■いつぞやの 仁さん
感想:
例えば膿んで蛆が湧き強烈な異臭を放つ傷口がある人間がいたとして、その人間と距離を取ってしまうのは――少なくとも、食事中は――仕方がないと言える。
疎ましく思わざるを得ない状態に陥った人間というのはいる。
そういう病気がある。
老人の認知症はその一つであるし、若年者であっても精神疾患やパーソナリティ障害によって、「疎ましい」「憎い」という感情を呼び起こさざるを得ない言動を伴う事がある。
だが、「家族の愛」とやらでそれを包み込めるという幻想が、どこかで生まれた。これは作家にとっては喜ばしい事であるが、人間にとっては不幸である。
医療の対象となる筈の事が、素人の作り出す環境のせいにされた。
47歳の主婦が脳の切開をし、肝臓を切り取り、冠状動脈を縫いつける。治る事もあるだろう。だが大抵は、治療に失敗する。そもそも、メスすら持っていない事もある。
百足は種類によっては300を超える肢を器用に動かし歩く。その技巧を誇る事がないのと同様に、自分の能力を遙かに超えた事態に対処出来ない事に、何ら負い目を感じる必要はないのだ。
投票者: このバトルへの参加作者
感想:
なんか…好きです。
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