□ 第1回バトルお題 「三月」
行数制限:三行以内(一行40文字以内)。 投稿期間:2000年9/14〜30(24:00) 作品発表:10/1 まで随時 投票期間:10/1〜7(24:00) 結果発表:10/9(1:00)
□ バトル参加作品
entry 1
百円でつながる愛 ゆーこ作
「金なくてのどあめしか買えなかった、ごめん」
食べるのにも困ってるくせに
ハーブがハートに広がるよ
entry 2
ミッキーマウス 空人作
みんな大好き でもニコニコしてるだけ かみつきゃしない
つまり野性を わすれた人間さんがつくった 張りぼてだね
きっと「ひみつきち症候群」 幼児に しがみつきーまあす
entry 3
死の祝祭 有馬次郎作
別離(わかれ)の歌を風に聴け 涙をぬぐう前に
出発(かどで)の歌を樹葉と奏でよ 涙の枯れしあとに
汝 メビウスの環はほどけない 永遠の季節(三月)に果てるまで
entry 4
タンポポ 大覚アキラ作
盗んだ自転車で
きみに会いにいこう
道端のタンポポを摘んで
entry 5
365 3104作
31
28
31
entry 6
さよならあなた 太郎丸作
今日 病院へ行って来たの
心配いらないわ 病気じゃないから
こんにちわ パパ
entry 7
春のような冬 冬のような春 rin作
桃色と灰色は意外と相性がいいって事、
きっと
三月半ば過ぎのこの辺りからきてると思う。
entry 8
(作者の要望により掲載終了しました)
entry 9
残像 那智作
一階の廊下 職員室前 膝抱え俯く 君
空気が痛い ねえ、寒いでしょ ゆっくり顔上げた 君
息が止まる 白い頬長い睫 黒く煌めく眼の 君
entry 10
早春譜 ぶるぶる☆どっぐちゃん作
うたかたに 目覚める春の その下に 月にぞ吠ゆる 負け犬三匹
春は目覚めたけれど、それは桃色に輝くばかりで犬達に歌を返せるものは誰もいない。
だけれどそれで良いと思う。犬達は春になんて騙されずにいつまでも吠え続けるべきだ。
entry 11
雪の下の 羽田恭作
雪の封印がとけ
出てくる
ヤツらなり
entry 12
葉月みか作
君を待つ 刻も華やぐ 桜月
entry 13
風 三式作
春風が 訪れるころに、
北風は 去っていく。
笑い声に ふり返りながらも。
番外編 番外参加作品 entry 1
推敲 太郎丸作
ヤけになっても、評価は上がらず
ヨなべをしても、良くならず
イくら考えても、寝たのに同じ
番外参加作品 entry 2
小学校の時の校長が冬休み明けの朝礼でだらだらするなという意味を込めて必ず引用していた言葉 50心作
一月は行ってしまう
二月は逃げてしまう
三月は去ってしまう
□ 結果発表 ●チャンピオン決定
第1回テーマ付き詩人バトルチャンピオンは――――
葉月みかさん作品に決定です。
葉月みかさんおめでとうございます!
初の挑戦の「テーマ付き」というバトルでしたが、票も集まり大成功でした!
なお葉月みかさんには次回「お題」とその他制限を考えていただきます。
バトルはテーマ決定以降の開始とお考えください。
作品名 作者名 票 葉月みか 4 タンポポ 大覚アキラ 2 春のような冬 冬のような春 rin 2 残像 那智 2 風 三式 2 早春譜 ぶるぶる☆どっぐちゃん 1
感想票
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推薦:残像 那智作
感想:”空気”がすごくリアルに表現されていて、それに感動しました。
お題の「三月」にどれがふさわしいとか、そう言った点では 非常に選びにくくて(どれもいい!)、自分の好きな感じを 優先して選びました。
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推薦:葉月みか作
感想:
せっかく与えられたテーマなので、私なりに三月というものをイメージし読ませた頂いた。そのため作品によっては、失礼を承知で冷酷なコメントをつけさせていただいた。それは少しでも上質な作品を読みたいという思いがあるため、このような内容になってしまったことを、少なからずご理解いただければ有難い。
1,「三月」というテーマで、なぜこうなるのかわからん。せっかくあるテーマそれを表現しなくては意味が無い。
2,おもしろいのだが、内容が伝わってこない。こういうのは一箇所盛り込んであとは詩の内容で勝負していただきたい。
3,へ〜えと思ったのだが、「永遠の季節(三月)」。恥を承知で訊きます。三月って永遠の季節なのだろうか。( )をつけているところを見ると……。
4,三月に自転車を盗んだのだろうか? ちなみにタンポポは、春とは限らない。西洋タンポポなら、なおさらです。春から秋にかけて咲いている。それだけ繁殖力が強い。関東タンポポなどはもちろん春から初夏にかけてなのだが、数が減っているため、現代ではもう一般的ではない。今の季節でも、お弁当持って公園や野原へ出かければ西洋タンポポの花は見ることが出来る。そのため私にはタンポポから三月をイメージすることはできなかった。
とは言っても書店に並んでいる図鑑でも、この辺をいいかげんに記しているものはまだまだ存在している。もちろん多くはしっかりと秋口まで花を咲かせる旨を記している。しかし季語を考えると一般的にはタンポポ=春なのだろう。が、三月というイメージではない。5,この人は詩について根本的にカン違いしている。数字のタイトルで数字の名前、数字の詩。パッと見、おっと思うが冷静に読むと決して三月ではない。さらに本文が数字であるため、読み手のイメージを広げることを困難にしている。意味不明でありテーマ付き詩人バトルとしても、一般的な詩としても問題外である。また三月を詩として表現しているとはとても言いがたい。
6,8,これもなぜ三月なのか意味不明。順序が変わってしまうが8番に同様のネタで参加されている詩があるのでまとめて。恐らく両者とも、担当の三月さんを意識されたのであろう。または作者自身が誕生月。いずれにしろ、あまりにもどの月でも容易に書き換え(つかいまわし)ができそうな内容であるため、そう考えるとあまりにも詩として面白くない。仮に三月さんが三月生まれとして考えると(実際、三月さんが三月生まれなのかどうかは興味が無い)よく考えれば、誰かしら書きそうなネタである。テーマがなくたまたま同じネタになるのとは意味が違う。テーマがあって、ネタがかぶるということは、想像力が要求されるだけに、誠に残念である。
7,この作品を拝見することができて正直安心した。
8,6に追記
9,10,テーマは冬でもなく春でもない。「三月」である。三月だけが持つ世界を詩にしてください。
11,再び安心した。
12,「刻も華やぐ」、QBOOKSに参加している人でここを意識して読まれた人は何人ぐらいいるのだろうか。意外に知らないと思う。また終わりが「桜」ではなく「桜月」ときた。この作品を読むと、やはりタンポポは季節は春であっても三月ではないということを感じさせられる。第1回テーマ付詩人バトルはこの作品に投票しようかと思ったのだが、無題である。難しいことになった。俳句とするなら分かるが詩のバトルである。でも五・七・五である。タイトルに意味のないこともわかる。でも、詩のバトルである。だからといって、この詩に「桜月」というタイトルがあっても意味がない。「三月」というテーマがあるのだから、これでいい。これに投票します。
以上です。
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推薦:風 三式作
感想:
いい雰囲気です。春の訪れをさわやかに感じさせますよね。
風を擬人させた手法もありきたりですが、いやみがなく、すっきりとした感じ。三行という短さも、さっと吹き去る北風のすばやさをうまく表現していると思います。
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推薦:残像 那智作
感想:詩は自由なのです。どの作品も自由でいきいきしています。
しかし、『残像』は沁みました。泣きたくなるくらいに。
短くても良いのがたくさんありましたが、やはりこれです。
なにかが香るくらいの余韻があります。イカスミの。
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推薦:タンポポ 大覚アキラ作
感想:汚らしい若者の(失言 笑)きらりと光る純粋さみたいなのを感じました。
それがまた浅い春を思わせて……いいですね。
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推薦:早春譜 ぶるぶる☆どっぐちゃん作
感想:
今回の全作品(自作も含めて)にいえることだけれど、アイディア(というかイメージ)が昇華しきっていない印象を受けました。
そんな中で、ぶるぶる☆どっぐちゃんさんの作品はたった3行ではあるけれど、構成がおもしろい。
「うたかた」って泡のことだよね?
そこがちょいとばかり謎ですが、でも雰囲気はわかる。
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推薦:タンポポ 大覚アキラ作
感想:テーマ付きの詩というのは500字挿し話みたいで面白い。
どうせ言葉のお遊びだけれども今回の三行という短さが、作家の表現力を高めているようでもあり、普段の詩人バトルにはない、面白さが出ている。そして作品の出来不出来が他の作家と競合することで、より明確になってしまう。だからこそ面白い。そしてテーマの三月は季節的にはまだ春になってはいないが、もうそこまで来ているという感じがしますから、そういった雰囲気の作品も多く楽しめました。もちろん季節に関係なく三ヶ月というのもあったし言葉を織込んだものもありましたが、私が心に残った作品は、以下の三作品です。
「タンポポ」大覚アキラさん。
自転車盗むなんてイケナイ事ではあるけれど、颯爽としたさわやかな感じが出ていて良かった。しかしタンポポは出てくるが、それがタンポポでなくても良いと思えるのが残念。
「残像」那智さん。
恋の歌であるのに、季節感が一番出ている作品のような気がしました。と言う意味ではテーマに一番近い? ただ音読したときにスラスラっと読み進めないのが、悔しい。
「無題」葉月みかさん。
彼(彼女)を待つひとときが弾むような待ちわびている感じが出ていていいです。そしてそんな可愛い感じがなんだか嬉しくなってしまいます。けれども三月というよりは春という感じがしてしまうのが少し残念かな。
で、どれが一番気にいったかというと、勿論自分の作品ですが(笑)まだ寒い季節であるのに、自転車に乗って彼女に会いに行くという爽やかさにします。
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推薦:春のような冬 冬のような春 rin作
感想:rinさんの「春のような冬 冬のような春」が気に入りました。
今回は、頭をひねるとかかみしめるとかではなく、すんなり心にきたものにしてみました。
前にもここでひととおり読んでみたのですが、そのときもこれに心をひかれました。
冬と春の合間をそういう風に見ることができたら、一年中素敵な方向に考えることができるのかな、と思いました。
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推薦:葉月みか作
感想:短いですが良い詩だと思います。言葉の選び方が美しいですね。
刻も華やぐ」この一節が好きです。
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推薦:葉月みか作
感想:葉月みか様のを推します。俳句だからだろうか、題名が無いのもキュートです。
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推薦:風 三式作
感想:三行詩、楽しませていただきました。こういう試みもいいですね。
それにしても、皆さん申し合わせたように三行でしたねー。
三月に三行(笑)。三行以内なのに。次回ははたしてどうなるんでしょう。
で、三式さんの『風』ですが。
三行詩っていうと、まあ、三行目にオチを持ってくるという形を踏むものが多いですよね。
今回の作品群の中でも、そういったものが多かったように思います。
その中で、一番最終行にはっとさせられたのが、この作品でした。
読み終わった後に、胸にじわっと残る感じ。
まさしく自分が北風になって、振り向いてしまうような錯覚。 よかったです。
番外編としては、50心さんのですね。いいです。ぐーです。校長先生、素敵☆
チャンピオンになった方、次のお題に期待しています。
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推薦:春のような冬 冬のような春 rin作
感想:はじめ方が良いと思いました。「桃色」と「灰色」で季節を想像する人もいるでしょうし、もっと別のものを想像する人もいると思います。私なんかは、桜のピンク色と、雪ではなく、桜吹雪の少し霞んで灰色に見える光景なんかを思い出しました。そういう風に、読み手に色々と自由に想像させてくれるのも、詩の良さだと思います。その点で私はこの詩が気に入ったので、票を入れさせていただこうと思いました。ただ、題名は説明くさくなってしまっているので、「春」も「冬」も入れなくてもいいと思います。
次点は、「ミッキーマウス」「さよならあなた」。
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推薦:葉月みか作
感想:出題者の罠にはまった作者が多い。「テーマ」はいいとして「三行」という制限にだ。物語のセオリーとして「序破急」があるが、そこに目を奪われた作者が多いのではないか。その囲いを破った試みとしては「早春譜」とこの推薦作のふたつだろう。
制限の多い創作の中で、個人的に欲しいのは「いかにして制限を越えうるパワーを持たせるか」だ。1000字バトルなどに比べれば元来からして詩人バトルは制限が少ない。むしろ制限を感じずに書いている作者も多いことと思う。ここに来ての「テーマ付き」だ。ここが地力の分かれ目になったか。
1000字小説でトップをとるのは、原稿用紙二枚半の世界と感じさせないそのスケールの大きさである。1000字の制限は必要だが、1000字にとらわれるといいものを書けない。その点推薦作は三行の魔術に惑わされずに書いた。
「詩のバトルなのに俳句でよいのか」という感想があるかもしれないが、俳句だって立派な定型詩である。そこを忘れてはならない。またなぜ「桜月」なのか。これは「三月」の異名であることも付記しておく。磨かれた言葉と、作者の感性がきらりと光った良作だ。
次点では「早春譜」。「早春賦」とせずに「譜」としたところにも意図を感じる。が読みこなせなかったのは返す返すも残念だ。はかないものの象徴としての「うたかた」を、「負け犬」と結びつけた点は◎。ぼんやりとした光の中、もう暖かいのにいまだ冬を引きずっている負け犬の姿が見えてくる。解釈がついているが、私はこの解釈とは若干違った見方をしたというわけである。この解釈を蛇足と見るか新たなる試みと見るかは読み手に委ねられてしかるべきだ。
「風」。作者の感性がみずみずしく出ている。「笑い声に振り返」る北風という存在の愛らしさがこの作品を暖かくしている。が、三行の詩と言えば、三好達治の「蟻が蝶を曳いている/ああ/ヨットのやうだ」という詩が存在しており、その存在感を思い返すとやはり弱いか。
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