第11回体感詩人バトル
 感想票〆切り7月末日

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 エントリ 作者 作品名 文字行数 得票なるか!? ★
 1 深神椥  からっぽ  5   
 2 雅  過去  30   
 3 花  刹那  0   
 4 テッパー  色を選ぶ毎日  0   
 5 ミリホ  bittersweet CANDY 〜ホロニガキャンディ〜  8   
 6 海瀬末期  見えたのは虹、消えたのは君。  23   
 7 真田由良  FREE  19   
 8 十六夜 苺  空色ときみ  28   
 9 サカタ タエコ  げんじつ  7   
 10  ゆず  無題  22 
 11 るうキス  キラリン  287   
 12 秀真武流  黄色い蒲公英の決意  21   
 13 独り言女  ラブ・イズ・ブラインド  157   
 14  言乃葉  琉球桜  19   
 15 サイム  息。生き、遺棄  616   
 16 小川成夫  雪のような あなた  24   
 17 閑流  il raggio del sole  20   
 18 長谷川貴也  ゴキブリと私  933   

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Entry1
からっぽ
深神椥



こういうの、心がからっぽになったっていうのかな

あなたは何も言わずに行ってしまった

もう永遠に会えないのと、会いたいのに会えないの、どっちがツライ?

最後にもう一度だけ会いたかった

もう一度だけ・・・



Entry2
過去



 揺れる想いに身を任せ
君を感じながら 守りながら

傍に居ると誓ってよ

嬉しい時も泣きたい時も
一生一緒だと 君の声が
聞こえた気がして

気付けば僕は全て失っていて
周りを見渡しても視界に入る光景に君はいない

残酷な涙が僕の頬を流れても
慰めてくれる君はいなかった

僕は何一つ掴めてなかった
きっと握り締めた手の隙間から
幸せ 全部逃げてった

幸せは掴むものじゃない
叶えるものだと言われても
もう遅い 今更幸せ叶わない

君の匂いが風に乗って
優しさ 笑顔 あの声までも
姿は見えないままだけど

揺れる想いに身を任せ
君を感じながら 守りながら
僕が傍に居た事 忘れないで




Entry3
刹那



ふれた指から、するりと私の指が滑り落ちる。
あなたは、私の指をあなたの指で繋ぎ止め様としない。
胸が張り裂けるほど、寂しさでいっぱいになった。
そばに居るあなたを、遠く感じた瞬間。

立ち止まり、あなたの背中を眺めた。
私の存在を忘れたあなたが、ひとり歩き去る。




Entry4
色を選ぶ毎日
テッパー



今日はアノヒトと会う。
僕はいつものように、自分がまとう色を一つ選ぶ。
アノヒトと会うのはこれで二度目だ。
だから今日はまだ控え目に、この色にしておこう。
こうして僕は、慎重に、まんべんなく、体中をその色で塗りたくる。


今日はセンセイと会う。
こないだあの色であまりうまく近づけなかったから、今日はその横のこっちの色にしてみる。
今日こそセンセイは気に入ってくれるだろうか。
念のため、もう一つ別の色をポケットの中に忍ばせておく。
うまくいくことを願いながら、体中をその色で塗りたくる。


今日はアノコと会う。
先週は三時間悩んだ末に、あの色を選んでまとってみたのだけれど、物の見事に失敗。
アノコは見向きもしてくれなかった。
今日は名誉挽回。
この色こそが、きっとアノコの好きな色なんだ。
ヤラシイ妄想をほのかに抱きながら、いつもより、そして先週よりも気合いを入れて、体中をその色で塗りたくる。                   


今日はアイツと会う。
アイツには特別気を使う必要もないし、いつものように、僕に馴染んだこの色にする。
アイツと会うときは、なんにも迷う必要がないから、いたってスムーズだ。ほんとは何も塗らなくていいくらいだと思うのだけれど、そもそも「何も塗らない僕」が僕にはわからない。
だから一応、僕が一番塗りやすい色を塗ることにする。
こうして僕は、いつもより少しだけ雑に、体中をその色で塗りたくる。



キャンバスに絵の具をのせていくように、いつからか僕は、自分の体をいろんな色でもって塗るようになった。
まだ幼い子が悪戯にアニメの「ぬりえ」を楽しむ姿。調度あれと似たような具合に。

こんな風に「ぬりえ」を始めたのはいつからだったろう。
ごく最近始めたような気もするし、恐ろしいほど遠い昔からやっていたような気もする。

とにもかくにも、僕が最初どんな色をしていたか、例えばそれが僕の冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターくらい無色透明であったとしても、あるいは僕が使うハミガキ粉くらい純白であったとしても、そんなことは、記憶力に自信のない僕が覚えているはずもない。
それに何度も何度も色を重ねてきたから、最初の色の名残なんてものも、これっぽっちも残っていやしない。    

でも結局、僕自身が最初どんな色をしていたかなんてことは、大して重要じゃない。
つまり僕にとって大事なことは、今どれだけ多種多様の色を持っているかってことであり、そしてそれらの色を状況に応じてどのように塗るかってことなんだと思う。

おそらく。




Entry5
bittersweet CANDY 〜ホロニガキャンディ〜
ミリホ



甘いだけじゃ物足りない
苦いだけならもう結構

甘くて苦くて刺激的
     
味わうごとに 深みを増して
なんだかとってもクセになる

味を占めたらヤメラレナイ

このキャンディは
恋の味




Entry6
見えたのは虹、消えたのは君。
海瀬末期



道のまんなかに踊り出る。
ネオン街に響き渡るブレーキ音。
目前に迫りくる死。
涙は枯れ果てた。
だから、泣くことなんてできない。
泣けない私は、もう、人間じゃない。
目前に迫りくるのは。
死。

どこかで、誰かと、いつか見た虹が……

あの人と出会った橋の上で。
あの橋で出会ったあの人と。
私たちが出会ったあの日に。
橋の上で二人、ぼんやりと。
何を話すでもなく。
何をするでもなく。
綺麗な弧を描いた、うすぼんやりとした七色を見ていた。
私は、そのとき、なんとなく、幸せだと思っ―――。

……見えた気がした。

アスファルトの上に肢体を投げ出す少女の死体。
広がる赤色は止まらない。
誰も青色になっても動かない。
そんなひとつの終わりを彩るのは。
夜の街の、七色のネオンサイン。




Entry7
FREE
真田由良



ある所に毎週楽しみにしていたアニメを逃したと泣き喚く子供がいた。

ある所にスーパーの特売を逃したと悔しがる主婦がいた。

ある所にテストの点が悪かったと落ちこむ学生がいた。

ある所に大きな夕陽を逃したと嘆く写真家がいた。

ある所にそんな人間を笑う男がいた。

「そんなもん生きてりゃ、何度でも・・」

何事にも囚われず

自由で

無一物な

そんな男




Entry8
:空色ときみ
十六夜 苺



好きな色は「空色」

その色に出会ったのは 1年前
それまで僕のセカイには色がなかった

そう あの日 
僕のセカイは
生き返った

あの日きみと見た
雲一つない 澄んだ空が
僕を優しく 包んだんだ

あの日以来 僕は毎日
空を見上げる
あの日の空は
もうそこにない

でも 僕のセカイは今でも
生きている
きみが僕の横にいてくれる
ただそれだけで
僕のセカイは
生き続ける

好きな色は「空色」
あの日きみと見た
あの空の色




Entry9
げんじつ
サカタ タエコ



ほんとうは好かれたかったんだ
ほんとうは。
でもだめだったね。

ほんとうはりそうがあったよ。
でも私はなれなかったね。
わたしは
とてもむりょくだったね。



Entry10
無題
ゆず



この坂を登りきると
大きな桜の木がある

あの桜の木から見下ろす
あの街の風景を

桜の木に彫った
僕たちの名前を

君は覚えているかい?

あれから何年もの月日を経て
僕はまたあの桜の木の下に
立ってみた。

あの桜の木から見下ろす街の風景も
桜の木に彫った僕らの名前も

あの日のまま何も変わずそこにあった

ただ変わってしまったのは
僕の隣に君がいないこと・・・

君は今、幸せかい?

僕はあの日のまま何にも変わらないよ

もし願いが叶うなら
ねぇ、君。

桜舞う木の下で
もう一度
君に あいたい。




Entry11
キラリン
るうキス



夏、水面からはねるキラリン。
あなたの首筋ではじけた。
はじけた小キラリンがあなたの肩にダイビング。
うまく溝を滑って、胸に抱かれるのだ。
あなたは笑って、光を集めた。
夏に、愛と呼ぶ、これこそが永遠。
ここに光が集まった。

永遠が笑って、面影になった時、私は泣かなかった。
なぜならあなたこそが、そこにいたから。
そうして、夏が夕暮れに溶けた。

あの時わたしは、キラリンでよかったと思う。
そこにいたのがあなたでよかったと思う。
ふたりで創りあげたものこそが、夕暮れに溶けたのだから。

あなたにはまた、ここに来て欲しい。
なぜならあなたはここで、笑ったから。
確かに笑ったから。
それを忘れないで欲しい。




Entry12
黄色い蒲公英の決意
秀真武流



信号待ちの交差点
青になって動き出す


人の中で
一人立ち止まる私。

すれ違う
まるで自分が希薄になって
見えていないかのような。

どうしようもない気持ちになって
下を向いて
ふと気づく
信号とアスファルトの間
ぽつんと咲いた黄色いタンポポ。

彼もまた、世界がきりとられたかのような
孤独の中、それでもスッと咲いている。

強いなと思う。
強くならなきゃと思った。

前を向き、
息を一つ吸って、
人ゴミの中、溶け込んでいく。




Entry13
ラブ・イズ・ブラインド
独り言女



まさに魔法
恋がこんなに楽しいなんて
あなた、
焼きそばが
鼻から飛び出していたって
私はぜんぜん気にしない

それが魔法
私と待ち合わせしていた駅のホーム
あなた、竹馬に乗ってやってきた
平気よ

ノー・プロブレム
あなたの変なとこ
やばいわ
楽しいのよ

この恋がいつまで続くか
あなた不安みたいだけど
らしくない、ぜんぜんらしくない

大きく構えて!




Entry14
琉球桜
言乃葉



あなたのその瞳で その指で
愛でられるたびに
つのる想いが
この身を ほのかに紅く染める

哀しみの風に舞うも
慶びの風に舞うも
舞い散り留まる先は
いつも あなたの あったかい胸の中

幾度となく移りゆく季節に
やがて枯れゆく候が訪れようと
いつか再び 花咲く日を夢に見て

わたしの想いは いつの日でも
あなたのそばに

永遠(とわ)に愛しい
あなたの御そばに・・・




Entry15
息。生き、遺棄
サイム



家の裏に小さな花畑があって
キンモクセイがたくさんはえていた。
ある早朝
僕がそこに目をやると
小さな、でもとても黒い影が
花を摘んでいた
誰だろうと思うと同時に
恐かったので
しばらく様子を見ていると
影は一心不乱に作業を続けているようだった。
あの花は勝手に生えてきたけれども
やはりうちの庭に生えているのであるから
摘まれてもらっては困る。
そう言う風に思ったことにして
僕は身近にある木刀を持って
外に出た。
土のにおい。
影に近づく。しかし彼は気がつかない。
木刀を振り上げる自分を想像して
身がガタガタと震えた。
キンモクセイくらいで僕は人を殴ることはできない。
そう考えて家に戻った。
布団に潜って考えた。
僕には何かが足りないし、でもそれはそとの光景とは
関係がない。
いつもいつも自分と他人との違いについて考えて
どこがどう違うのか指摘できずにいた。
とても申し訳なかった。
起きあがると目に留まったのはガスの元栓。
それをゆっくりと、わざと時間をかけて緩めると
「シュゥウ」
音が間断なく響き始めた。
本当の癒しの音とはこういう音なのかもしれない。
僕はまたベッドに横たわった。
まだ寒い時期なのに
毛布もかけずに寝ていた僕は
からだを温めるための他のすべを
いつも求めていたので
毛布とか、そういう安易な方法は拒否してきた。
ガスが充満してきて
いよいよ匂いに耐えられなくなってきた。
元栓を止めることもなく
私は家の外に出た。
もう明るい。
さっきの影はもう居なかった。
何故だかひどく寂しかった。




Entry16
雪のような あなた
小川成夫



あなたは 音も立てずに優しくおりてきて
木々に 潤いを
わたしに やすらぎを与えてくれたね

わたしだけの あなたであってほしいのに
あなたは 優しすぎるから・・・

わたしは あなたのようにはなれないのでしょうか?
あなたのように 誰にも彩られずに
いつも透き通った心でありたいよ
あなたのように 誰にでも優しく
溶け込んでゆける わたしでありたい

いつか わたしの前に
あなたのような 人が現れたら
わたしは 恋におちるのでしょうか?
 ううん・・
きっと 妬んでしまうよ 傷つけてしまうんだ
それでも あなたは優しいから
わたしを 許してくれるんだよね

そのとき わたしは言えるのかな
ごめんなさい・・って
ありがとう・・って




Entry17
il raggio del sole
閑流



手をつないで眠った。
安心できた。
いつまでもいつまでもその手は放さない
放せない 放せないんだよ
あなたと居てはじめて、わたしはあなたの中にわたしの居る景色をみつける。
 
やわらかい陽射しみたいな笑顔に
わたしはどれだけ救われたんだろうね。
薄いブランケットに包まれたみたいなあたたかさを
わたしは一体どこで手に入れられたかな。
 
君がいるということ。
君がいる景色のなかにわたしがいるということ。
君がいる景色のなかにわたしがいる景色をみつけるということ。
 
寂しかったんだよ。
独りで泣かなくてもいいよ  と頭を撫でてくれた
あなたの大きな手を放さない
放せない 放せないんだよ
あなたと居てはじめて、わたしはあなたの中にわたしの居る景色をみつける。




Entry18
ゴキブリと私
長谷川貴也



僕は、この世で一番大切なのは彼女であった。そして、この日彼女を守るため
壮絶な戦いが起きる事を、僕はまだ気づいていなかった…。
 その日は、7月の蒸し暑い夜だった。
彼女と僕は同居して、2年になり部屋も新築の家を選んだのでそれなりにきれいな生活をしていた。
僕は、彼女のお願いでコンビニに買い物に出かけ、ジュースと弁当の袋を両手に持ち部屋に戻った、
その時だった、玄関を開けると。不意に彼女の悲鳴が聞こえた、僕は心臓の鼓動が早くなるのが
わかった。
「アキどうした!!??」
彼女の声はかえってこなかった。
僕は、心配になりすぐに彼女のもとにダッシュした。
そして、そこには想像も絶する光景を目にした。
彼女はそこに立ち止まり目の前の敵に対して怯えていた、それは僕も同じであった。
敵もまた、僕達をじっと睨み付けていた。それから10分ぐらいしただろうか、彼女がようやく
重い口を開いた。
「お願い、ケイスケどうにかして」と彼女は涙目で僕にお願いをした。
僕は、彼女のためならたとえ嫌いな敵とでも戦う決心がつき、ようやく重い足を動かした。
まず、右手に敵専用のスプレーを持ち、左手には新聞紙を丸め!そして、最終兵器を横に置き、戦う準備を整えた。
しかし、いざ戦うとなるとどうも体が動かなかったが、彼女の涙目に僕の持っている勇気が沸いてきた。
おもいっきり新聞紙で攻撃した。すると敵はその攻撃にすぐ反応し!あっという間に棚の下に隠れてしまった。
僕は、すかさず、スプレーで棚の下に吹きかけた。すると敵も流石に苦しくなったのか。棚から出て、もがきながら
こっちに向かってきた。
この時僕は、最終兵器を手にしていた。そう、このチャンスこそがこの戦いの終戦であった。
僕は、心の中でゴーストバスターズのテーマソングを心の中で流し!
最終兵器を手に持ち!敵に向けてスイッチを押した!すると敵はいっきに、吸い取られて!その場から跡形もなく消えた…。
彼女の方を見ると、涙が消え、笑顔に変わっていた。
そして、この戦いで僕達の愛は一層深まり、抱き合って喜んだ。
っが、その時だった。
棚の下から、さっきのスプレーで他の敵にも火をつけてしまったらしく、大群で僕らに襲いかかってきた。
この日僕は朝まで敵の大群と戦い続けた事は言うまでもない。


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◆スタッフ/マニエリストQ・3104・厚篠孝介・三月・羽那沖権八・日向さち・蛮人S