孤独な詩人は憧れる 天使の羽根をもつ小鳥たちに 大海で群れ遊ぶ 魚たちに 孤独な詩人は今日も詩う 喪失した恋を 伝えられない想いを 意気地無しの哀れを 孤独な詩人は今も問う なぜ生まれてきたかを 生かされている 存在理由を 孤独な詩人は今日と明日のはざまを生きる 今を精一杯 今日を精一杯 孤独な詩人は想い描く 明日という手の届く未来を 未来へとつながる明日を 孤独な詩人は疲れて眠る 野良猫みたいに 人知れず 河原の葦のしげみで疲れて眠る 人知れず朽ちはて 土へと環る それが孤独な死(人)だということに 気付きもせずに
あなたのひとみは いつも彼女をみつめていた 追いかけていた 隣にいる私には気付かずに 私の両のひとみは ただ あなたの姿だけを 追いかけていた 気付いてもらえなくても あなたへと伸ばした手は 空をつかみ 宙をきる 伝えられない想いは ひとつの塊となって 私の心を塞ぐ
風が出てきた。 今日の月は細い。そのうえ、今まで、雲が動かなかったから、真っ暗。 なにひとつ、僕の周りで動かないはずなのに、空気の中で、生きてるもののにおいや呼吸音がするような気がする。 そして、聞えるはずのない足音や枝をしならせる音がかすかに、僕が背を向けている方向から、聞えてくる。 空気が闇が、じっとりとまるで生きもののように、僕を追い詰めているような気がして、息苦しい。 風が出てきた。 僕はおびえていた。見えない、その生きものに。この、僕がだ。 風が出てきた。 突然、僕は気がついた。 僕がおびえていたのは、自分自身だということに。 森は風を受けて、いっせいにざわめきだした。 風は、僕の身体の周りから、僕の身体の熱や呼吸音や、そう、ありとあらゆる、僕が生きているというじっとりあたたかい生きものの証拠を吹き飛ばしてくれる。 ざわめく森の中でこそ、僕は消えていることができる。 僕は自由だ。 心の底から、開放感が笑いとなって込み上げてくるが、僕の声は森のざわめきに掻き消され、僕に聞えない。 もうだれも、ぼくをみつけることなんて、ぼくにかんしょうするなんてできないよ。 指が動かない。 僕は愛せなかった。 どうしてもできなかった。 まだ、僕にしがみついて、僕を愛しているとでもいっているのだろうか。 僕のこの血だらけの手。 風の中で、君達の血に縛られていく。 僕は愛せなかったよ。 細い月。 こんな僕、いらないよ。
いつも顔を見ると笑っちゃうのは 君に会えて幸せだから 「そんなに嬉しいの?」 バレてるとは思わなかった 恥ずかしくて何も 答えられなかったけど 気持ちは伝わってるはずだよね 大好きだよ
※作者付記:大好きな人に気持ちを察せられてしまったという 可愛い詩です。
私の心は愛に貫かれている でも、それは私の行動の要素ではない 二つのそれは私の頭と心を尖鋭に対立させ 生活の乱れは悉く愛を中心に巻き起こる どうしてそれほど私の乱れるに至るかは全く不思議 私の愛と行動はいつも没交渉