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Entry1
放課後の音楽室
芝姫小雪
いつものように 外を眺めて
窓からそっと 差し込む光
台本どおり 私の台詞
笑顔までもが 偽りだった
ある日突然 出会ったあなた
私の演技 見抜いてくれた
取り戻してく 本当の笑顔
台本なしの 私の言葉
あなたがいると 元気になれる
あなたのことを 愛しているわ!
私の気持ち 伝えたいから
あなたのためにピアノを弾くわ
会えない日々が、曖昧だった
私の気持ち 気づかせていた
今日は私が いつもの場所で
ピアノは弾かず あなたを待つわ
人形だった 私のことを
選んでくれた 笑顔をくれた
今、やわらかな 光の中で
私の気持ち 伝えてみせる
台本なしの言葉を聞いて
Entry2
うらはら
lin
声 瞳 指先 髪
私のすべてからスキを渡す。
そして今日もまたあなたは
その首を横に振る。
その首が縦に動いたら
私はあなたを包み。。
あなたはそう見せかけ
私を強く引き寄せていて下さい。
私はあなたの盾になる
私の頭が砕け落ち
手足がもげ
内なるものをえぐられても
決して私を守ろうとしないで
その瞬間の距離で私は闇に落ちる。
お願いよ
この先もその首を縦には振らないで
私はあなたをうらぎる
Entry3
ステレオタイプ
如月
当たり前じゃなかったことを
当たり前だと思ったりして
物事の形を変えるのは良くない。
ヒト然り。物然り。
じゃないと、ほら、
いつの間にやら落とし穴。
Entry4
作業
フラワー・ヘッド
サッと動いた影を追い
嫉妬していた2月の日
すっと溶けゆく淡い雪
セット気にして手に鏡
そっと振り向く消えた恋
Entry5
ありがとう 全てへ
海
さよならなんて言葉 なければいい
日の沈む夕暮れ
二度と座ることのない イス
あまりに短い 3年という日々
明日には “あの頃”へと変わってしまう
“あの日”見たものが 永遠だったら良かったのに
“あの日”感じたものが 最後だったら良かったのに
“あの日”繋いだ手が 唯一だったら良かったのに
全てが懐かしくて 愛しくて
ここに詰まった“思い出”になってしまった数々の出来事が
さよならを告げてくるから
怖くて 逃げ続けた
でも もうそれも終わる
二度と袖を通すことのない制服
明日には もうなくなる
“今日”とか“明日”とか言われていた日々が
“あの頃”へと変わっていく中で
私は「卒業」した
「卒業」はあまりに重くて あまりに夢みたいで
声も涙も 出なかったけど
さよならの意味だけは なんとなく分かった
“これまで”の日々が 幸せすぎて
“これまで”の思い出が 優しすぎて
“これまで”の想いが 重すぎて
“これから”の私を 苦しめるけど
笑おう 最後だから
笑おう さよならの時だから
ありがとう 全てへ
Entry6
ひだまり
河邉
出会ったその日、何気ない日々のただの一日
気持ちは進路、友達、部活でいっぱいだった
...だけど....感じちゃったんだ、自分の中の優しい想いに
なんで今なんだろうって不思議でたまらなかったよ...でも
何も気付かずに終わるなんて嫌だったから
最初は小さかった想いも今では春の陽気に耳を傾ける
雲ひとつない青空にそっと君を浮かべてみるんだ
大きな大きな空のように君はいつも見ていてくれた
深い深い海のように君は優しく包んでくれた
そんな暖かい君の心にいつも助けられたね
ありがとう...今は感謝の気持ちでいっぱいだよ
支えてくれて、励ましてくれて、勇気づけてくれて
ありがとう...君と出会えた事一生の宝物だね
偶然かもしれないけど素敵な贈り物だよ
小さかった想いは暖かいひだまりの中で育っていく
春に満面の笑みでかわいい花を咲かせるために
Entry7
忘れさられた旅人として
遠木道也
またひとつ 冬が過ぎて行った
つめたい風のなかに 弔いの鐘を
鳴りひびかせながら
さまざまな愚かしい夢とともに
それでもなお これから咲こうとする
草花を 傷つけないように眺めつつ
だれからも忘れさられた旅人として
私は ちいさな村を通り過ぎて行った
穀物の収穫や祭りとは 関わりもなく
それにしても不思議な人生だ
旅 と想うだけで 憂いが消えるとは
だれからも忘れさられた旅人として
きょう一日を しのげばいい
このまま温かな春を過ごせるなら……
Entry8
大切な人
momo
一番大切な人に
その大切な気持ちを言葉で表現することは
難しい
好き
と言うのは簡単だけど
その大切な気持ちが
軽くなってしまう
愛してる
と言うのは簡単だけど
その大切な気持ちが
小さくなってしまう
だから
感じとってください
その大切な気持ちが
軽くならないように
小さくならないように
感じとってください
Entry9
O
akiko
私は頂からみてる
足下に広がるビルの街
真ん中に浮かぶ緑のオアシス
(きっとあれは神様の住む場所)
吹き上がる風は
人のにおい
飛ばされる髪
赤い口紅が
ほほに切り傷をつくる
叫び声
叫んでる
無意識の私が
呼んでいるのは
約束されていたもの
約束されていたはずの
魂
Entry10
正反対
福トラ
笑ってよ
泣かないで
喜んで欲しいのに
怒り出す
まるで正反対だね
僕の好きな物は嫌いだと言う
でも
僕のお気に入りのCDは
君の部屋で流れてる
僕のお気に入りのTシャツを
君が着ている
僕の事を嫌いだと言うけど
今日も僕の部屋に来てる
僕はとても楽しいよ
君は今日もつまらないと言う
Entry11
窓の外は青空に春の風
埴輪遥二
先週、君と別れ
おとといあなたが殺された
昨日はおまえが街を去り
今日はあいつが冷たいアスファルトの道路で夜を明かす
暗いニュースばかり
暗いニュースばかりだ
この街は
明日、僕は君に手紙を送り
あさって、あなたの葬式をする
次の日はおまえを追うことを諦め
そしてまた次の日はあいつに毛布を持っていってやろう
もう冬は終わったはずなのに街はまだ寒い
来週も僕はここにいるだろう
でもそれは今週までと同じ場所ではなく
君はいなくて
おまえもいなくて
あなたもいなくて
あいつと遊ぶことも、もうないだろう
二度と繰り返されぬ昨日のために
これから来たる明日のために
今、僕は窓を開けて
外を眺める
空は青く、
冷たい風は春の匂いがする。
Entry12
切り立つ空
美砂
いくつもの季節が過ぎて
いきいそぐ人の足こんな雨の日に
言いたいけれどここに居る
より添う二人は誰もが旅人
声を聞かせて前よりももっと
離れられないぐらいぬくもりを
聞かせて愛をどうしていますか
その手で暖めてほしかった
よく似てる環境を笑いましょう
真実なんて 所詮最後の手段でも
弱さを見せていいですか?
こんなにもろくかけがえない宝物
そんなあなたを傷つけ取りとめのない
この世界に染められていく私
あのころ曇り始めた世界が
今は少しずつ光を取り戻す
かじかんでた手はもう羽ばたけるだろう
いくつもの街並みを君とさらったら
どんな小さなことたちも
伝えられたはずだった
いつのころからだろうすれ違い
二人の時間鈍く響き傷け合い
この心に生じたガラクタを
一つずつちゃんとぶつければよかったの?
傾いた心を支えてくれた
大好きもおやすみももう何もいらなかった日
あの日初めて言葉交わさなければ
こんな日の痛みはなかったの?
貸借をかぞえるような時間のなかで
出会ったばかりのころ思い出す
君が駆けつけた午前二時
あなたの笑顔以外何もいらなかった日
さよならでまた歩き出すよ
新しく今日も日は昇るから
明日の朝日を君もどこかで
同じ気持ちで見つめててくれたなら
二人がこれから行く別々の道に
どこかでまた巡り合えるなら
その時は笑って会えるといいね
もう意気地のない言葉はやめにして
今度は大好きだったと伝えよう
さよなら さよなら
歩き出した僕らはもっと強く
さよなら さよなら
今は自分自身と必死で戦うよ
Entry13
dReAm
Oka-Taka
5人くらいで 1人分。
わたしは5分の1くらい。
トリップ?逃げる?先延ばし?
1人であさ迎えてる。いま。
ゆめ?ってないか・
楽にいきたい。
5分の1じゃ1人でもないよ
力でない・トリップできる?
5分の1じゃ1人も愛せない。
スタート切らなくていいよね・
頑張ることは嫌い。
誰かか何かが来てわたしを引き寄せてくれるまで・
女なの・だから惹くから
だけど誰も来そうにない
わたし今あいせるものは1人じゃない
小数点。
分数。
人間割って!
5分の1の人居ない?
1人分濃過ぎる・
世界がわたしからずれていったから・
物しかあいしてない。
このままいくよ・・・
Entry14
無題
なかむらきみのすけ
一日を全く無駄にしない方法を考えよう。
悲しいことからはできるだけ遠ざかろう。
拉致された人々。
拉致された人々の家族は、
真実を知ろうとする。
それは残酷に、
目の前に出されるだろう。
家族の真実。
愛という名の作り物。
誰もかれも、
知らない振りをしている世の中。
今更気づいたところで、
もうすでにここには無いものも、
沢山あるのだ。
勇気ある人たちの、
勇気ある行動。
僕にその勇気があるのだろうか。
僕はすでに、
数え切れない日々を無駄にしている。
細い綱をわたる僕。
それでいいのだ。
多くを求めていない。
立派でもない。
小さい子供の頃は考えもしないこと。
有意義な一日。
それは、
何か大きなものを無駄にしなければ、
気がつかなかった賜物。
真実に近づいているのなら大丈夫だろう。
ここまで待った甲斐がある。
今までの悲しみも、
今日のためにある。
Entry15
それでも
薫
おめでた過ぎて
反吐が出そう
愛されてると思ってた。
期待してないフリをして
何処かで不適に思ってた。
百分の九十九の細胞が
「否」と告げても
残りの一つが吠えていた。
「彼女じゃなくて私を取る」
と。
おめでた過ぎて
反吐が出そう
焼いて捨て去れ、甘い夢。
それでも、好きだよ
好きだよ、それでも。
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