第38回1000字小説バトル Entry18
もう十回やった。
僕らは堅くよった糸のように絡まったままじっとしていた。
「動かないで」
「じっとして」
始めての時はおどろいた。
動きたくって、じっとしていられなくって、拷問のようだった。
この人はまるで僕を全部、 あそこにいれようとしているようだった。
もうどのくらいこうしているか。
良いよ、もうどうでも。
早送りで僕を全部戻して、あそこに戻して。
急に身体が離れるので、僕はあわてて僕を押し込む。
だめだよ、動くなっていったのに、自分から離れる。
何が何でも絶対やらなきゃいられない突き上げるものが、腰のあたりから背筋を通って炸裂した。
誰だ!
これを快感などと、言ったヤツは!
これは逃れられない苦痛だ。
高波にさらわれ、翻弄されて、
非力を思う存分知らされ、うち負かされる。
真っ白なところに裸のまま放り出されたトタン、僕は液体になってすごいスピードで広く広く広がり続ける。
・・・気が付くと朝になっている。
僕は5回目に浅い水にたゆたっているような君に、聞いた。
「気持ちいいの?」
「広い宇宙みたいな静かなところを、一人っきりで落ちていくの。」
「怖くない?」
「ぜんぜん」
「自分が落ちていくのを自分で見ているの。
なんにもない真っ暗な闇の中を、白い十字架みたいな私の身体がどんどん落ちていって、小さくなっていくの」
「寂しくないの」
まつげに縁取られた目が、凸レンズのようにふくれて、あって言う間に小さな水銀の粒のようになって四方八方に散った。
十回目に、いなくなるだろうと思っていた。
きり番がすきだったから。
少し笑ったら泣けた。
お母さん。
あれから5年たったね。
おやじの連れ込んだ子持ちの女は、僕の腹の下で思う存分、僕に蹂躙されている。
もっともっとって、意地汚いヤツだ。
おやじは薄々感づいていると思うよ。
おやじの僕にたいする目は、負け犬のそれそのもの。
あなたに、見せてやりたいくらいだ。
ところで僕ももう十八歳だ。
良い切りじゃないけど、もうあなたの復讐のお先棒は、ここで完にしてほしい。
僕は良い子で存分にあなたの指令をまっとうした。
あなたは、とてつもなく勝った。
アハハハ
あの時、僕があなたの中に送り込んだヤツは、もう五歳になっているんだね。
不思議だな。
僕が再生されて、君と一緒にいる?
僕と君と奴。
最高の構成員じゃないか。
じゃまな奴らは、もういない。
あなたを阻むものは、いない。
いつか、あいたいね。
僕はノープロブレムだ。
連絡を半永久に待つ。