QBOOKS体感バトル

第2回小説参加作品/エントリー1
一宮遼
文字数779


太陽人

毎日照りつける太陽をにらみつけると
子供の頃 祖父から聞いた話を思い出してしまう。
完全に作り話なのだか、変にリアルで忘れられないのだ。

「なんだ、お話? じいちゃんのお話聞きたいのか? そうか。それならとっておきのがあるぞ。
 吉章、あの太陽はなぜ光っているか知ってるか?
 そう、燃えているからだな。じゃあ何故燃えているのか分かるか?
 ははは。吉章にはまだ分からないだろうなぁ。じいちゃんもわかんなくてな、
 いろいろ調べたもんだ。
 じいちゃん、実はな、太陽に行ったことがあるんだ。本当だぞ?
 もう大昔の話だがの。
 
 戦争中だった。極秘にアメリカ軍が作ったというノアール1号に乗って
 地球をはなれた。当時 そんな技術は無かったが、本当はものすごく発達していたんだよ。
 その事実も記録も爆弾と一緒に消えてしまったがな。
 太陽へ向かうにつれて死んで行く者も多かった。そしてそのノアール1号は
 温度の低い黒点の陸地になっている所へたどり着いた。
 もちろん 外はあついなんてもんじゃない。真赤な世界だったよ。

 そこでじいちゃんは見たんだよ・・・うごめくものをな。
 間違いなく生物だった。そいつらは粉を撒いているんだ。粉を撒いた所から
 火が出て、それはもう花さかじいさんのようだった・・・。

 その粉というのはな、ほら、吉章そこにマッチがあるだろう、そのマッチの
 赤い所のもとの姿だったんだよ。
 太陽はな、太陽人がマッチの粉を撒いているから光っているのさ。
 そのおかげで人間は生きられる ということだよ。ははは。」

ワケの分からないことばかりだったが、なんとか理解できたその日から、
マッチの粉が欲しくて マッチ棒を本当に棒だけにした記憶もある。
祖父が死んで納骨のとき、おりがみの太陽も一緒に墓にいれてもらった。

今日も太陽はジリジリやきつける。
俺も来年、祖父が太陽へ行った歳になる。



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