QBOOKS体感バトル 第1回詩人参加作品/エントリー3 加賀 椿 行数17
下宿人の歩き方
廊下を歩く時は音をたて 自分が来たと知らせる 部屋の前では一呼吸 それからふすまに手を掛ける このタイミング このタイミングが重要だ 姿勢を正せる時間をあけ されど不自然と思われない程度の時間をあけ 「入ります」 声をかける 部屋には誰もいなかった いつもの事 この広い家の中 何処かの部屋に誰かがいる事の方が珍しい それでも僕はいつも こうするしかないのだ これぞ下宿人の歩き方