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第33回1000字小説バトル Entry29

天国への疾走


 ディズニーランドから、東京都心部へと続く高速道路は、車の量も少なく快適に流れていた。
 サトシとケイコは週末をディズニーランドで楽しく過ごし、今、サトシの愛車で帰り道のドライブを、ディズニーランドではしゃいだ思い出話とともに満喫していた。
 夜のとばりがおり、フロントガラスから遠くに摩天楼が見える。カーラジオから交通情報が流れる。
「今日の夕焼けも綺麗でしたね。では、渋滞情報。○○ジャンクションを先頭に上り線5キロの渋滞・・・・」
「あらやだ5キロの渋滞だって。空いてるのにねえ。」
ケイコがいぶかしげにつぶやく。
「大丈夫さ。30分ほどで都心に入るよ」
サトシがなだめる。確かに車の流れはスムーズだ。前方には渋滞の予兆どころか車が1台も走っていない。
 しばらく走ると、再びカーラジオから交通情報が流れてくる。
「夜も更けてきます。ドライバーの皆さん安全運転を。では渋滞情報。△△バス停を先頭に上り線20キロの渋滞・・・・」
「ええっ、20キロの渋滞?」
ケイコが思わず叫ぶ。そんな渋滞に巻き込まれたらいつ家に着くかわからない。サトシはルート変更のプランを考え始めた。そのときふとサトシの頭にある標識が浮かんだ。
「あれ、△△バス停って、さっき通りすぎたぞ・・・・・」
 サトシは思わずシート越しに後ろを振り返った。その目に飛び込んできたのは、延々と続くヘッドライトの列。
「ケイコ、俺達が渋滞の先頭なんだ!」
今度はサトシが叫んだ。
「ええっ本当? でも100キロ以上で飛ばしてるし、前にも車がいないし、さっきから対向車線にも車が走ってないじゃない。なにかおかしいよ」
 サトシは背筋に寒さをおぼえ、アクセルを踏み込んだ。
 「臨時ニュースです。臨時ニュースです。」
カーラジオから注意を引かせる声が届く。サトシとケイコも思わず聞き入る。
「ただいま入った情報によると、アフリカ大陸の南部広域に、大陸間弾道核ミサイルが数発打ち込まれた模様。現地では、人類史上類を見ない大規模な死者が出るとの予想、なお・・・・」
 チャンネルを変えると、渋滞情報が流れてきた。
「××インターチェンジを先頭に、150キロの渋滞・・・」
「俺達が・・・先頭だ・・・・」
 サトシが青い顔でつぶやく。サトシの車の後ろには、延々と、あやしく光るヘッドライトの列が続いていた。

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