第50回体感バトル詩人部門

エントリ作品作者文字数
01Root of minearuha534
02声を聞いて柿坂 鞠211
03薬切れ永愛298
04台風黒霧島男696
05サラyusukelyu
06ぬくもり177
07いろ愛留239
08裏と表神上小鳥498
09トリオール192
10モラトリアムゆり373
 
 
 ■バトル結果発表
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エントリ01  Root of mine     aruha


Root of mine

あなたとおばあちゃんが出逢ってくっついたから 
お母さんがいて私がいる
思ったとおり行かないことも たくさんあったのだろう
時代の流れに惑わさた 苦しい過去 
たくさんの愛情に包まれてた 温かな過去
口ずさまれたあなたの通ってきたストーリー
今もしっかり覚えてるから

それでもあきらめず 何度も立ち上がり
胸の張り裂けそうな いくつもの夜を越え
腰も砕けるほどの たくさんの山を越え
最後までがんばりぬいた あなたの姿
そっと 瞑った瞼の裏に焼きついてる
私が立ち止まりそうになった時には
いつもあなたの姿 思い出すだろう
してあげられなかったことへの後悔は
少し残るのだけど
毎日書きためていた日記には
たくさんの愛の言葉があって
たくさんの痛みの言葉があって
残るものを気遣う言葉がいっぱいあった
それでも最後のページに書かれた「満足してる」の言葉が
心底しびれるほどにうれしかった

すべての痛みから
すべての苦しみから
ようやく開放され
新しい箱舟に乗りこんだのだろう
その先にはあなたの好きだったお花が凛々と香り
果てることなくこれからの花道を象ってることでしょう 

ありがとう 
また会える日まで 
ちゃんと生きてみせるよ
あなたの誇りを抱いて
ありがとう
こころからあなたと血を分けあえたこと
うれしく思うよ







エントリ02  声を聞いて     柿坂 鞠



時として体は

心は

手は

足は

目は

口は

言葉は

気持ちは

本当に望むことに反してしまう


何がそうさせるのか

どうしてそうするのか

迷っているのか

考えているのか

受け入れているのか

逃げているのか

体は大丈夫な振りをして

心は何か手ごたえを感じた気になって

手はそれを掴もうとして

足はそれに追いつこうとして

目はそれを追おうとして

口はそれを言おうとして

言葉は鋭く曖昧で

気持ちは素直な振りをして


それは

まるで知ってはいけない秘密のように

毎日わたしに問いかける







エントリ03  薬切れ     永愛


なんでかな いつの間にか一人ぼっち

私に安定を与えてくれた彼方は消えてしまって。。。

私は彼方のものではなくなって、いつの間にか真っ暗な場所に放り込まれた

拭っても 拭っても 拭っても 涙は枯れてはくれなくて

ただ苦しくなるばかり。彼方のコトを考えて、惨めな気持ちになっていく

彼方は私から消えてくれなくて、彼方のことを嫌いになんてなれなくて

信じたくなくて現実逃避、逃げても逃げても追いかけてくる現実

怖い  恐い  コワイ 

暗闇は、一人ぼっちは、寒い身体は・・・






すごく・・・すっごく
               

            寂しいよ・・・

不安で・・・不安で

            苦しいよ・・・







エントリ04  台風     黒霧島男


煙草とコーヒーの飲みすぎで身体がわけわからなくなって
何もする気がなくなってしまい外の空気に触れようと外に出た
風がびゅうびゅう吹いている、ああ、さっきラジオで言ってたっけ、
台風だって
アパートの廊下から街を眺めると曇った空が夜のネオンで赤らんでいる
天候に関係なくやってるじゃないか。人間ってすごいなあ、と思った
雨は降っていない、風は気持ちいい。
濡れたアスファルトの上赤らんだ夜を歩いていくと
どうして、やりきれない気分になるんだろうか、
ねえ野良猫さん
あんた、どっかにお逃げよ。そろそろやってくるよ、台風が
猫はこっちに顔を向けもしない
畜生!人の忠告を無視しやがって。とんでけ、とんでけ、野良猫さん

小さなころ、台風の目が来ると街を自転車でつっ走った
風が常ならぬ強さで俺の足を止め、俺はうぬー、と叫んで足を動かした
台風だから、人はまったく居ない。気兼ねせず、うぬーと叫びに叫んだ
俺はいったい何をしてるんだって、その真っ只中自分でわかっていた
だが、空が真っ青で笑っている
風をこんなに吹かし、人を殺す
台風の目は穏やかに笑っていたのだ
それで俺が叫び走る理由は十分だった

台風と戦ったときの古傷のある腿の上に野良猫を乗せて穏やかな殺し屋の訪れを待つ
だがさっきから降り始めた雨が強くなるだけで俺は怖気づいて夜の道を濡れながら帰る
台風で近くの病院も締まっていたし台風に怖気づくことのない子供も病院は恐れた
それで、俺の腿には台風がつけた傷がミミズのようにいまだに這っている
開け放したままの窓から雨が入って床を濡らしていた
俺は窓を閉めて床を拭いた
猫は隣でニャーと鳴いた
台風は戸を叩いたが
俺は戸を開けてやることが出来なかった







エントリ05  サラ     yusukelyu


「サラ」


 
いつも決まって日の沈む午後に
通りに面した店できみに会い
一緒にお茶か軽いお酒を飲む


夕陽を浴びて光り輝く姿は
息を呑むほどきれいで
生命力に満ち溢れて見える


すべての西の空が
夕日に照り映えている
この瞬間に
僕らは全てを集中して
音楽の余韻を楽しんでいる


朝の光の中だときみは僕を
僕はきみをうまく見つけられないかな


こっちだよ、皆の素敵なサラ・サンセット
この夕暮れの時間を一緒に買おう
ここならば掛け値なしに満たせる
満たされる



※作者付記: よろしくお願いします。






エントリ06  ぬくもり     彗


いつも
 私の肉体にアナタは触れてくれない。

それでも
 アナタは私を笑わせてくれる。
 泣かせてくれる。
 感動させてくれる。

だけど
 やっぱり、腹が立つときもある。

でも
 私はアナタが好き。
 愛しいの。

けれど
 決して触れてくれない肉体は冷えていく。

その分
 心には触れてくれ、心はいつも温かい。
 心にアナタの温もりを感じる。

恋をする
 私はこの先、死ぬまで書物に恋をする。



※作者付記: 書物(本)に恋をしてしまう。
書物の登場人物に癒され、心を動かされる。
書物を愛してしまうが、肉体の温もりを感じずにいく。
肉体の温もりは決して書物は答えてくれないのだった。






エントリ07  いろ     愛留


あかしろきいろ
あおくろみどり

色はイロいろ

赤といっても一つじゃなくて
明るい赤や暗い赤
薄い赤に濃い赤も



あかしろきいろ
あおくろみどり

色ハいろイロ

緑といったり青といったり
人によって見え方違う
表現だってみんな違う




むらさきぴんくおれんじちゃ

イロは色いろ


光が反射し
ヒトの目に
色がイロとして見えてくる


光によってイロ変わる
ヒカリニヨッテ色カワル


肌色なんて色なくて
しろくろきいろ
みんないい

お日様の下
みんな自分色に輝いて



あかしろきいろ
あおくろみどり
むらさきぴんくおれんじちゃ

色はいろいろ
ヒトもいろいろ







エントリ08  裏と表     神上小鳥


幼いころは

周りにあるもの全てが真実で

世界が広いと知らないからこそ

世界は無限に広がっていた


君とボクと

それに不思議は無く

友達に母や父が居るのと同じで

当然のことだと思っていた


鈍く肌を打つ

痛みと苦しみと嫌悪

君がボクから持っていったすべてのもの

そんな時はいつも息ができなくて

今すぐ死んでしまうんだと

何度も何度も何度も

呪文のように反芻した


ひとつの殻に重なり合うように

君とボクは存在していて

手を伸ばさなくても

声を上げなくても

君はいつも

ボクの悲しみを理解して

感じて

泣いた


あのころ

世界が広いと知らなかったボクたちは

お互いをお互いへ捧げ

全から一を抜いて

孤立するように

理不尽に絶えるしかなく


何もかもが真実と知りながら

何もかも否定していた


多くの時間が通り抜けた今だって

君はボクのためにあり

ボクは君のためにあるけれど


世界にも優しく伸ばされる手があることを知ったから

知ってしまったから

少しだけ話してみようと思ったんだ

君以外の誰かに


人のぬくもりを得たいと思う

ボクを

許して


そこは

君が居たから見えた世界なんだ

生きていくことはとても

苦しいことかもしれないけれど

賭けてみたいと思うこの気持ちは

真実だと思うから


話してみるよ

君以外の

誰かに







エントリ09       トリオール


灰皿の下に写る小さい影から闇雲に手探りし見つけ出す希望を・・。
老婆の言いつけはもう守ったよ。反転し宙にさよならして僕は終わりの始まりに乾杯する。出来る?出来ない?
長いモノには長いだけ厄介な小話。眩いライトにしぶとい奴等
口悪い女の子に、口悪い兄弟に、口悪い友人に
それに口汚い自分自身に少しの忍耐を
グルグル回る観覧車、埃まみれの誇り。
流れる方向と行き着く先  もう君の食べ残しはいらない。



※作者付記: 感じるままにタイプしました。
なので自分自身のあまり分かってないです
すいません






エントリ10  モラトリアム     ゆり


助けて
私はここ

誰か気付いて

助けて
私はここ

誰か助けて

この黒い海の底
冷たく暗い孤独の底

どうしてここにいるのか
どうしてここにきてしまったのか

わからないわからないわからない

両手で髪をかきむしる度に
右手に付けられた鋼鉄の鎖がじゃらじゃらと鳴り
静かな海底に木魂する

悲痛な嗚咽と
たくさんのあぶくが天に昇り

肺に氷のような水が満たされた頃

私は悟る

あぁ
私が本当に欲しかったのは、
私を抱え上げるほどの大きく強靭な手ではなく、
その強靭な手を振りほどけるほどの強固な意志であったのだと。

その瞬間、
右手首の鎖は赤茶けた酸化鉄に変化し、
私は天の真白なヒカリを思い出す。

生きたい生きたい生きたい

磯の匂い
飛び交うウミネコの群れ

そして私が帰りたい場所
それはあの居心地のいい宝石箱の中ではない。

どこまでも続くアスファルトの上
全身を切り裂くような凍て付いた風

私の帰るべき場所
それはこの自由。