第23回体感詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1緑色ame64
2としあや01185
3沈めたい罪。片隅に残っても。みのり130
4自分勝手な言い分。シルバー101
5ピアス朧冶こうじ180
6納屋楳図ジュン15
72004610M太97
8愛雨今井麻衣616
9リズム岩本炭酸18
10君という光真霧 葉月92
11道しるべ如月ワダイ182
12さくら千希369
13ゴム。たんぽぽ152
14例えばの話忠 美希生360
15爪の先にい132
16何かとうさぎ202
17勇敢なる時を待て紅粉チコ53
18「音」と「声」千早丸461
19バイブル1691
20パンkaco269
211+1=2mayu230
22望む空に憎い雲の形九つ166
23人生ゲームNANA223
24オセロ日生藍香81
25オレンジ夜窓 〜どこかから味がする〜メソポタ209
26焦燥感ジュリ187
27シークレットひばな181
28壊レソウナ心バナナ366
29今日長月絢390
30矛盾螺旋八白144
31blue&blue小鴨真帆164
 
 
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エントリ1  緑色     ame


水などやらないのだけれど

天井に届くほど

伸びる伸びる植物の

空を目指すかのようなその姿勢に

部屋の隅から視線を投げ掛け

静かに

嫉妬する私







エントリ2  とし     あや01


子供と外を散歩したときのことだ
おばぁに会って子供は
「あんたいくつねぇ」
ときかれたんだ
「2歳になれました」
子供はそう答えたんだ



『2歳になった』が普通だが
『2歳になれました』も悪くない
2歳になれたんだと
自分の年に誇りをもって生きているんだと
私は感動した



でもそのあとに
おじぃに会ったとき
年をを聞かれて
「5さいになりました」とさばいたときには
こいつは〜と思ったけれども・・・・・







エントリ3  沈めたい罪。片隅に残っても。     みのり


くりかえし呼んでみた名前。
今も残る綺麗な記憶。
溺れた私。
描かれた傷。
伏せて、見た影。大きくて。

いつから愛することを覚えた…?


この声でもう最後。
濃くなる記憶。
浮かぶ想い。
沈めたい罪。片隅に残っても。

いつから怖がることを覚えた…?

涙で濡れた目は
  もう冷たくて…。







エントリ4  自分勝手な言い分。     シルバー


「帰っておいで」の言葉は

どうしていつも

限りなく優しく

限りなくあたたかく響くのでしょう?


それは

痛く

痛くて

痛いほど

痛いぐらいに


「帰っておいで」っていう声が聞きたくて

僕はいつでも居なくなる


不純な動機ですがね.







エントリ5  ピアス     朧冶こうじ


それは嘘で
只空っぽの自分に
勝手に付けた
印に過ぎないと
自分自身で
知っていたんだ

それが嘘で
只真っ白な自分に
勝手に描いた
模様に過ぎないと
自分自身で
知っていたんだ

空洞と装飾と
その二つは
始めから自分の中に
備わっていた筈なのに
見失った自分は
不要な筈の
時と自分を費やした

それも嘘で
只退屈な自分に
勝手にあげた
逃げ道に過ぎないと
自分自身で
知っていたんだ

知って いたんだ







エントリ6  納屋     楳図ジュン


雨宿り
納屋のにおいをかいだ
夕。







エントリ7  2004610     M太


だんだん曇ってきて
雲は僕らを覆った

否、空を覆ったんだ

そんで、

彼女(ちっちゃい頃,ツバメの死体が可愛そうだからといって、土に埋めたり燃やしたりせず
ずっととっていたら、お母さんに怒られた娘)は舞散った







エントリ8  愛雨     今井麻衣


雨の続く今日この頃
あたしの心は雲の間から太陽の光射す調度いい天気
うっとおしい雨だって最近じゃあとてもキレイに見える
そう、それはあなたがいるから
あなたはあたしの心を晴らしてくれてるから

あなたを愛しいと思う瞬間は胸がぐっと熱くなる
横にはあなたの寝顔「こんなに近くに居るんだ」って自然と顔が緩んでしまう
そしてそっとキスをする、あなたを起こさぬように
この幸せがずっと続くようにと終わりが決してこないようにと祈りながら
外は雨がずっとやまなくて部屋の中には雨の音が響く
この音にあなたの寝息が混じり心地好くあたしは深く目を閉じる

そしてあたしはあなたに埋もれる
この幸せにあたしはあなたの温もりに包まれ、あたしは愛であなたを包む
この幸せがずっと続くように終わりが決してこないように

雨の続く今日この頃
あたしの心は雲の間から太陽の光射す調度いい天気
うっとおしい雨だって最近じゃあとてもキレイに見える

これからはあたしとあなたの朝、あたしの瞼が薄く開く時、
睫の隙間ぼやけた丸の中にあなたの寝顔が
その顔はあたしに愛しさを思わせるから
きっとあたしの口からは自然と好きって言葉がでちゃうんだ

あたしの想いはくもってなんかないよあたしの心にはいつもあなたからの愛雨
その水溜まりが今はおおきな湖になってまだまだ深くなる
雨の続く今日この頃
あたしの心は晴天の夜
うっとおしい雨だって最近じゃあとてもキレイに見える
そうそれはあなたがいるから
あたしにはあなたの愛雨しか浴びないから







エントリ9  リズム     岩本炭酸


あなたに 君に
真っ直ぐに届く リズム







エントリ10  君という光     真霧 葉月


ずっと孤独(ひとり)だと思ってた
だから とても悲しかった
だから とてもつらかった
でも 今は孤独(ひとり)じゃないよ
君という光を見つけたから
孤独(ひとり)なんかじゃないって分かったんだよ







エントリ11  道しるべ     如月ワダイ


 行こう
 あの場所へ

 何処にあるのかわからないけど
 捜し続けたいものがあるから

 何処へ繋がっているか
 考えたこともないこの道を
 ただただ
 自分の思うままに進み

 ぶつかっても

 転んでも

 落ちたとしても

 それでも足を止めずに進めば
 止まることさえしなければ
 この道は何処かへと続いている

 歩くのは私
 他の誰かではない

 だから……

 だからっ
 立ち止まるのはやめようと思う







エントリ12  さくら     千希




かつての君。
まだ幼い君。
春うららかな日に、2人して駆けた桜並木。
桜と同じ色のワンピースがふわふわ舞っていた。
君は、笑っていたね。
本当に楽しそうに。
小さな君。
そんなに細く小さな君なのに、
病床にあっても変わらぬ笑みを、浮かべていたね。
僕の持っていったお見舞いのカードを、
ずっとずっと枕の下に、後生大事に仕舞ってくれたね。
最後の時。
君は何を思ったのだろう。
言われるがままに顔を近付けた僕を見て薄く笑って、
弱々しい口付けをしたんだ。
その唇柔らかくて冷たくて薬臭くて。
僕は、泣き崩れた。

今はいない今はいない君。
冬の終わる度、春の来る度。
思い出す君。
君の名をした花は今、
儚く短く散ってゆき。
そして僕は、
その後に芽吹く新芽のように、
花散った後に生きるのだ。
さよなら、さよなら君。
桜は幾とせ巡りても、
変わらず咲いて散りゆきに、
僕も歩いてゆけるでしょう。







エントリ13  ゴム。     たんぽぽ



びよーん
伸ばして 伸ばして
切れちゃった

そこまでやったら ダメですよ

限界をね 見極めてね
ギリギリのとこで 放す

そしたら 何かが 起こるかも


びよーん
伸ばして 伸ばして
戻らない

伸ばしっぱなしは ダメですよ

何だってね ほどほどってね
境界線が あると思うのだけれど

一度戻って また伸ばす

それって 意外と いいかもよ







エントリ14  例えばの話     忠 美希生


例えば、己よりも優れている人を見て劣等感を感じても
僕は後に、誰とも比べようの無い自身を知るだろう

例えば、何とも無くむしゃくしゃする夜であっても
僕は以前に、愛しい者への限りないほほえみをこぼしていたのを思い起こすだろう

例えば、僕がこの身体に病魔を抱えているとしても
きっと、より生きる希望に輝きを見出すだろう


某ハンバーガー店で食用ネズミやミミズの肉がつかわれているのだと聞いても
僕は、その味の良さのために喜んでそれを喰うだろうし

大型台風が日本列島に接近中との報せを聞いても
僕は、その暴風雨の中はしゃいで遊ぶだろう

僕はけっしてポジティブとかいうものではない
けれども、明らかにその漸近線をたどる


例えば、数多くの国際的かつ環境的問題でこのままだと確実に地球が滅びると知った時
君は今、何をするのだろうか
僕達には、何が出来るのだろうか







エントリ15  爪の先     にい


ベンチに座って
乾いた目で線路を見つめる
君を見たよ
周りは携帯に夢中

ほの暗く鈍い光を放つ
その先に

飛び込めないのは



立ち上がって
黄色い線まで 向かう君

単なる怠惰か、それか、
真性のマゾだから
生きてるような

勢いよく
滑り込んできた電車の中に
吸い込まれた君


君は
そうして
どこへ行くの








エントリ16  何かと     うさぎ


愛が何かを知らないけれど
君に対するこの気持ちは愛ではない何かだ
お金で買って確かめてみたいけれど
何処にも売っていないのだから仕方が無い

僕は君を好きなのだが
けれどもこれは愛ではない
君は僕の愛を欲しがるが
これは愛ではないので与えられないのだ

何をも求めず与えられるものを愛と定義したら
僕が君を思う気持ちは愛ではないし
そして君が今ここからいなくなったとしても
僕は寂しくも無いのだ
勿論君が僕を想う気持ちも愛ではないよ







エントリ17  勇敢なる時を待て     紅粉チコ


苦悩の果てに疲れを感じ

更なる夢路を模索する時

おのれの弱さを引き連れて

旅へ出る露吸う衣を

お前の涙で繕う夜明け







エントリ18  「音」と「声」     千早丸


言葉は雑音
何を言っているのか分からない

映画
山場で主人公が叫ぶ真実
――ウソっぽい
お仕着せがましくて
ただ、暑い

ドラマ
濡れ場でヒロインが囁く愛
――バカっぽい
スカスカの薄っぺらで
ただ、虚しい

理解できない雑音

親の小言
会社の嫌味
TVのニュース
コントの爆笑

煩くて、軽すぎて、
言葉ではなく
「音」が、素通りしていく
なにも引っかからない
なにも響かない

どうして皆が
 笑ったり
 怒ったり
 泣いたり
するのか、わからない


   それなのに
   それなのに
   ねえ、どうしてだろう?

   どうして時々、聞こえる「声」があるのだろう?

      それは
       なんてことない歌だったり、
       くだらない雑談だったり、
       あなたの呼ぶ声だったり、
      するのに

      「声」が聞こえる
      意味が分かる
      身体を鷲掴みにされて、立てないほど振り回される
      「声」に体温があったり、
      「声」が光だったり、
      そんな訳ないのに、そう感じる


どうしてだろう
あなたの「声」は、どうして響くの?







エントリ19  バイブル     1


「おかあさん ごめんなさい」
「おとうさん ごめんなさい」
「ばあちゃん ごめんなさい」
「今朝ぼくの家の車庫で息をしていた子猫 帰ってきたら息絶えていた。今朝何も見つけてやれずに ごめんなさい」

「ごめんなさい」
「ごめんなさい」

ぼくは なまけもので 怠け者の 小説も読めない 音のない音楽の ナンカ だと思う。

漫画家やイラストレーターから色を奪いたい 鋭い線だけで 全てを ぼくを 描きたいよ

ぼくは 芸術家だ。

それは 心の病気だから 

心の障害者だから

「今朝ぼくの家の車庫で息をしていた子猫 帰ってきたら息絶えていた。今朝何も見つけてやれずに ごめんなさい」

ほんとは たくさんたくさん たくさん 泣きたいんだよ

ぼくは なまけもので 怠け者の 小説も読めない 音のない音楽の ナンカ だと思う。

こころの 響き線 が 振動してるよ 

物じゃないんだね また もどってきた巡り巡って 15才の日にもどってきた 物じゃないんだね

ぼくは 懺術者だ 出家者だ 猫とおんなじ

いろんないろんな 物なんていらないんだ たぶん

おかねなんていらないんだ

エンターテーメントからぼくは 色を奪うよ 鋭い細い線だけで ぼくはぼくの 全てを 描くよ

「今朝ぼくの家の車庫で息をしていた子猫 帰ってきたら息絶えていた。今朝何も見つけてやれずに ごめんなさい」

涙がながれ落ちるよ

いいんだよ ぼくは だれとも ちがう みにくい 自虐者だから

いいんだよ だれとも ちがう くらべないよ みにくくていいんだよ

ぼくは 死んでいく小猫とおんなじ

画用紙に 100円のボールペン1本で たくさんの愛を殺しても 響いている 確信を 描く ぜったい に







エントリ20  パン     kaco


 君はいつものいちごジャムを塗って、
 暖かいポタージュスープを二つ入れて、
 何も知らずに、笑いかけてた。

 僕はと言えば、これまたお決まりのピーナッツバターを乗せながら、
 カップの淵から立ち昇る柔らかい湯気を、
 たたじっと、眺めてた。

 彼女が僕に、同意を求める。
 僕が何か、言葉を返す。
 そんないつもの、朝の光景、、、
 
 、、、のはずだった。
 
 どこから話がこじれたんだろう?
 どうして君は気付いたんだろう?
 たった一度の、僕の過ち。
 
 空回りするばかりの、僕の自己弁護。
 
 瞬間。左頬に走る衝撃。
 脳内を突き抜ける破裂音。
 、、、パン!!







エントリ21  1+1=2     mayu


あなたにはあなたの明日がある。
あたしにはあたしの明日がある。
どんなに解りあえてもひとつにはなれない
海と空は繋がってるようでずっと先まで 別々のまま
海が荒れてるとき 空は晴れてたり
空がくもりのとき 海は穏やかだったり
同じ青でもやっぱりちがう
あなたとあたしもやっぱりちがう
そんな当たり前のコト悲しいと思うあたしがおかしいのかな?
あたしがこのやりきれない気持ち持て余してる 今
あなたはきっと笑ってる。。
そんな当たり前のコト悲しいと思うあたしが
やっぱりおかしいのかな?







エントリ22  望む空に憎い雲の形     九つ



望まない
何も望まない
こんな世界になんて
そんな大層なものなんてないんだから

憎まない
何も憎まない
こんなお前にだって
そんな親を愛する心があるんだから


面白い形の雲を見つけたら止まり
流れて消えていったらまた歩こう

望めるものが無いから
ただ歩いて行けるんだ
憎まない心を持っていけば
同じ雲にだって会えるはず


ほらね

また君に似た雲の形
望む空に憎い雲の形








エントリ23  人生ゲーム     NANA


神様 私たちはあなたのゲームの中?
乗り越えられる人には試練を与える 
よくそう言うけれど
きっと神様は私たちに何も与えない 
試練も不幸も幸福さえも
ただ空よりずっと高いところで見てるだけ

だからきっと私たちは 
自分でルーレットを回している
自分で進む道を決めている 
振り出しに戻ることもあるけれど
私たちは不幸よりも沢山の幸せを
ゴールまで毎日少しずつ拾っていくんだ

だから 泣いているあなたにも今日
小さな幸せが訪れますように
そして あなたが笑顔になりますように








エントリ24  オセロ     日生藍香




オセロ

白黒白黒白黒白黒
オセロ

白は黒を白にして
黒は白を黒にする
自分の色だけ残れば良い
だから相手を染めて染めて染めて

白黒混ぜて灰色にしようだなんて
誰も考えなかった







エントリ25  オレンジ夜窓 〜どこかから味がする〜     メソポタ


 オレンジの油
  つまめば
   握れば
  月の皮
なんもすることがないときた
  見上げてごらん
   窓に手をかけてさ
  無音の夜空
 オレンジの皮
  ぽつぽつの穴
   光沢(ひか)ってる
  見上げてごらん
今日の夜空はどこかちがう
  ほら、もうそれしか見えない
       それしかみえない
       それしかみえないのだから
      今日は寝よう
       おやすみ
       グッドないと
      グッドなないと







エントリ26  焦燥感     ジュリ


ビールでも買いに行こうと
パジャマとサンダルで近くのコンビニへ出かけた

ふと目に付いた雑誌をパラパラとめくる
そこには見覚えのある顔があった
いろんな服を着て いろんなポーズをして いろんな表情を見せて

キャンパスで見るいつもの彼女とは
   まるで別人だった
夢に向かってキラキラしている  
   そんな顔だった

「私は何がしたいんだろう。」

下唇をかみしめながら ビニール袋を片手に
早足で家へ向かった








エントリ27  シークレット     ひばな


月がなにかを隠してる

空が花火をあげる

木々たちの静かなネオンサイン

明日にかける橋を たたいても渡らない

僕を笑った


葉のそよぐ音に聴き耳をたてるサラリーマン

風がこころの中でうずまき

犬の視線とからみあって

なにもかも嫌になる


下向きの矢印がついた身体

決めつける女(ひと)


僕の心はまだ

あの頃と何も変わっていやしない

誰にわかってもらわなくてもいいんだ

これは僕だけの秘密なんだから







エントリ28  壊レソウナ心     バナナ


 私、
 嫌いな人に、
 嫌いって言えないんです。
 好きな人に、
 好きだと伝える以上に難しい。

 なんか、
 マイナスの感情は、
 マイナスなモノしか呼ばないような気がして……。
 でもそれは、
 ただ自分を誤魔化してるだけかもとか、
 本当は心の何処かで、
 一緒にいたいと願っているのかもとか、
 考えちゃう。

 でも一緒にいると苦しい。
 いつもいつも、
 電話取らなきゃ良かった。
 会わなきゃ良かった。
 って、後悔の嵐。

 どうしたら言える?
 たった三文字の言葉。

 言えば簡単に離れられる関係だってことも、
 わかってる。

 でも言えない。

 一度でも好きだったから?
 本当は心残りがあるから?
 自分が傷つきたくないから?

 こんなに苦しいのに。
 こんなに辛いのに。
 普通に対応してしまう自分がいて……。

 誰カ答エヲ教エテ下サイ。
 モウ、コンナ自分ガ嫌デ……。







エントリ29  今日     長月絢




  台風だってねぇ。今日は学
  校休みだね。私の家の辺り
  やっと雨が降り出したよ。
  先刻までは風だけだったの
  になー


 雨空に向かって送信する 電子手紙

 きっと直に返事が来る

 除湿機をかけてる部屋は気持ち良い


  だらだらだらだら ガタガタガタガタ

  だらだらだらだヴヴヴヴヴヴヴ


 返事が来たって小さな体で知らせてくれる

 でも今日みたいな日にこの音は似合わない


  そうなの?私の所は凄いよ
  朝っぱらから雨がー・・・
  でも、台風見ると血が騒ぐ
  よ!外に出て走り出したい


 電子手紙のやり取りで今日も貴女が元気だと確認する

 返事を打とうと小さな画面に向かい合う

 だけど、もう面倒くさい


  だらだらだらだら バラバラバラバラ

  だらだらだらだら バラバラバラバラ


 返事は昼頃返そうかな


  だらだらだらだら バラバラバラバラ


 今日は休みだ


 まだ朝だ


 返事はまた返そう


 今日はだらける







エントリ30  矛盾螺旋     八白


積み重ねる。
罪なれば罪。
原罪は然る。
止まない雨。
雲の切れ端。
陽光を遮り。
塔のように。
二重構造の。
天を貫かん。
空へ届くか。
空を貫くか。
魔弾の射手。
絡み合いに。
暖簾分けに。
原罪は然る。
願わくば雨。
雲を突き破らんとする螺旋は矛盾に満ちていると明言してやろう。

既に貫いて。
済んだ事と。
嗚呼。
嗚呼。






エントリ31  blue&blue     小鴨真帆


魚は青い空に憧れた
鳥は青い海に憧れた

泳ぎ疲れた魚は
空で羽ばたくことを夢見た
風を切って飛び回る
自由を知りたくて

飛び疲れた鳥は
海で泳ぐことを夢見た
波に身をゆだねて漂う
自由を知りたくて

交錯した瞳
互いに求めてやまなくて

陸に向かう魚
羽をたたむ鳥

魚は青い空へ昇った
鳥は青い海に沈んだ


魚は青い空に憧れた
鳥は青い海に憧れた


一瞬だけでも夢を叶えた










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