうして唯青く包む世界貴方の名前を呼べば切り取ったも同じことで魂すらもう誰も手に取ることが不可能《出来ない》先見の夢見が薄く笑うは罪悪か後悔か貴方は縋って涙するの俺は貴方を喰んで愉悦するどうしてそう泪で厭うの?どれほどまでに言葉を尽して貴方のことばかりを瞳《レンズ》に映してきたのに月光に水銀が煌く足を浸して纏わり付いた、貴方は俺だけのモノなのに嫉妬が蒼い炎を焼く揺らめいて、揺らいで死神の大鎌さえも割って喪服の白衣を纏った貴方の蒼褪めた瞳に蒼い月が映る水盆は世界に通し黄泉《夜見》が嘲う腕も手も指も絡めてたとえどこかが千切れたとしても貴方を離さなくとも好いようにと、結界で貴方と俺を切り刻んで瞼を閉ざす。
※作者付記: 読み方はこうです。宜しければ。清水―しみず。喰んで―はんで。白衣―しろごろも。嘲う―わらう。
奨学金をくれる団体怪しいと思ったんだよ差別を助長する団体だとはいろいろいらないことまでおれに聞くから怪しいと思ったんだよ奨学金をくれる団体国家レベルで差別する素敵な国だぜ、この国は人権なんか無視さ無視さおれのその後は聞くのは止したほうがいいおれのその後は聞くのは止したほうがいいが、あることないことまるで、腐った女みたいにぺちゃくちゃあらゆるところで蔓延しおれはただ晴れた日でも灰色の雲、目に映してうつむき加減で憎しみを唾液に変えている循環せぬ溜まりこむストレス苦しいと思ったんだろううつむき加減の彼があんなこといろいろ過剰なほどに彼は痛めつけられ苦しいと思ったんだろう循環せぬ溜まりこむストレス世界レベルで痛めつける素敵な世界だ、この世界人権なんか無視さ無視さ彼のその後は聞くのは止したほうがいい彼のその後は聞くのは止したほうがいいが、あちらやこちらでまるで、布袋みたいにぼこぼこあらゆるところで痛めつけられ彼はただ晴れた日でも灰色の雲、目に映してうつむき加減で憎しみを唾液に変えている妄想の中で垣間見た循環して溜まらないストレス黒人奴隷が王様を痛めつけていい法律のある世界もはや、そこに住むしかない火星はどっちに行けばあるんだバスにさえ乗れないから歩いていこう不平等による問題はもはや平等では解決できないだろうが、神も仏も殺しを助長するくらいなら神も仏も殺しを助長するくらいならこれが定めなのかと聞く前にこれが定めなのだと憎しみを唾液に変えている
真夏に落とされる爆弾 母なる大地を焦がし 遠く 遠く 空高く あの花畑が燃えるのです 君の優しい微笑みが 彼をやる気にさせる 君のちょっとした言葉が 彼にミサイルを持たせる 君のことが大好きだから あの花畑は燃えるのです 照りつける太陽 淫らな空 その包容力で 僕を溶かして 煙草の灰がポトリと落ちて 立ち昇る煙が途絶える 淫らな空 僕を溶かして 照りつける太陽 ジジジ 晴れた空 に浮かぶ雲 白い 白い 大きな
こわいもの みつけたとてもこわいものしらないふりしてもすぐにみつかるからみつけたらみつかるからつまりはそんなもの
凍死しそうな真夏の夜に電線に止まっているカラス銀色のグラスに注がれたオレンジジュース俺の体は透き通って喉を通過する無感動何も飲んでいない凍死しそうな真夏の夜に女は去り、街を徘徊するそして午前二時の黒猫闇の中をカラスが鳴いている『一体誰を呼んでいるのか お前が鳴くには早過ぎる それとも 大切な者を失った俺を 笑っているのか そんなに繰り返し鳴くな 寝ぼけているのか それとも 嫌な夢を見てしまったのか 落ち着いて眠れよ 夜の闇はお前に優しくないはずだ』自分の発した声に目を覚ますそれにしても喉が渇いたオレンジジュースを注いでくれ凍死しそうな真夏の夜に立ち並ぶ家々の遥か向こうから喧嘩した女が俺の家を睨んでいる今にも潰されそうで怖い凍死しそうな真夏の夜に夜のお星様はオレンジ色に光っている自室の扉を開けると女が立っていた「し・・・」俺は言葉を止められた「感情は言葉に操られる」俺は何か喋ったが何を喋ったか忘れた朝焼け電線のカラス太陽のグラスに笑顔を飲みたい朝焼けの俺にオレンジジュースを注いでくれ
夜 静かな 胸に染みる 涙の雨タバコの煙が 身体に絡みつく濃いめに入れたコーヒー 舌に 苦く残る 砂糖を 1つ落とす・・・ 涙が一粒 胸に落ちる・・・ 『もう 泣かないで・・・ 僕が側にいる』 彼方の胸は 暖かすぎる・・・ 優しくしないで・・・胸が痛む哀しみが胸に 溜まるから・・・