第66回体感バトル詩人部門

エントリ作品作者文字数
01 未練花子140
02螺旋和音コイン383
03気づかずとも、雲は流れる灰原カナメ270
04神上小鳥289
05雨足しょうたろー86
06紛失届永愛121
07自分へblack love134
08ミレニアム・レクイエム597
09愛されたい神楽レナ103
10味噌汁は朝のブルースoka-taka374
11恋は戦争柴紀姫 凛195
12さらあい
 
 
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エントリ01   未練     花子



 あの夜

 尖鋭な三日月

 あっけらかんと銀座の空の下

 気に入ったでもない男に抱かれて

 私は不思議な少憩を得た


 その透徹した理智

 抜け殻のようなその肉体

 繊細なその神経

 その人生への冷眼はしかし

 漠然、離れがたく

 放り出しても

 放り出しても

 私の胸に生きている


 逢いたい

 もういちど逢って

 抱かれたい







エントリ02  螺旋和音     コイン


くるくる
くるくる
響いて弾いて
聞こえて届け
くるくる
くるくる
螺旋は回る、終わらない
和音は響く、止まらない
くるくる
くる、くる
螺旋は回る
螺旋は回る
くる、く、る
く、る、くる
だけども螺旋は壊れてしまう
和音はどこまでも響くのに

どうして?
どうして?
どうして?
和音が共にいて何が悪い?
螺旋は何で?何処が悪い?
螺旋は回る、くるくると
和音は響く、くるくると
二つは同じ
二つは一緒
二つで一つ
だけども二つは交わらない
だけども二つは交われない
だって夢と幻は違いすぎるもの

無限に響く、夢の和音
無限に繋ぐ、幻の螺旋
二つは同じだけれど
二つは一緒だけれど
螺旋はいつか途切れてしまう
幻を繋げなくなってしまう

永遠は終わり
幻は終わり
螺旋は終わり

だけども和音は響き続ける
夢を持つ人の和音と共に
いろいろな色の和音と共に
螺旋とはここでお別れだけど
私は悲しまない
涙を零さない
だって螺旋はいなくなったけど

夢が叶うんですもの



※作者付記: イメージでは螺旋と和音を恋人と仮定して書いてます。
何かを追うためには何かを捨てなければいけないという、切ない感じも掛けています。






エントリ03  気づかずとも、雲は流れる     灰原カナメ


髪を切った。
何も、変わらなかった。

山積みの仕事に、自然とため息が漏れて上司に睨まれる。
今日も意味を成さない定刻のベルが鳴った。

エステに行った。
何も、変わらなかった。

延々と続く自慢話に、自然とため息が漏れて彼氏に睨まれる。
日が沈みお決まりのキスをして別れた。

服を買った。
何も、変わらなかった。

電車で鳴り響く携帯電話に、自然とため息が漏れて若者に睨まれる。
周りの乗客は我関せずと目をそらした。

空を見上げた。
何も、変わらなかった。

太陽を覆い隠す鉛色の雲に、自然とため息が漏れて……
無性におかしくなって笑いがこみ上げた。

何かが、変わった気がする。







エントリ04       神上小鳥


目を閉じた
夜闇におちていく意識の中で
月の光導く
淡い夢の痕跡は
やすらぎの記憶なぞる
柔らかい翼

明日を今日とするために
今日を昨日とするために
全ての悲しみ癒していく
あなたは夢の中涙流すの

時折空から舞い落ちる
世界に散らす涙の結晶は
そっとその肩に白く
現実まで溢れ出た
悲しみの色奪うように
噛み殺そうとした鳴咽
消し去るように
頑張ったね、と
囁く

視界さえ染め上げる純白
ふと雲間から零れた光
世界はこんなに綺麗だと
あなたの側に寄り添う
風の花は枯れても
わたしは夢の中
あなたの幸せを願うの

悲しみに色褪せる世界で
忘れない白をたどって
いつか巡り会うなら
底無し沼に溺れても
その瞳が光忘れるまでは
手をのばせるように







エントリ05  雨足     しょうたろー


落ちてくる
僕の頭の上から。
それは神様が流した涙。
悲しくて泣いているのかな
悔しくて泣いているのかな。
僕には判らなかったけど
七色の帯がキレイだったから
それで満足しちゃったんだ。







エントリ06  紛失届     永愛



何かを失くしてしまったの

とっても とっても大切な

何かを失くしてしまったの

大きな涙を飲み込んで

月は涙を流したの

星が流れて消えました

大きすぎる哀しみは

飲み込むことが出来なくて

暗い夜空になりました

1つ 1つ また1つ

次に堕ちるのは

・・・なぁーんだ?







エントリ07  自分へ     black love


一つの恋が終わって

何かが壊れて

世界が終わった気がしたら

考えてみてほしい

その人との想い出を

すべてが幸せではなかったね

でもすべてが辛くなかったよね

まだ誰もいないここにいたい?

もぅ元恋人は先に行っちゃったよ

もぅ戻ってこないんだよ

泣いてもいいからそろそろ行こう

また幸せになろう









エントリ08  ミレニアム・レクイエム     百


 目を固く閉じた少女が頭を後ろにぐっと反らし、祈りではなく、怒りでもなく、哀しみでもなく、静かに、ただまっすぐにその目を開く。
 その瞳の光の中、無機物の兵器が荒寥とした平原を飛び交う光の銃弾と、崩れ落ち炎に舐められ燻っている敵味方を素晴らしい速さと動きで避けつつ、恐れを知らぬかのように進軍していく。
 無機物としか思えないその兵器の中には、それぞれの暮らしや家族や名前をもつ人々が存在していることを少女は知っている。

 彼らは、兵器ではない。
 彼らは、人間である。
 そう、僕と同じ。
 しかし、ここは戦場なのだ。
 僕は何のために戦っているのか。
 『平和』のために人間を殺すのか。
 彼もまた、
 『平和』のために僕を殺すのか。

 何も考えるな。
 生き残ることだけ、敵を倒すことだけ考えるんだ。
 生きてさえいれば、歴史や大義名分は後から、
 いくらでも創り出すことができる。
 何も恥じることではない。
 
 なのに、どうして、こんなに、苦しく、哀しく、痛みすら感じる。
 僕は悲鳴をあげ、涙を流し、絶叫しながら、戦い続ける。
 それは、僕にしか聞えない。
 確実に僕は壊れていく。
 何も考えるな。
 何も思うな。

 少女は哀しげに目を閉じると、頭を垂れ、自分の身体を抱いて震える。
 もう二度と愛している少年に逢えないことをことを朧げに感じて。

 少年は生きて帰ってくる。
 しかし、少年はもう、私の瞳を覗き込むことはできない。







エントリ09  愛されたい     神楽レナ


きれいな花をつければ
雑草と罵られませんか

か弱く枯れてしまえば
大切にしてくれますか

それって羨むほど
すてきな事ですか

守られなければ
生きていけませんか

誰かを恨まなければ
笑えませんか

あなたはそんなにも
正しいのですか







エントリ10  味噌汁は朝のブルース     oka-taka





三月四月五月六月七月八月
直線に走っていく車両の中横向き座り十二個の季節は直線
ビリーザキッドの新しい夜明け
特にネスカフェの朝のバトンタッチ
ものがたりはここからはじまる字幕銀河鉄道の夜序盤に
暑い夏コカコーラフリスク新宿西口の自動販売機タクシードライバー落書き共同墓地の中皆雨に打たれてりゃいいと書かれた歌詞
週末の恋人達Sоmeday
紅色文庫本ブックカバー片岡義男の世界に居る
大きい太平洋静かな波の上悲しくも無く理由も無く大泣きするサーフボードの上の少女
高井戸上映ミツバチのささやきの晴れた午後三時の踏み切り
夏まで飛び続けるフリスビーポラロイドの中閉じ込めた影かせきさいだぁポップアート
電車の窓西の方全部オレンジの夕方空気のジュースの瓶の色
屋根の上の高さ座る走る車両のシートに座ったまま
指を絡めて直線の遠くまで横向き座りどこまでも
季節は繰り返さない直線







エントリ11  恋は戦争     柴紀姫 凛


   まさに
     恋は戦争で
  傷ついて
    傷ついて
 ボロボロになって
     自分を犠牲にして
  がむしゃらに戦う

戦争が終わっても
     傷は消えない
  戦争が終わっても
 平和はこない

  ただ言えるのは
 生きて
    生き抜いて
  ここにいる

   もしかしたら
生きているだけで
  平和かもしれない

傷ついても
   ここにいるんだから
      生きているだけで
  平和かもしれない



※作者付記: 女はいつも、戦争だ。
いい男がどこにいる??

でも、そうでない人もいるけれど、
戦争の中で暮らしてる女たちは
怖い。

傷ついてボロボロでも、
それでも戦い続けるのは
世界各地で起こっている戦争とは違い、
愛を探し求めているからなの。






エントリ12       さらあい


いたい、いたい!

なんだ!これは!

目の前にある障害物。

なんであるんだよ!

どうすりゃいいんだよ!

障害物に顔をつけると暗闇しかない。

それは、壁。冷たい、硬い。

前に進みたいのか、それすらわからない。

でも、前には壁がある。

声がする。

「別にのりこえなくてもいいよ。」

ああ、その言葉にながされようか!

他に道はないのか!

なんで壁があるんだよ!