Entry2
神様のちょっとした悪戯
萩生あき
「性欲、持て余す。前置き終了。……いただきまーす!!」
あるところに性欲を持て余しすぎた少年がいました。
その少年は神の逆鱗に触れ、車に轢かれて心肺停止となってしまいます。
罪状は「無差別性欲解放罪」――神様はそう少年に告げました。
少年はありとあらゆる女子生徒を食べ尽くしました。学校にいる全ての生徒といっても過言ではないでしょう。
その行いを神は憂い、怒り、食べられた女子生徒の悲しみをその少年に全てぶつけてしまおうと思ったのです。
「でもさ神様。お前は俺を殺すという形で罰を与えたのかもしれないけど、それは殺人とどう違うんだ?」
罰という言葉なら何でも正義になると勘違いしてないか? と彼は続けました。
「悪い者に罰を与えるのは世の理に対するバランス維持の一環。誰もが平等に悲しみ、幸せを授かる権利を持っておる」
悪人の貴様は悲しんだ人の気持ちを、少しでも感じたことはあるのか? と神様は続けました。
「だったら、どうして悲しみ続けている世界の貧困層は救わないんだ。どうして肥え続ける大国の指導者に裁きを与えないんだ。お前の理論自体がバランスとれてないじゃないか」
空言を言うなら人に影響しない所で勝手にほざいてろ。と少年は続けました。
その言葉に、神様は少しだけショックを受けました。
自分の行ってきた善行も自らがそう思っていただけで、相手にとっては苦痛でしかなかったのか?
己の正義感の為に何人もが犠牲となり、何人もが不条理な栄誉を授かったのか。
「例えお前の言葉が棚上げ理論だったとしても、ワシの心にしかと響いたぞ。ただし、お前にはしっかりとした処罰を与える。これは、ワシの正義じゃ」
だからこれからしっかりと償え。と神様は続けました。
つまり、彼は現世に命を留める事を許されたのです。
少年が目を覚ました時、病室には数十人の女子生徒が列を連ねていました。
彼を、お見舞いに来たのです。彼女たちのその行為に、目を覚ました少年は感動しました。
しかし、彼の中に渦巻いていた持て余す性欲はこの時、既に全て消えてしまっていました。
きっと神様が、彼の邪な欲望を奪っていったのでしょう。
今後は少年に泣かされる、少女の心配はなくなりました。
……どうやら少年は、神様から何か一つ授かったようです。
その何かが彼の胸中を埋め尽くします。
少年は今『男の医者』に視線をがっちり固定し、顔を赤らめていました。