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第31回1000字小説バトル Entry27

ここ2,3日。

 ここ2,3日はいろんなことが起きた。


 昔小学生の頃飼っていた犬は「くろ」といった。もちろん黒いから「くろ」であって、黒い犬に「みどり」なんて名前をつけるほど気が利く人間でもない。朝起きてランドセルをしょって、いつものように裏手にいる「くろ」に挨拶してから学校に行こうと思い、犬小屋に近づいてみると、彼女は死んでいた。でも、最初は死んでいると全然思わなかったから何度か声をかけた。でも起きなかった。「よくねるんだねえ」といって両前足に触ったら凍りに触ったように冷たかった。僕の背中は固く凍った。そのとき初めてなんかおかしいと気がついた。
 その日父が仕事から早く帰ってきて、僕が下校している途中で車に乗せてくれた。今思えばわざわざ通学路を車で走ってきてくれたのかもしれない。それで一緒に近くの河原へ「くろ」を連れて行って父が埋めるのを見ていた。最後に線香をあげた。
 日曜日の朝、起きたら腕時計が止まっていた。4時20分35秒。去年兄夫婦の結婚式の時にもらった時計。時計が止まるのは本当に突発的で、なんとなく「くろ」のことを思い出した。

 前の日までは元気だったのに。。


 鏡の前に立つと、なんとなくいつもの偏頭痛がきそうな予感がした。大体目からくるのでコンタクトレンズにするのをやめ、めがねで大学に歌の練習に行った。
 
 月曜には朝早く目がさめた。7時ごろ。そうしたら、なぜか知らないけどものすごい吐き気がした。頭がガンガンした。トイレに行って一度吐き、ベッドに戻ったがまたトイレに吐きに行った。結局、学校は休んだ。伴奏者がうちまで来てくれて水や食料なんかを買ってきてくれて、「どうやって作るのかわからない」なんていいながらおかゆも作ってくれた。今日一緒に演奏する予定だったヴァイオリンの人も薬を分けてくれ、一緒の下宿の人もスープを持ってきてくれた。
 結局、昨日も熱は無かったものの胃が痛くて大変だった。レッスンがあったので学校に行った。結局そんなに歌えず、座っていろいろ話したりした。夜にはバイトにも行った。途中で頭が痛くなってきたけどお客さんが幸いにも少なくて何とかなった。店長に「少しあやしい」座薬をもらって少し早めに帰った。
 
 その座薬を使って、今日目が覚めたら、治っていた。すっきり。なんだかすべてが夢のような二日間だった。何もしなかったような気もするし、何かしていたような気もする二日間だった。

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