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第39回1000字小説バトル Entry30

秋の夜長

 風呂上がりのベランダで一服、これが毎晩の日課になっている。

雲の隙間から見える星月達・・・。

昨日までは、この美しさに全く気付かなかった。

あの映像を見る昨日までは・・・。

 昨日、友人宅で酒を飲みながら談笑していた。

話のネタが尽きてきた頃、私の視線に映った物、それは一台のパソコン。

それまで私は、インターネットというものに全く興味がなかった。

友人は、私の視線に気付き、パソコンを得意げに操作した。

 数分後、友人は満面な笑みを浮かべ、私に一つの画像を見せた。

それは、無修正のエロ画像だった。

私達は顔を見合わせ大爆笑した。

友人は次々と大量の無修正画像をダウンロードした。

 インターネットを始めてから、一時間程が経っただろうか。

気が付くと、私達は日本語が一切ないホームページにいた。

友人は、理由も分からず、ただひたすらにクリックしていた。

すると、一つの動画が私達の目に飛び込んできた。

その画面には、軍服を着た二人の外人男性が映っていた。

一人はうつ伏せで、もう一人はうつ伏せになっている男性の顔を、思い切り踏みつけていた。

うつ伏せの男性は、手足を縛られ身動き一つ出来ない。

踏みつけている男性は、右手にアーミーナイフを握り締め、うつ伏せの男性

の首に一刺し。

まるで、果物にナイフを刺しているかの様だ。

首に刺さったナイフは、のど仏ごと切り裂いた。

もちろん、首からは大量の血液が溢れ出る。

うつ伏せの男性は、口を金魚の様にパクパクしている。

まさに、殺人の瞬間だった・・・。

得体の知れない恐怖に吐き気がした。

私達は、先を争うかの様にトイレに駆け込んだ。

トイレから戻り、私は無言のまま友人宅を後にした。

帰宅後も、何度も何度もトイレに駆け込んだ。

 今思うと、唯一の救いは、映像がカラーではなかった事だ。

タバコを吸い終わる頃、夜空にあった雲は消えてなくなり、星月達は、一層輝いている。

明日は晴れると思いつつも、私の心は一向に晴れない長い秋の夜だ。

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