第39回1000字小説バトル Entry21
なんとなく、アキラとホテルに行った。「なんとなく」は嘘である。ふられたばかりで寂しかったのだ。ベッドの上でわんわん泣きながらコトをすませ、よーし、明日もがんばるぞー、と適度に気力をもらい、まったく色気のないピロートーク(本日のメインディッシュですわん)をする。
「でさ、なんでふられたの?」
ぐぉわ。痛い質問。なんて、これを待っていたのさ。
「あたしが、男ともやれるって言ったらキレた」
アキラは苦々しく笑った。
「だってね、『隠し事は無しヨ♪』って言うから本当のこと言ったのに。ひどいよ!」
アキラは本格的に笑い出した。いいよ。どんどん笑いなさい。あたしは笑えないもん。一人じゃ笑い話に出来ないもん。
「俺だって、彼女が『女ともやる』って言ったらショックだよ」
ちょっと笑い泣きでアキラが言った。あたしはいいのか? と思う。
「ハルカちゃんはフツーなんだ」
アキラの顔がちょっと変わってすぐ元に戻った。この人はね、変な悩みがあるんだよ。
「真紀と一緒にすんなよ」
「あー、差別差別!」
アキラに鉄拳を食らわせようとしたがあっさり押し倒されてしまった。
「あたり前じゃん。彼女だもん」
乗っかったままキスしてきた。
「真紀の味がする」
へえぇ、それはよかったね。
もっかいやったら時間になった。話をしながらぶらぶらバス停へ向かう。
「もうさ、女はやめたら?」
「やめたいけど、感情が先に出てきて止まんない」
アキラに頭をなでられた。子供扱いしおって!!
「アキラもさ、あたしとやるのやめたら?」
ハルカちゃんに悪いよ。
ちょっと考えてからアキラは言った。
「結婚したらやめるけど、それまではいいんじゃない? 俺ら親友だし」
そうなんだよ。こいつには友情しかないんだよな。それで、私も99%が友情なんだな。無言で背中に蹴りを入れる。
「あ、バス来る」
「ちょっと早いな」
うん、そうだね。
「次は男にしたら?」
真顔で言われる。
「次なんてわからないよ!」
誰を好きになるかなんて、あたしにはわからないよ。
好きにならなきゃ、誰が好きなのかわからないよ。
アキラは笑いながらまた頭をワシワシとなでた。
「大丈夫、俺、今は遙とお前としかやってないから。いつでもなぐさめてやるぞ」
ふられるのが前提かい! っとツッコミを入れ、ボサボサの頭でバスに乗りこんだ。
朗に小さく手を振った。朗が手を振り返す。あ、私の中の1%の恋心が喜んでいるよ。でも、残りの99%は、次の誰かのものだーい。