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天気予報と夢と漫才
小笠原寿夫
天気予報は、また寒くなるそうだ。早く暖かくなって欲しい。昼間、ワイドショーを見て、そのまま眠りこけた。確か、たけし軍団VS森社長の構図と、小保方晴子さんのグラビアデビューが、話題となっていた。バラエティーの形も変わったと思いつつ、眠りに入った。負け続けたコンピュータとの将棋の対局をファイルに保存したことは、覚えている。
友人が結婚した夢を見た。単純に嬉しかった。
「できちゃった婚や。」
子供に作曲を教えているらしい。
何やら風船みたいな長いチューブで、チューニングをしている様を、友人は披露する。結婚したことで、見た目は随分と変わっていた。再会した時、一瞬、目を疑った。見た目はともかく、以前よりも、内面はかっこ良くなっていた。あんなに鮮明な夢を見たのは、久しぶりだ。
目が覚めても、何故か清々しい気分になった。輩とも対等に話ができるようになっていた友人には、昔、遊んでいた頃の暗さはなかった。
父親になるほどの喜びは、他にない。友人は大手企業の主任である。そこに行き着くまでの苦労は、想像を絶する。私が、惚れ込んだ男は、やはり夢の中でも、かっこ良かった。
「夢の中では、皆、天才や。」
と言った人物である。
私は、その夢の中で、地下鉄に蹴りを入れて、車両に傷をつけ、手錠を掛けられていた。それは、それで面白いのだが、夢というのは、どうしてこうも脈絡がないのだろう。
それよりは、夕方に目が覚めて、夜寝られないことに、自己嫌悪を覚える。ただ、敢えて前向きに考えようとすると、私の不幸せが人の幸せを呼んでいることだ。
「自分の不幸せに気づいていないことが、一番の不幸せだ。」
というようなことを言う人がいた。今、私は、その言葉に、救われている。
止せばいいのに、私は、また夢の世界に入っていく。現実が如何に面白いかを、私は知らない。
「寝てくれ。」
という幻聴が聴こえる。
「寝るな。」
という幻聴も聴こえる。
「実は、夢が現実で、現実が夢なのかもしれない。」
そう思った。だから、人は睡眠を欲する。そう、結論付けた。
「おぎゃが正しいで。」
そういった幻聴も聴こえる。そして、私は、心の病に打ち勝ちたいと願った。まだ、寝る訳にはいかない。これから、部屋に入ってこられる隣人の方のためにも。健康を害しているのかもしれないが、それはそれで、楽しいので、私の中では、二重丸でなかったりもする。これから幽玄という名前で、漫才をする。