この世の一切の懐疑的精神の外なるものは 芸術に対する信仰のみだと大見得切って 裸一貫六畳一間 見窄らしい軽蔑の人生眺めつつ どっこい 男は今日も生きている ああ そんじょそこらに よくある話 惚れた女と酒のみ交わし 今に見ていろ俺たちにゃ 神さえ知らぬ夢がある
私の小さい良心が 空に触手をひろげている。 大きく広く けなげにも 青い粒子をいっぱい吸って、 あああ 緑色の! 醜いからだを隠そうと 必死だ。 それがあまりに かわいそうであわれで。 その緑が ぐをんと つっ立つ。 ぐねらぐねら と 曲がる腕、 ぎじりぎじり と きしむ脚。 一生けんめい 笑いを うたう。 それがあんまり かわいそうであわれで。 ぐねらぐねぐねぎじぐねら。 ぐねぐねぎじりぐぐねぐね。 私は実際 君らが好きだ! だからかなしむ ことなかれ。 だから かなしむこと なかれ。 …………………。 大きく広く けなげにも 青い粒子をいっぱい吸って、 私の小さい良心が 空に触手をひろげている。
※作者付記:何かを真似たのですが、何を真似たのか忘れてしまいました。
窓から 漏れるような ぼんやりとした光 薄暗い部屋 私は横になって ぼんやりしている むきだしの私の足だけが 白く 光る 手が届かない 遥か 遠く 伸びている足先 何故 こんなことになったんだろう いつの間にこんな身体になったんだろう 目を閉じる 大人の 男の あなたが きれいだと 言ってくれた うれしかったのだけれど 雨音 窓に ぶつかる雨 水滴に揺れる光 そう 私には見えないけれど 私の唇は紅い だから 微笑んでいなくては
明日わたしが終わっても 君は微笑っているだろうか。 明日わたしが終わったら 君は悲しんで嘆くだろうか。 明日わたしの音が 消えたら 君はどうしているだろうか。 明日 世界は表情ひとつ変えず 同じ朝を繰り返すのだろう。
途中で道を外れてしまった 何の迷いもなかった 上り坂がきつくて 躊躇いなく 諦めた ちょっと躓いただけで 挫けた 今もそのしこりを残したまま それでも 私はのうのうと生き存え 他愛ない人生の中 幸せを感じては 笑い 悲しみを感じては 泣き 人間らしく存在している つもりになっている ある日 見かけた 途中まで一緒に坂を上っていた あの子 怒涛の如く流れ込む 醜い 醜い 感情 後悔を押し潰して 心に満ちた 虚無と嫉妬と ほんの少しの憧れ 偽りの毎日が一瞬にして崩れ去り 全てを空白が塗り潰した 息苦しくて 耐え難いほど苦しくて このまま消えてしまいたかった だけど 私には嘆く権利がない 私は上り坂を引き返し 彼女は頂上を目指したのだから 傷口はやがて私の一部になり 再び 見て見ぬふりの日々が訪れる 他愛のない それでも私の人生 逃げ道を選んだ私の背中は どんなに小さく 貧しかっただろう 頂に向かう彼女を ちらりと振り返った時 天から降り注ぐ光が目の前にあった 手を伸ばそうとするけれど とても眩し過ぎて 私は目を逸らしてしまった