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This will be good for you. ―これは君のため―

Once upon a time...

そうやって始まる昔話の終わりには、「人の為」に何かをしなさいと

This will be good for you.

これはあなたのためなのよ。そういっていて「おこがましい」気分にとらわれないのだろうか?

ある日、そんな話に飽きてしまって、空を眺めていたら、一枚の新聞紙が転がってきて「偽装事件」とか書いてあり、「偽物」「偽物はどっちだ!」とか特集が組まれているのを目にした。あぁ、この世自体が「人の為」で埋め尽くされる。

偽物は、人の為に生み出されているのに、どうして今まで気がつかなかったんだろう。

真実は、人の世界にありはしない。そう、気がつかされて……でも、自分自身は「人」で自分の為に動いても、やはり偽の何かが生み出されるのだろう。

偉くもない、才能もない、根気もない、ないない尽くしの毎日で、夫婦の為に、子供の為に、自分の為にやる気もなくして、摩天楼を眺めてみる。

車がクリップのように小さくて、人は点のように小さくて、どうしてこんな世界に生まれてきたのだろうか?



昔々、ある池につがいで生き残っていた恐竜がいました。

それはもう、気が遠くなるほどの遠い時間をともにすごしました。

小さな虫を食べてた哺乳類がいろんな形に変わっていって、周りの植物たちも変わっていきました。

きっと僕らの時代は終わったのだと思いながら、僕らの子孫は小さく、小さくなりました。

やがて哺乳類も寒さに負けて一緒に小さくなりました。ただ唯一、妙な生き物を除いて。

地球の未来は知りません。

もうすぐ僕らも死ぬでしょう。

そしたら何もなくなるでしょう。

そうして初めて真実の「地球」という名の星になるのでしょう。



そんな寓話を読みながら、僕は願ってしまうのです。

This will be good for you.

そして、きっと薦められたら僕はそれに甘んじてしまうのです。

僕は何者でもない。偉くもない、才能もない、根気もない。

無いものねだりはしない代わりに無いもの尽くしにうもれています。

それでもいいかと思うのです。

だって、この世界自体が偽物なのだから。

だから、もうすこし滅びるまでは、偽物の何かを作りましょう。

This will be good for you.

そういって、君に何かを届けましょう。

そうして、あしもとに転がったこの新聞紙をバイブルに

僕は今日もバカにされようじゃないですか。

絶望、失望、切望、希望。

そんなことを繰り返して、きっと人の為といって、

全てを破壊して滅んでいくのなら、

僕には本望。


○作者付記:
This will be good for you!
Thanks for your reading!



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