←前 次→

第36回1000字小説バトル Entry8

学校という檻

 学校。そこは様々な動物が混在している。そこは大ボスと中ボスと雑魚にわけられていて、俺は雑魚に位置されていた。
 中ボスは別名「先生」という。竹刀を武器とし、古風なジャージが戦闘服だ。
ある日「先生」は言った。今日のテストで50点以上の者は檻からだしてやる、と。そう、普段俺たちは灰色の檻の中で青い空を恋しく眺めるだけだった。俺はチャンスだと思った。外に出られるのだ。
 それから俺の猛勉強の日々は続いた。寝ても覚めても勉強勉強。檻の中には普段とうってかわって、異様な雰囲気が漂っていた。みんな俺と思いは一緒なのだ。
 そしてテストの日がやってきた。俺は渾身の力を込めて、シャーペンを握りしめ、そして愕然とした。わ、わからない。全くわからないのだ。何故?!理由は簡単だった。そのテストは俺たちが分からないような高等なものだった。「先生」は暇潰しのために俺たちを踊らせていたのだ。俺は切れた。ぶち切れた。
 「先生。」
 「ん、なんだ貴様、文句でもあるのか」
 「いえ、」
 その瞬間、俺は「先生」のお気に入りのズラを、そのつるっぱげの頭から剥ぎ取り、高らかに掲げたのだった。そしてライターで焼却。「先生」は真っ青のなって、俺に竹刀を振り上げたが、俺はぶちぎれモード発動中だ。そんな竹刀はへでもなかった。ひょいとよけると、俺は言った。
 「檻は解散だ。」
雑魚たちは一気に檻の外に溢れ出て、檻の外の格子鉄線を乗り越え、外の世界に散らばっていった。大ボスや中ボスが決死の表情で追ってきたが、そのうちに行き倒れていった。
 俺は空を見上げた。外で見る空はだだっ広かった。俺は空に両手を掲げた。
 「待たせたな」
 ここから俺の人生が始まる。クソみたいな檻から俺は解放された。自由が俺を取り巻く。散らばっていった雑魚たちはどこへ行ったかは知らない。みんな、それぞれの人生を走り抜くのだ。自分で選んだ道を。
 
 そして時は流れた。俺は檻から出た後、のうのうと生きている。人は胸はって言える仕事じゃないと言うが、俺は俺自身に誇りを持っている。
 俺はふと空を見上げた。相変わらずのでっかい青い海が天を支配している。そして、俺はあの檻で過ごした日々を思いだし、少し懐かしくなった。

←前 次→

QBOOKS