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第33回1000字小説バトル Entry1

ねずみ花火

「つぎは、これやってごらん、さとる」
「これ何?おかあさん」
「ねずみ花火っていうのよ。火をつけたらすぐ手を離してね」
「どうして?」
「そうね、説明、むずかしいね。じゃ、やってみよっか」
「うん!」

「こうやって、火をつけて、そら!」
「スゴーイ、くるくるまわってる」
「そろそろ来るわよ」
「え、なにが?、、」

パーン!

「、、、すごいね、これ」

「あれ?どうしたの、おかあさん、なに見てんの?」
「うん、ちょっと思い出してたんだ」
「な〜に?」

「ずっとずっと昔、あなたが生まれる前で、
 おとうさんと結婚する二年ぐらい前のこと」
「ふーん」
「お付き合いしてる人がいて、
 でも、その人病気になってしまって、どんなお薬も効かない病気で。
 息をひきとる時に、おかあさんに言ったの」
『ぼくはいつでも君をみてるよ、大切な君の、すぐそばで』

「あらあら、つまらない話しをしちゃたわね。
 ねずみ花火見てたら、思い出しちゃったから。
 でもこの話はおとうさんには内緒ね」
「わかった。お母さんとぼくの秘密だね!」

「その人、ねずみ花火うまかったの?」
「そう、ふたつ一緒に火をつけて指、、、」
「こ〜う?おかあさん。ほら、カッコいいでしょ!」

「おかあさん、泣いてるの?
 ごめんなさい、ぼく、いけないことした?」
「ううん、そうじゃないの、そうじゃない、、」

さとるの指を離れた二つのねずみ花火が、
空中で交差し、同時に光って消えたとき、
私にはすべてがわかった。

あの日の約束どおり、
すぐそばで、とてもすぐそばで、
見守ってくれていたんだ、ずっと。

「おかあさん、、苦しいよ、、そんな強くだっこしたら」
「あっ、ごめんごめん」
「おかあさん、だいじょうぶ?」
「うん、、、、もうだいじょうぶ。
 さあ、おとうさんのところに戻ろう」
「うん!」

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