pcの恋愛ゲームで、今日も相手を探す、情けない毎日。現実での恋は成立しない。ほんと、情けない。 ゲームで告白された。てか、付き合ってもないのにプロポーズ。 「好きです!結婚してください。」 この仮想空間の中では、モテる女の気持ちがわかる気がする。振るのって、気持ちいい。私は≪振る≫のボタンをクリックする。 「私、あなたに興味ないから。サヨナラ。」 ハァーッ。次のオトコ探そ。こんなはやく結婚なんて、ロクなオトコじゃないんだから。って、何真剣に考えてんだか。 「待ってください。僕は真剣です!結婚は急ぎすぎました。僕と、付き合ってください。」 おっ、けっこう・・。≪OK≫ボタンをクリック。 「いいよ。でも、ちゃんと優しくあつかってよ?」 苦笑 なんかいやらしい。 「ありがとうございます!はァ〜よかった。明日食事でもどうですか?」 ちょっとじらしちゃおっかな。≪じらす≫ボタンをクリック。 「ごめん。私ん家親の目とか厳しいんだ。あんまり仕事以外 の時間に外出は、ちょっと・・。」 「そうなんですか。わかりました。まあでも、同じ会社ですし、勤務中にお昼、一緒に食べましょう!」 なんかリアル〜。 「はい。なんか気を遣わせてちゃって、ゴメンね。」 「いえいえ。そんなことありませんよ。冴島さんと少しでもかかわれて、嬉しいです!」 「何か照れちゃうな〜」 「じゃあ、今日は帰りますね。バイバイ。」 終わった、と思ったその時、pcの中の私に、男がキス。仮想の私が赤くなってる。やっぱ軽い。男もゲーム内の私も軽い。 途中ちょいリアルかな〜なんて思ったけど、どうせ『ゲーム』なんだから。 バカらしくなってきた。pcの電源を切る。 「ポロロローン・・」 オフの音が、私の恋(仮想)の終わりを告げる。
※作者付記:私が今この場で書いた作品です。てか私、小6です☆
俺は、適当にターゲットを選んでケータイのボタンを押した。今日は、このジジイから、たっぷりふんだくってやるとするか……。 ぷるるるるっ、ぷるるるるっ、ぷるるるるっ、ガチャっ。 「はい、もしもし」 こいつは幸先が良い。声の感じからして、いかにもカモといった感じだ。 「あー、オレオレ」 「おおっ、ヒロシか?」 「そうそう、ヒロシだよ」 「声の感じが違うな。エボラ出血熱にでもかかったか?」 「……い、いや、ただの風邪だよ。ただ、ちょっと喉に来ちゃってね」 「そうかぁ、気を付けろよ。しかし、『バカだから風邪を引かない』と、それだけが自慢だったのになぁ。このバカ」 「……あ、うん」 「しかし、ケータイの番号が違うな。変えたのか?」 「ああ、そうそう。ケータイ、水没させちゃってさ」 「あれ? そういえば、関西弁使うの止めたのか?」 「……いや、そんな事ないがな。気のせいや、気のせい」 「語尾に、『げにょ』って付けるのも、止めてしまったのか?」 「……そんな事あらへんがなげにょ。いつも通りでんがなげにょ」 「時々、意味もなく『ぷっぷ、ぷーぅっ』て言う癖もないし」 「……あるあるっ、どうしてもその癖だけは抜けんで困っとんのやげにょ。……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「やたらと英単語を混ぜる事もしないし」 「……それでやなぁ。ワイのミスで、コーポレーションが、ノット・クロス・オーバーを出しそうでんねんげにょ。……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「ノット・クロス・オーバーって、なんだ?」 「ザッツ、不渡りでんがなげにょ。マイ・ダディげにょ。……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「突然、間に小咄を挿まないのは、どうしてだ?」 「『くそう、化け物めっ。これでもくらえ、細菌兵器だ』 『はっはっはっ、そんなものは私には効かん』 『なぜだ? なぜなんだ?』 『最近、平気になりました』……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「はっはっはっ、お前は相変わらずだなぁ」 「そ、そうでっしゃろげにょ。マイ・ダディげにょ。……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「こうして、お前と話すのも何年ぶりかなぁ? 3年? 5年? ……10年?」 「そ、それでやなげにょ。マイ・ダディげにょ。急にマニーが必要に……」 「…………っ!思い出したーっ!」 「ホワッツを思い出したんやげにょ。マイ・ダディげにょ。……ぷっぷ、ぷーぅっ」 「わしには、息子はおらん」 ガチャンっ。つーっ、つーっ、つーっ、つーっ、つーっ。 「……真面目に、働こうかなぁ?」
「名物のうどんをヒーローに?」 「はい、大田観光部長。それが観光再生コンサルタント会社『KCジャパン』の判断です」 「どういう意味だね、畑中さん?」 「現在町おこしとして、キャラクタビジネスの手法が使われる事が多いのは、ご存じですね?」 「あのせんとくんとか、ああいうのか?」 「はい。キャラクタはタイプによって三つに分類されます。一つは市長の言われた通りのせんとくんやひこにゃんに代表される、マスコット系」 「マスコット、か」 「このタイプのキャラクタは、『知る人ぞ知る』事が重視される為、恣意が見えればお終い。我が社では対応していません。広報誌の端に落書きでも載せて、機を待つのがせいぜいでしょう」 「それはそれでやっておくか」 「続いて、萌え系」 「秋葉原とか、メードとかのアレだな?」 「はい。性的な意味合いも含めた可愛らしい外見を持つ女性をイメージキャラクタとして設定するものですね。但し、この手のキャラクタは、外見が皆同じなので、売り込み対象の印象付けには不適当です」 「描き分ければ良いだろう? 絵なんだから」 「萌えを想定した絵の公約数的な着地点は『理想的な美しさ』です。そこに鼻が大きいとか歯が出ているとか、個性を付ければ美は崩れます」 「ふうむ……」 「無論、小道具や作者の絵柄で区別が付けようとしますが、所詮は誤差の範囲です。鷲宮神社のように、特定の人気作と結びつけばまだ差別化出来ますが、そこから仕込めるなら、コンテンツ業界で働いた方が良い」 「それでヒーローか?」 「見分けが付かないのは萌えと類似していますが、元ネタとなる特撮ヒーローが、ユーモラスな表現を許容している為、キャラクタを立てる事が可能です。また、着ぐるみを用いたイベントの盛り上げ方も、元ネタでセオリーが出来上がっています」 「なるほど」 「今回提案するのは、うどんスーツを着用した五人組の戦隊です」 「うどんスーツというのは?」 「はいっ、うどんのコシを科学的に応用して、筋力と耐久力を向上させる強化服という設定です」 「……畑中さん」 「武器のうどんウィップは、うどんのコシによってしなりと伸縮性を持ち、厚さ七メートルのコンクリートを粉砕出来るという」 「畑中さん?」 「更に、必殺かまあげアタックは、うどんのコシの――」 「畑中さん! 熱弁しているところを悪いが!」 「は?」 「ここは……伊勢だ」 「Oh! うどんにコシがナッシング!!」 「Yah! Ha!」
「お前も病院送りにしてやろうか!」 目の前の医師にそんな事を告げられた時、 患者はどう答えれば良いのだろうか。 誰か知っている人がいたら早急に私に伝えて欲しい。 「つーわけでよ、お前は陽性だ。めでたく入院。よかったねー」 「って全然よくないですよ! んな馬鹿な!」 毎日三食食べて、酒もタバコもやめ、適度な運動までするようになったというのに この結果では納得できるわけがない。 きっと検査方法がおかしかったのだ。 「ちゃんと三食食べて、酒とかタバコもやめて、苦手な運動までしてるのにって顔だな」 「怖っ! 他人の心読まないで下さいよ!」 「すまん、趣味だ」 あてずっぽうの方がましだ、心読むのが趣味ってどんなんだよ。 「まぁお前さんの場合は体質的な部分が大きい、言ってみれば生まれつきそうなりやすいってわけだ」 生まれつき……。 なんと絶望感の溢れる言葉だろう。 どうしようもないとか仕方がないとかそんな台詞を言われた気分になる。 思いのほか医者からの台詞が重たく周りの景色がぐにゃぐにゃに見えてくる。 「は、はは」 「と言う冗談は置いといてだ」 「は?」 「おめでとう、健康優良問題なし長い通院生活だったがこれにて終了だ」 「は?」 「だから入院も薬物投与も俺弄りも今日でおしまいだっつってんの」 「は?」 「それとも何か? 俺と会えなくなるのが寂しくって受け入れられないか?」 「あ”ぁ”!?」 イラッと来る言動にようやく思考が復活してきた。 「医者にガンたれるな、俺は意外と小心者なんだ」 「そりゃガンもたれますよ! 何ですか今の!」 あまりのことに感情が口からダバダバと出てくる。 ドッキリに合った人ってこんな気持ちなんだろうか。 「別れの言葉がオメデトウだけじゃ寂しいだろ?」 「虚偽申告される患者の気持ちにもなれ!」 もはや、敬語も消え去った、今まで診察のたびに散々弄られたことが思い出される。 そうだコイツはそういう奴だ。 今のは軽い犯罪なんじゃないだろうかとか思うともう止まらなくなりそうだった。 「ギャーギャー喚くな、ホレ」 「何さコレ」 ほうり渡されたのは手に治まるサイズの銀四角 「ジッポのライター、ちょっとはするんだぜ?」 「……医者の癖に」 そして私がタバコをやめたことも知っているくせに。 「何だ文句あるのか? 患者の癖に」 「ふん、二度と来るか」 「おう、二度とくんな」 『バタン』 閉めたドア越しに何故か笑いあう二人は、 二度と会うものかと誓い合うように思っていた。