QBOOKS体感バトル

第1回小説参加作品/エントリー2
歌羽 明衣萌
文字数0(文字数は必ず書込みましょう/マニエリストQ)


Which?

 私と那智は、コンクリートがどこまでも続く道の上を走っていった。私は、なっちゃんの傘。朝には降っていた雨はもうやみ、空には夕焼けが果てしなく広がっている。
「どうしよう。私の好きな人は真哉だったのに・・・・・。何でいまさら優介のことなんか気になっちゃったんだろう。」
 なっちゃんはつぶやいた。その瞳からは私たちには出すことのできない「ナミダ」というものが溢れていた。
 真哉はなっちゃんのクラスメイトだ。中学校になって初めてなっちゃんと話をしたのは女子でもなく先生でもなく真哉だった。帰り道、階段から足を滑らして立てなかったなっちゃんに
「大丈夫?」
と声をかけてくれたのは、真哉だったから。
 真哉は、頭はあまりよくできないけど、運動神経が良くて、リーダーシップが取れる。誰とでも仲良くなれるし、けっこうモテてた。なっちゃんは真哉が好きなんだ。
 優介は、なっちゃんの後の席の、同じくクラスメイトだ。今日のことだった。バレーボールで突き指をしたなっちゃんに付き添っていた優介が、保健室で言った。
「ごめんな。」
「つーか、何でお前がついて来るの?」
「保健委員だし、何より俺が怪我させたようなもんだから。」
「そういえば、あのボール、優介のトスだったしね。それより、きれいな指してるよね。優介って」
「まあ、ピアノ習ってるしな。・・・・・・それ、いやみか?」
「ちがうって。それより、ピアノ!?すごいね。」
「よし、湿布はったし、行くか。皆心配してる。」
そう言うと、優介はなっちゃんの手をつかんでそのまま教室に戻っていった。
優介はいつもそう、世話が好きで、人懐っこくて、大事な話ははぐらかすし、でもとっても優しいんだ。
 タダ、ソレダケノコト。
でもこんなに辛い顔してるなっちゃん、私を買うとき以来始めてみた。
なっちゃん、いつも迷ってる。私を買うときも、隣の赤いヒトと私とでずいぶん迷ってたし。きっと今回も・・・・・。
「あれから、一日中後の優介が気になった。優介見ると、顔が赤くなってくし。」
ねえ、なっちゃん。あなたはどちらがすきなの?
今のなっちゃんの心は、この夕焼けみたいに微妙なのかな。
どっちかなんて、わからないよね。どっちも同じくらいすきなんだから。
期間で言えば、真哉が上、態度で言えば、優介が上。
どっちも、かっこよすぎるよ。
アナタガスキナノハドッチ?
Which do you love ?




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